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資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》
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4 参考情報

1

けされていることから明らかである.日本薬局方における分析

55

秤)及び分銅の項に示された繰返し性(併行精度)の要件により得

2

は,決められた規則に従って実行し,規格(値)を満たすかどう

56

られる結果から,そのはかり(天秤)のそのときの最小計量値が

3

か判断するために実施するものである.

57

推定される.国際単位系(SI)トレーサブルな秤量とするために

4

すなわち,医薬品各条での定量規格が99.0%以上とされてい

58

は,そのはかり(天秤)において,最小計量値より大きな質量の

5

れば,医薬品各条に定められた定量法に従って分析するとき,

59

はかり取りを行うことが目安となる.

6

有効数字を考慮して,その分析値が98.95%以上であれば,日

60

最小計量値は,そのはかり(天秤)の設置環境(設置場所の振動

7

本薬局方に適合となることから,有効数字4桁目まで正確に秤

61

の有無など),秤量時の温度変化などの影響を受けるため,経

8

量可能であることが重要となる.通常,10 μgの桁まで表示さ

62

常的に最小計量値を記録しておくことは,正確な秤量にとって

9

れるセミミクロ化学はかり(セミミクロ化学天秤)では,上記の

63

重要となる.なお,最小計量値とは,風袋を含めない,はかり

10

規則に従って校正されていたとしても,読取限度桁では,

64

(天秤)の精確さを確保するための秤量の下限を示す推定値であ

11

130%以上の誤差(±13 μg以上の誤差)があることが知られてい

65

り,繰返し性(併行精度)の要件によって得られた標準偏差を用

12

る2).したがって,そのセミミクロ化学はかり(セミミクロ化学

66

いて,最小はかり取り量の精密さを確保するために繰返し性

13

天秤)が,例えば定量法の実施時に,試料や標準品などを約0.1

67

(併行精度)が0.10%以下であることを要求している.すなわち,

14

g秤量する際,風袋も合わせて50.65432 gと表示したとすると,

68

国際単位系(SI)トレーサブルな秤量を行う場合,最小計量値以

15

100 μgの桁である3は,ほぼ正確であると考えられることから,

69

上のはかり取りを行う必要がある.はかり(天秤)における繰返

16

十分に定量法に使用する試料や標準品などの秤量に使用可能と

70

し性(併行精度)に影響を与える可能性のある要因は次のとおり

17

なる.日本薬局方における多くの定量法では,必要とする有効

71

である.

18

数字は最大4桁であるが,例えば0.10%の水分含量や4.0%の乾

72

1)

最小計量値は,はかり(天秤)の性能であり,この値は環境

19

燥減量であれば,算出に必要とする有効数字は3桁,0.1%の強

73

20

熱残分であれば2桁となる.そのため,分析を実施する際に使

74

21

用するはかり(天秤)は,これらの有効数字を満たすものを使用

75

る.つまり,測定者ごとに決定される最小計量値が異な

22

することが必要となる.言い換えれば,日本薬局方においては,

76

る場合がある.

23

目的に応じた考え方(fit for purpose)に沿って計量を実施する

77

24

ことが重要となる.したがって,確認試験や純度試験としての

78

25

呈色反応に使用する0.2 gの医薬品を秤量する際には,使用す

79

26

るはかり(天秤)の有効数字は2桁あれば十分である.一方で,

80

の変化や時間の経過とともに変化する可能性がある.
2)

3)

測定者が異なれば,はかり取りの方法も異なる場合があ

有限回数の繰返しの標準偏差は,真の標準偏差の推定値
であり,現実には特定できないことに留意する.

4)

最小計量値の決定は,既定の試験法に完全には合致しな
い場合がある.

27

ウルトラミクロ化学はかり(ウルトラミクロ化学天秤)を使用し

81

28

て定量NMRで純度規定を行う試薬について5 mg程度秤量する

82

5)

29

場合,風袋も合わせて例えば25.2345 mgと表示したとすると,

83

これらの要因から,多くの場合,最小計量値よりも大きな

30

1 μgの桁である4は,ほぼ正確であると考えられる.純度の算

84

値ではかり取りを行う必要がある.つまり,はかり(天秤)を

31

出に使用する有効数字は3桁であることから,風袋の重さが20

85

使用した現実的な最小はかり取り量は,最小計量値よりもあ

32

mg程度であったとしても,試薬の秤量値としては4桁目がほぼ

86

る程度大きく設定すべきである.

33

正確となり,十分使用可能となる.また,もし,ミクロ化学は

87

直線性誤差は,ゼロ点から最大秤量点までをほぼ等しく分

34

かり(ミクロ化学天秤)しか保有していない場合でも,試薬を10

88

割した各点における理想直線からの偏りの程度である.感度

35

mg以上秤量すれば,有効数字4桁目までほぼ正確であると考え

89

誤差は,直線性誤差も考慮したゼロ点からの直線の傾きの度

36

られる.

使用する風袋容器が環境によって質量に影響を与える場
合には,最小計量値に影響を与える可能性がある.

90

合いであり,一般にゼロ点から最大秤量点に近づくほど誤差

37

他方,秤量する際には,どのような誤差が生じているかの理

91

は相対的に大きくなり,環境変化に連動して顕著である.し

38

解が重要となる.適切に校正されたはかり(天秤)では,秤量時

92

たがって,正確さ(真度)の要件では,許容される感度誤差を

39

の誤差を生じる要因として,感度変化,繰返し性,直線性,偏

93

確認するため,はかり取りを行う範囲の上限付近,あるいは

40

置などがある.感度変化は,その場所に加わる重力加速度の変

94

はかり(天秤)の最大秤量値を若干下回る程度の質量の分銅を

41

化や温度ドリフトなどにより生じる.はかり(天秤)を移設した

95

用いる.偏置誤差は,はかり(天秤)の中心から,離れた場所

42

場合には,その場所に加わる重力加速度が異なるため,感度調

96

に荷重を加えた際の表示値の変化の程度であり,試料や採取

43

整が必要な場合がある.特に,電子式はかり(天秤)は,電磁力

97

容器が特殊な形状でなければ,配慮する必要性は低い.通常

44

と自由落下の加速度(重力)との釣り合いで補正され,質量が表

98

の環境における正確さ(真度)の評価には,感度,直線性及び

45

示されるため,移設する前の場所で感度調整されたはかり(天

99

偏置の三つの誤差が含まれるが,誤差の伝播則(二乗和の平方

46

秤)は,移設先の環境が違うと,実際とは異なった質量を表示

100

根)により合否基準0.10%は,次の式2)を満たすことになる.

47

する.また,環境の変化によっても表示値は変化するため,は

48

かり(天秤)の内部分銅や,外部分銅を用いて感度調整を行う必

49

要がある.

101
102

0.10%≒
感度誤差0.05%2 +直線性誤差0.05%2 +偏置誤差0.05%2

50

繰返し性は,同一試料をはかり(天秤)の計量皿へ複数回はか

103

したがって,正確さ(真度)の要件では,1回の分銅ののせ降

51

り取った際の表示値のまとまり度合いで,10 μg以下の桁まで

104

ろしにより得られたはかり(天秤)の表示値と分銅の質量値の

52

読み取れる高い表示分解能を有するはかり(天秤)の性能評価に

105

差として0.05%以下を要求している.言い換えれば,感度誤

53

必須な特性である.

106

差に0.05%,直線性誤差に0.05%を配分しているといえる.

54

日本薬局方一般試験法「計量器・用器〈9.62〉」のはかり(天

107

上記の誤差を考慮すると,はかり(天秤)の点検としては,