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資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (31 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》
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参考情報

19 .

1

要な場合は,希釈直線性を確認し,試料を希釈することも可能

55

粒子を使うことも,分析法の性能を評価するのに有効である.

2

である.測定回数は装置の性能及び試料の特性を考慮し適切に

56

なお,適切な機関により認証され,粒子径分布若しくは粒子数

3

設定する.

57

が保証されている標準粒子を用いる.この他,屈折率が低いシ

4

閾値は,分析結果に大きな影響を及ぼすので,閾値を個別に

58

リカ粒子やポリメチルメタクリレート粒子は,タンパク質凝集

5

設定できる装置を使用する場合は,事前に粒子境界が適切に認

59

体のモデル粒子として適切な場合もあると考えられ,処方成分

6

識されていることを確認する.その際,実試料若しくは実試料

60

が試験対象試料と同様の溶液に添加した試料は,粒子と溶液の

7

を劣化させた試料,又はタンパク質凝集体を模して作製された

61

屈折率の差が小さいことで計測される粒子径が変動するか確認

8

標準粒子などを使って,粒子の形状が正しく評価されているこ

62

するのに有用と考えられる.

9

と,ノイズを粒子として認識していないことも確認することが

10

望ましい.なお,異なる閾値で取得したデータを比較する際は,

63

フローイメージング法により微粒子数を計数する場合のバリデ

11

閾値の差が測定結果に与える影響を十分に考慮する必要がある.

12

3.

画像解析

13

検出した粒子の粒子径は,円相当径(粒子の投影面積と等し

14

い面積をもつ円の直径)にて示されることが多い.円相当径の

15

ほかに,球相当径やフェレー径などが使用できるため,粒子径

16

の比較には注意する必要がある.

17

本参考情報はフローイメージング法による微粒子の計数を主

18

な対象にしているが,粒子の画像から由来を推定することや,

19

画像の特徴に応じて粒子を分類できる場合もある.画像解析の

20

結果得られる,粒子の特性を表すパラメーターの主なものには,

21

粒子径の他,面積,粒子周囲長,アスペクト比,円形度などの

22

形状に関するパラメーターの他,明暗度や粒子内での明暗度の

23

標準偏差といった光学的なパラメーターがある.これらのパラ

24

メーターを使って,例えば,試料に含まれる粒子を,容器に由

25

来するシリコーン油滴など由来ごとに分類することも可能であ

26

る.シリコーン油滴との区別には,アスペクト比,真円度,周

27

囲長,長さ,明暗度の平均値や標準偏差などが用いられる.各

28

パラメーターを組み合わせ,最適な閾値を設定し,段階的にふ

29

るい分ける.蓄積した十分な画像データを使って分類モデルを

30

構築し,同じ装置で取得した画像データに適用することで,検

31

出された粒子を由来ごとに分類することも可能と考えられる.

32

ただし,これらのパラメーターは撮像装置や解析ソフトに組み

33

込まれた定義式,画像解析装置のシステム及び測定条件に依存

34

し,解像度や画素数,焦点の合わせ方によって測定値が異なる

35

可能性のあること,由来の特定には顕微ラマン分光法など分子

36

構造や組成情報の得られる適切な他の技術による分析が必要な

37

ことに留意する.

38

4.

分析法バリデーション

39

分析法バリデーションでは一般に,真度,精度,特異性(選

40

択性)などで表現される分析能パラメーターが,事前に定めた

41

基準を満たしていることを実証することにより,分析法の妥当

42

性が示される.評価すべき分析能パラメーターは,分析法が用

43

いられる試験法の目的によって異なる.医薬品中の不溶性微粒

44

子を計数する試験法の場合は,実試料を反映した真度既知の分

45

析対象がなく,真度既知の分析法を使った評価が難しいこと,

46

また製剤や原薬など実試料に含まれ得る微粒子は粒子径分布が

47

広く均質ではないため,通常の定量試験と同様に分析法バリデ

48

ーションを行うことは難しい.したがって,例えば,平均粒子

49

径が値付けされたポリスチレン標準粒子や,粒子径と粒子濃度

50

が値付けされたポリスチレン計数標準粒子を使って以下のバリ

51

デーション手順例に示す分析能パラメーターを評価することで

52

妥当性が示される.用いる標準粒子及び計数標準粒子の粒子濃

53

度や粒子径は,実試料に含まれる粒子濃度や粒子径分布,規格

54

値などを考慮して適切に設定する.粒子径の異なる複数の標準

64

ーション手順例

65

真度:5,10及び25 μmポリスチレン計数標準粒子を測定し,

66

認証された粒子径及び粒子濃度の範囲内であることを確認する.

67

精度:併行精度及び室内再現精度を評価する.併行精度は,

68

微粒子を含まない水又は処方成分が試験対象試料と同様の溶液

69

に,3水準の粒子濃度となるよう5,10及び25 μmの標準粒子

70

を添加した試料について各々3回測定を繰り返すことにより求

71

める.室内再現精度については,同様に調製した試料について,

72

少なくとも試験日と試験者を変更した条件で測定を行って算出

73

する.

74

直線性:微粒子を含まない水又は処方成分が試験対象試料と

75

同様の溶液に5,10及び25 μmの標準粒子を添加し,例えば5

76

水準の粒子濃度について直線性を評価する.

77

特異性:モデルを使って粒子を分類するなどが必要な場合,

78

実試料を劣化させた試料及び目的とする分析対象物を実試料に

79

添加し,適切に分類できていることを確認する.

80

5.

81

5.1.

装置性能の管理
校正

82

フローイメージング法で算出される粒子径や粒子数は,標準

83

粒子の測定値から算出される相対的な値ではなく,測定の原理

84

に基づいた絶対的な値であるが,計数標準粒子を使って装置が

85

正しく稼働していることを確認し,必要に応じて装置側の設定

86

を調節する必要がある.光学系の確認は必須であり,焦点が正

87

しく合っていること,光源の明るさが適切であることなどを確

88

認する.また,ポンプの性能も測定結果に影響し得るため,流

89

量の調節と流量確認を実施する.なお,装置校正には,適切な

90

機関により認証され,絶対的な方法により粒子径分布及び粒子

91

数が保証されているポリスチレン計数標準粒子及びポリスチレ

92

ン標準粒子を用いる.

93

5.2.

システム適合性

94

測定実施前に装置の稼働状態が適切であること,適切に洗浄

95

されていることを確認するため,以下のようなシステム適合性

96

を設定することが推奨される.

97

適切な標準粒子の測定値(粒子径及び粒子数)があらかじめ定

98

めた範囲内にあることを確認する.フィルターを通した水(用

99

時調製)で,粒子数が規定した値以下であることを確認する.

100

粒子径の範囲は,目的に応じて適切な範囲とする.粒子数が適

101

切な範囲内でなかった場合は,使用する水の調製及び装置の洗

102

浄を繰り返し,再測定する.

103