よむ、つかう、まなぶ。
05参考資料 帯状疱疹ワクチンファクトシート第二版[3.2MB] (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47466.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第65回 12/18)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
要 約
疾病の特性
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の初感染後、脊髄後根神経節(知覚
神経節)
、脳神経節に潜伏感染している VZV が再活性化することによって、神経支配領域(デルマトー
ム)に、時に疼痛を伴う水疱が集簇して出現する疾患である。VZV の再活性化には VZV に対する特異的
な細胞性免疫の低下が関与している。85 歳の人の約 50%が帯状疱疹の罹患歴を有していると報告されて
いる。また、80 歳までに 3 人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されている。
帯状疱疹の合併症の一つに帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)がある。発症頻度は年齢や
症例定義、報告によって異なるが、PHN は帯状疱疹患者の 10~50%で生じるとされている。加齢は PHN
の重要なリスク因子である。また、ラムゼイ・ハント症候群、眼合併症、髄膜炎・脳炎、血管炎・脳梗塞、
横断性脊髄炎・運動神経炎、内臓播種性 VZV 感染症など様々な合併症が存在する。免疫不全を有する者
では、帯状疱疹の発症および重症化のリスクが高まる。さらに、水疱病変には VZV が存在することから
感染源となり、感受性者は水痘を発症する可能性がある。
帯状疱疹患者への抗ウイルス薬の投与により、ウイルス排出期間の短縮、新規皮膚病変出現の抑制、皮
膚病変の治癒の促進、疼痛期間の短縮と重症度の低減、PHN の発症頻度の減少などの効果が認められる。
抗ウイルス薬として主に現在わが国で使用されているのは、ウイルス由来の酵素によってリン酸化され
て抗ウイルス活性を示す核酸アナログ剤と、ウイルス DNA 合成にかかわる酵素活性を直接阻害する薬剤
の二通りである。抗ウイルス薬は皮疹出現後 3 日以内に投与がなされることが望ましく、遅くとも 5 日
以内に投与を開始する。PHN は帯状疱疹発症後期の知覚神経の損傷により起こることから、PHN 発症予
防にはより早期に抗ウイルス薬投与を開始することが重要である。
国内の疫学状況(及び諸外国の状況、国内との比較)
国内で実施された大規模疫学調査として、宮崎スタディ(1997~2020 年)および SHEZ スタディ(2009
~2012 年)が報告されている。宮崎スタディにおける帯状疱疹の罹患率は全体で 3.61~6.50/千人・年で
あり、年齢別・性別の罹患率は男女とも 2020 年時点で 50 歳未満は 0.37~4.80/千人・年であったが、50
歳代から上昇し、70 歳代(10.45/千人・年)でピークを示した。50 歳以上の成人を対象とした SHEZ スタ
ディでは、罹患率は 10.9/千人・年であった。帯状疱疹患者の 19.7%が PHN を発症し、年齢別では 80 歳
代で 32.9%、60 歳代で 13.6%であった。PHN の罹患率(/千人・年)は全体で 2.1(男性 1.7、女性 2.4)で
あり、男女に有意差はなかった。
韓国では、2006 年から 2015 年の 10 年間で調整後罹患率が 4.23 から 9.22/千人・年に増加し、入院率も
約 2 倍に増加した。イタリアでは、人口 10 万人あたりの入院率(/10 万人・年)は、50 歳未満、50 歳代、
60 歳代、70 歳代、80 歳以上で、それぞれ 1.31、3.83~5.28、7.19~10.31、14.07~16.99、20.48~21.55 で
あった。スペインでは、15 歳以上および 50 歳以上の罹患率は、それぞれ 5.02 と 8.60 であった。一方、
全国サーベイランス(2014~2018 年)
、スペイン入院データベース(1998~2018 年)、スペイン死亡統計
(1999~2018 年)を用いた、国際疾病分類コードに基づいて主診断または副診断に帯状疱疹診断のある
