Ⅰ 現状の分析、これまでの取組について
１．現状：安定供給に関する構造的な課題
現在、医療用医薬品、とりわけ、抗菌薬等の医療用医薬品について、
採算性等1の関係で、世界的に見て、中国等の特定国の少数の社に医薬
品原料物質や原薬の製造が集中
現地の環境規制対策等により生産コストが上昇
品質基準に対する対応の遅れや追加コスト発生
複数の国に製造工程（サプライチェーン2）がまたがっている。
など、安定供給上の構造的なリスクが存在している。
（参考）薬価基準に収載されている後発医薬品の原薬調達状況3

診療報酬上の後発医薬品製造販売承認取
得品目4
①すべての工程を国内で製造する原料
を使用する品目
②中間体を輸入し、国内で一部の反応
工程を経る原薬を使用する品目
③粗製品又は最終品を輸入し、国内で
精製または加工する品目
④輸入した原薬をそのまま使用する品目
（製剤化、包装過程を国内で実施）

H23 年度実績
金額（出荷ベース）
品目数
(百万円)
割合
割合
631,400
7,723

H29 年度実績
金額（出荷ベース）
品目数
(百万円)
割合
割合
941,396
9,456

195,251

30.9％

2,896

37.5％

334,463

35.5%

3,314

35.0％

36,443

5.8%

538

7.0%

39,391

4.2%

628

6.6%

51,753

8.2%

586

7.6%

55,708

5.9%

938

9.9%

288,888

45.8％

3,672

47.5％

461,630

49.0%

4,407

46.6％

実際、抗菌薬の一つであるセファゾリンナトリウム注射剤について、中国
等での製造上のトラブルに起因して長期にわたり安定的な供給が滞り、
医療の円滑な提供に深刻な影響を及ぼす事案が発生した（令和元年３月
～11 月）
。このほかの医薬品についても、様々な要因で供給不安に陥る事
案が発生している。こうした状況を受け、昨今、関係学会等から、安定的

1

比較的安い人件費、大量生産による効率化など
原料物質（出発物質）⇒中間体⇒原薬⇒製剤の流れ
3 厚生労働省による委託調査結果による（後発医薬品使用促進ロードマップ検証検
討事業 委託先：三菱 UFJ リサーチ＆コンサルティング株式会社）。調査方法：後発
医薬品の保険償還を受けている全企業を対象にアンケートを実施、調査客体：190 社
（うち 148 社が回答）（平成 30 年度調査実績）
4 自ら製造販売を行う企業の品目に加え、他社に製造委託し、販売のみを行ってい
る企業の品目も含まれている。
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