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資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》
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参考情報

1

3.2.

自動粒子解析によるサイズ測定

45

4.

3 .

AFMの性能確認

2

ソフトウェアを用いて粒子を自動で認識し,粒子サイズ測定

46

AFMでは,カンチレバーのz 位置を,ピエゾ素子の伸縮によ

3

を一括して短時間で行うことが可能である.粒子の認識は,ユ

47

って距離制御している.その伸縮は印加した電圧に対して非線

4

ーザーが設定する高さの閾値に基づき行われる.すなわち,設

48

形性やヒステリシスなどの性質を有している.従来のAFMで

5

定値以上の高さを持つ粒子は解析に含まれ,設定値以下の高さ

49

は,ピエゾ素子に印加した電圧から高さz を求めている.しか

6

の粒子は解析から除外される.また,明らかな異物の粒子や粒

50

し,上記の性質のために,高さが保証された実際の試料を測っ

7

子同士を区別できない大きな凝集物はソフトウェア上で選択し

51

て検量線などを作成し「高さ補正」をする必要がある.例えば,

8

解析対象から除外できる.以上の操作後,基板の高さを基準と

52

測定するナノ粒子の高さに近いステップ高さの校正用格子を選

9

した個々の粒子における最大高さが自動的に測定される.自動

53

択し,鋭い探針を使って少なくとも三つの異なる場所で測定し

10

粒子解析を行う際には,解析対象となる画像の傾き補正が適切

54

たステップ高さの平均値を,校正用格子で保証されている高さ

11

に行われた状態でなければ,結果に人為的な影響が出てしまう

55

の値と比較する.

12

ので注意する.自動粒子解析を行う際,結果が正しく出力され

56

測定された平均値が保証された値と大きく異なる場合,製造

13

ているかを断面形状解析による結果と照らし合わせて妥当性を

57

業者などによるピエゾ駆動装置のz 変位の再校正について検討

14

確認しておくようにする.自動解析ソフトによるナノ粒子の平

58

する必要がある.

15

均高さは,断面形状解析による平均高さよりも大きくなる傾向

59

一方,近年のAFMでピエゾ素子に測長センサを付随させた

16

にある.なお,ソフトウェアには,画像中における粒子個々の

60

装置では,ピエゾ素子がどれだけ伸縮したかを精密に測ること

17

占有面積から粒子サイズを解析するものもある.この場合,粒

61

ができるため,高さz は常に測定されている.つまり,常に高

18

子サイズは面積相当直径として解析される.

62

さ補正・変位補正を続けている制御方法を有する装置も存在す

19

3.3.

63

る.

20

粒子サイズを評価するにあたり,粒子が基板に固定された時

64

参考資料

21

に変形が起きる場合や,対象となる粒子の形状が球形でない場

65

1)

22

合には,高さとは別に,粒子解析ソフトを利用しながら他のパ

66

23

ラメータの追加解析を検討することも重要であろう.例えば,

67

2) ASTM E2859-11:2017, Standard Guide for Size

24

粒子が基板に固定された時に変形が起きる場合には,基板への

68

Measurement of Nanoparticles using Atomic Force

25

固定前後で体積が一定であると仮定し,体積相当直径がサイズ

69

microscopy.

26

評価パラメータとして利用できるであろう(図2A).加えて,面

70

真球以外の形状を有するナノ粒子の解析

27

積相当直径や,高さ/面積相当直径比によって対象粒子の変形

28

した形状についての情報を得ることもできる(図2A).また,対

29

象粒子が楕円形状である場合には,粒子が楕円に相当すると仮

30

定した場合の長径及び短径を測定することが可能であり,更に

31

短経/長径比を用いることで粒子の扁平率から形状について評

32

価することもできる(図2B).側方(x y)次元の情報が入り込む粒

33

子が球形でない場合の解析においては,カンチレバーの先端曲

34

率の影響を大きく受けるため,校正用格子を用いたカンチレバ

35

ー先端形状の評価などを行い,十分注意する.

36

71

加藤くみ子ら,医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス,
50,634~640(2019).

日本薬局方における秤量の考え方〈G1-6-182〉

72

日本薬局方一般試験法「計量器・用器〈9.62〉」のはかり(天

73

秤)及び分銅の項において,日本薬局方におけるはかり(天秤)及

74

び分銅は,国際単位系(SI)へのトレーサビリティが確保された

75

校正を実施しておくことが要求されている.

76

計量計測におけるトレーサビリティとは,「個々の校正が,

77

測定不確かさに寄与する,文書化された切れ目のない校正の連

78

鎖を通して,測定結果を計量参照に関連付けることができる測

79

定結果の性質」1)と定義されている.計量計測トレーサビリテ

80

ィの源として最も上位のものは,メートル(長さ),キログラム

81

(質量),秒(時間),アンペア(電流),ケルビン(熱力学的温度),

82

カンデラ(光度),モル(物質量)の国際単位系(SI)基本単位であ

83

るが,はかり(天秤)の場合,質量に関してトレーサビリティが

84

保証される校正が実施されていることが基本となる.トレーサ

85

ビリティの要素には,a)切れ目のない比較の連鎖,b)測定不確

86

かさ,c)文書化,d)技術能力,e)国際単位系(SI)への参照,f)校

87

正があるが,本項では,このf)を要求している.また,日本薬

88

局方で使用されるはかり(天秤)には,繰返し性(併行精度)の要

37

図2

基板上で変形した粒子(A)及び(B)における形状評価1)

89

件,正確さ(真度)の要件とともに,国際単位系(SI)へのトレー

38

3.4.

サイズデータの報告

90

サビリティが確保された校正の実施が規定されており,これら

39

測定されたナノ粒子のサイズ(高さ)分布と,その平均値及び

91

を満たすことで,秤量結果が,国際単位系(SI)トレーサブルな

40

標準偏差を報告する.測定に関わる因子はナノ粒子のサイズ測

92

結果になり得る.

41

定結果に影響を与えるため,ナノ粒子の固定化方法,カンチレ

93

一方,日本薬局方における計量では,常に国際単位系(SI)ト

42

バー,測定モード,測定環境が空気中か液中か,測定したナノ

94

レーサブルな結果を求めているわけではない.これは,日本薬

43

粒子の個数及びサイズの解析方法に関する情報を記載すべきで

95

局方に使用する標準品,標準物質のほとんどが,国際単位系

44

ある.

96

(SI)トレーサブルでないマスバランス法による計量により値付