症例を抽出した解析では、帯状疱疹罹患率は 351.6/10 万人、50 歳以上では 625.5/10 万人で、罹患率は年
齢と共に増加し常に女性の方が高かった。全体の入院率は 6.75/10 万人、50 歳以上の入院率は 15.7/10 万
3
疾病の特性
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の初感染後、脊髄後根神経節(知覚
神経節)
、脳神経節に潜伏感染している VZV が再活性化することによって、神経支配領域(デルマトー
ム)に、時に疼痛を伴う水疱が集簇して出現する疾患である。VZV の再活性化には VZV に対する特異的
な細胞性免疫の低下が関与している。85 歳の人の約 50%が帯状疱疹の罹患歴を有していると報告されて
いる。また、80 歳までに 3 人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されている。
帯状疱疹の合併症の一つに帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)がある。発症頻度は年齢や
症例定義、報告によって異なるが、PHN は帯状疱疹患者の 10~50%で生じるとされている。加齢は PHN
の重要なリスク因子である。また、ラムゼイ・ハント症候群、眼合併症、髄膜炎・脳炎、血管炎・脳梗塞、
横断性脊髄炎・運動神経炎、内臓播種性 VZV 感染症など様々な合併症が存在する。免疫不全を有する者
では、帯状疱疹の発症および重症化のリスクが高まる。さらに、水疱病変には VZV が存在することから
感染源となり、感受性者は水痘を発症する可能性がある。
帯状疱疹患者への抗ウイルス薬の投与により、ウイルス排出期間の短縮、新規皮膚病変出現の抑制、皮
膚病変の治癒の促進、疼痛期間の短縮と重症度の低減、PHN の発症頻度の減少などの効果が認められる。
抗ウイルス薬として主に現在わが国で使用されているのは、ウイルス由来の酵素によってリン酸化され
て抗ウイルス活性を示す核酸アナログ剤と、ウイルス DNA 合成にかかわる酵素活性を直接阻害する薬剤
の二通りである。抗ウイルス薬は皮疹出現後 3 日以内に投与がなされることが望ましく、遅くとも 5 日
以内に投与を開始する。PHN は帯状疱疹発症後期の知覚神経の損傷により起こることから、PHN 発症予
防にはより早期に抗ウイルス薬投与を開始することが重要である。
国内の疫学状況(及び諸外国の状況、国内との比較)
国内で実施された大規模疫学調査として、宮崎スタディ(1997~2020 年)および SHEZ スタディ(2009
~2012 年)が報告されている。宮崎スタディにおける帯状疱疹の罹患率は全体で 3.61~6.50/千人・年で
あり、年齢別・性別の罹患率は男女とも 2020 年時点で 50 歳未満は 0.37~4.80/千人・年であったが、50
歳代から上昇し、70 歳代(10.45/千人・年)でピークを示した。50 歳以上の成人を対象とした SHEZ スタ
ディでは、罹患率は 10.9/千人・年であった。帯状疱疹患者の 19.7%が PHN を発症し、年齢別では 80 歳
代で 32.9%、60 歳代で 13.6%であった。PHN の罹患率(/千人・年)は全体で 2.1(男性 1.7、女性 2.4)で
あり、男女に有意差はなかった。
韓国では、2006 年から 2015 年の 10 年間で調整後罹患率が 4.23 から 9.22/千人・年に増加し、入院率も
約 2 倍に増加した。イタリアでは、人口 10 万人あたりの入院率(/10 万人・年)は、50 歳未満、50 歳代、
60 歳代、70 歳代、80 歳以上で、それぞれ 1.31、3.83~5.28、7.19~10.31、14.07~16.99、20.48~21.55 で
あった。スペインでは、15 歳以上および 50 歳以上の罹患率は、それぞれ 5.02 と 8.60 であった。一方、
全国サーベイランス(2014~2018 年)
、スペイン入院データベース(1998~2018 年)、スペイン死亡統計
(1999~2018 年)を用いた、国際疾病分類コードに基づいて主診断または副診断に帯状疱疹診断のある
症例を抽出した解析では、帯状疱疹罹患率は 351.6/10 万人、50 歳以上では 625.5/10 万人で、罹患率は年
齢と共に増加し常に女性の方が高かった。全体の入院率は 6.75/10 万人、50 歳以上の入院率は 15.7/10 万
3