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05参考資料 帯状疱疹ワクチンファクトシート第二版[3.2MB] (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47466.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第65回 12/18)《厚生労働省》
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・血管炎・梗塞
VZV による脳脊髄炎、髄膜炎の多くは、血管炎を伴う。さらに VZV の再活性化が原因で大小血管の炎
症が梗塞性病変を引き起こし、皮質、皮質下(特に深部白質、脳室周囲上衣)の梗塞と卵形の壊死性、脱
髄性病変を生じることがある。帯状疱疹後に一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)、脳梗塞が
認められる場合がある 34。症状として、急性の片麻痺や頭痛以外に、意識変容、失語症、失調、片側知覚
障害、半盲や片眼の盲が見られることがある。頻度は高くないが、動脈瘤やクモ膜下出血、脳出血、頸動
脈解離を起こすこともある 35。
英国で自己対照研究により実施された、急性の心血管系疾患発症リスクの増大に関する研究では、65
歳以上の帯状疱疹患者で帯状疱疹発症直後 1 週間における虚血性脳梗塞の罹患率は 2.4 倍(Incidence rate
(IR) 2.37、95% CI: 2.17~2.59)
、心筋梗塞の罹患率が 1.7 倍(IR 1.68、95% CI: 1.47~1.92)に増大して
いた 36。また、スウェーデンにおけるコホート研究報告では、帯状疱疹診断から 1 年以内は、脳梗塞のリ
スクが 0~39 歳の若年者において大きく増大することが示されている(Incidence rate ratio(IRR)10.3
(95%CI: 3.87~27.6)

(表 4)29。さらに米国の医療関係者が登録された 3 種の大規模コホート(調査期
間中の帯状疱疹発症日が不明の者を除く総数 205,030 人)における検討により、帯状疱疹発症後の脳心血
管イベント発生リスクの上昇はさらに 9~12 年時点にも認められ長期にわたる可能性が示された 37。
VZV による血管炎は免疫不全者の帯状疱疹患者でより多く認められる 34。また、脳脊髄液中の抗 VZVIgG 抗体と PCR 法による VZV DNA の両方、もしくは片方の検出に基づいて VZV 血管炎と診断された
30 人について調べた研究では、37%において帯状疱疹の皮疹を認めなかったと報告されている 38。
・髄膜炎・脳炎
帯状疱疹に関連する中枢神経合併症として髄膜炎が最も頻度が高いが、脳炎は比較的稀である。その罹
患率は1/10万人・年以下であるが29、帯状疱疹入院例の2%前後を占めたとの報告もある27。デンマークに
おける全国前向きコホート研究(2015~2019年)によると、VZV脳炎の成人患者の発生率は5.3/100万人・
年、年齢中央値は75歳(四分位範囲67~83歳、免疫不全者39%)で、3か月死亡率は11%であったと報告さ
れている39。また、少数ながら免疫不全のない思春期年齢の無菌性髄膜炎や免疫不全のない5歳未満での
脳炎症例の報告もある40。
・運動神経炎
時に、帯状疱疹に関連した神経麻痺の症状として、顔面神経麻痺、横隔神経麻痺、上肢、下肢の麻痺、
排尿障害(尿閉)
・排便障害が見られることがある。
・横断性脊髄炎
帯状疱疹に合併する横断性脊髄炎(VZV 脊髄症)には、VZV の脊髄への直接感染により急性期に発症
する場合と治癒後に発症する場合と 2 つの発症機序がある。帯状疱疹発症後数日から数週間後に一相性
に痙性麻痺をきたす。HIV 感染症や免疫抑制剤による治療中の症例などでは致命的となる場合がある 41。
・内臓播種性 VZV 感染症
白血病や悪性腫瘍、臓器移植後、ネフローゼ症候群、膠原病など、基礎疾患やその治療の影響による免
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