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資料3-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[551KB] (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53729.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第3回 3/14)《厚生労働省》 |
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感染症(PT)
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概要
第72回日本輸血・細胞治療学会学術総会
(2024/05/30-2024/06/01)O-21
【目的】近年、梅毒届出数が全国的に増加しており、献血者の感染動向にも影響する可能性
がある。そこで、梅毒陽性献血者の動向を調査し、併せて輸血用血液製剤への影響を考察し
た。
【方法】2015年1月から2022年12月までに全国のTreponema paliidum 抗体スクリーニング検査
陽性かつRPR検査陽性で活動性梅毒と考えられる梅毒陽性献血者数と10万献血当りの陽性
者数(梅毒陽性率)を性別、年代、地域別に解析した。
【結果】対象期間の梅毒陽性献血者総数(陽性率)は3,487人(8.9人)で、男性2,808人(10.0
人)、女性679人(6.1人)と男性優位であった。年間の梅毒陽性率は、2015年の6.5人から徐々
に増加し、2022年は11.1人であった。また、献血者の梅毒陽性率と対人口10万人の国内報告
数の推移には高い相関がみられた(R2=0.899)。2015年/2022年の梅毒陽性率は、男性は、10
代:4.0人/4.2人、20代:12.6人/20.6人、30代:9.7人/19.5人、40代:6.5人/15.1人、50代:5.0人
/8.8人、60代:3.4人/2.7人で、女性は10代:4.7人/7.9人、20代:10.6人/16.2人、30代:3.0人
/15.4人、40代:2.3人/3.3人、50代:2.7人/3.3人、60代:5.7人/0.7人と、男性は20代-40代、女性
は20代-30代で高い陽性率を示した。2022年の地域別の陽性率は、東海北陸(13.4人)、関東
甲信越(12.4人)、北海道(11.4人)で全国平均(11.1人)を上回り、北海道、関東甲信越、東海
北陸、中四国で前年比25%以上の顕著な増加が認められた。
【考察】献血者の梅毒陽性率は増加傾向にあり、性別年代の傾向も国内の梅毒患者報告数
の推移と類似していたことから、献血者集団にも全国的な梅毒流行が波及していることが確
認された。献血者が梅毒陽性の場合、その後の献血は永久不適となるため、若年層の増加は
今後の献血者確保に大きく影響することが懸念される。また、HBVなどのその他の性感染症
の感染リスクの増加も危惧され、輸血用血液の安全性にも影響を与えることから、引き続き動
向を注視する必要がある。
Nature Microbiology. 9(2024)1686-1699
中国病院侵襲真菌サーベイランス・ネット・プログラムを通じ、フルコナゾールやカスポファンギ
ンに高い耐性を有する真菌属の中から、これまで報告されていなかった侵襲真菌病原体であ
るRhodosporidiobolus fluvialis (R. fluvialis )によるヒト感染(2症例)が時空間的に無関係に発
生したことが示された。2症例の血液サンプルから2株(NJ103及びTZ579)が分離された。
NJ103株は、重症の急性膵炎と急性腎障害を発症し中国南京の病院の集中治療室に入院し
た61歳の免疫抑制男性患者から分離されたものである。この患者には抗真菌療法としてフル
コナゾールとカスポファンギンが投与されたが、多臓器不全で死亡した。TZ579株は、心室性
不整脈、呼吸不全、肺炎、冠状動脈硬化性心疾患、糖尿病を有し、中国天津市の病院の集中
治療室に入院した85歳の男性患者から分離されたものである。この患者には抗真菌療法とし
てフルコナゾールが投与されたが、呼吸不全で死亡した。マウスモデルを用い、R. fluvialis は
酵母から仮性菌糸への移行を起こすこと、及び仮性菌糸の増殖がR. fluvialis の病原性を高め
ることが明らかにされた。更に、マウスへの感染や哺乳類の体温によって変異原性が誘導さ
れ、強毒性変異体が出現することが示された。また、温度による変異誘発により、異なる
Rhodosporidiobolus 種に対し汎用される3種の第一選択抗真菌薬(フルコナゾール、カスポファ
ンギン、アムホテリシンB)に対する汎耐性が誘導された。一方で、ポリミキシンBは汎耐性
Rhodosporidiobolus 変異体に対して強力な活性を示すことが明らかとなった。
38 真菌感染
ProMED-mail 20240722.8717692
中国で、これまで認められたことのないヒトに感染する真菌が検出された。60代と80代の2例
の男性が、Rhodosporidiobolus fluvialis と呼ばれる病原体に感染して既に死亡しているが、こ
の真菌がこれらの死亡の原因となったか否かは不明である。
この真菌は、2009年~2019年に中国全土の病院で治療を受けた数万人の患者から採取した
サンプルに関する研究の一環で検出された。
免疫不全マウスにおける実験では、R. fluvialis が急速に変異して「高病原性変異株」が形成さ
れること、また人間の体温では室温よりも21倍速く変異することが示された。本研究で検出さ
れた計2万7,100種の真菌のうち、希少真菌はわずか1.7%であり、これまでヒトにおいて認めら
れたことのなかった新たな種は、R. fluvialis のみであった。真菌が高温でより変異するため、
地球温暖化によって新たな病原体が出現するリスクも浮き彫りにされた。
39 細菌感染
Clinical Infection in Practice.
21(2024)100332
新しいバリオボラックス種であるバリオボラックス・デュロベルネンシスによる最初のヒト感染の
症例報告。真菌性動脈瘤の既往歴のある55歳の羊飼いの慢性大動脈血管内移植片から単
離され、全ゲノム配列決定によって同定された。
第98回日本感染症学会学術講演会・第72
回日本化学療法学会総会合同学会
(2024/06/27-2024/06/29)O-121
【症例】63歳男性。飼いネコに指を咬まれ発赤腫脹が出現。近医にてセファゾリン、バンコマイ
シンを点滴するも効果なく当科に紹介された。診察時、右第III指の発赤腫脹が顕著であり、
PIP関節に創痕があり、排膿も認めた。細菌培養を提出し、アンピシリン/スルバクタムの点滴
を施行。アモキシシリン/クラブラン酸カリウムとアモキシシリンの内服を開始した。初診3日
後、右上肢にリンパ管炎の所見あり。初診2週間後、臨床的に改善が遷延しており、X-pを施
行したところ、右III指PIP関節の脱臼と基節骨~中節骨の溶骨性変化を認めた。骨搔爬と関節
固定を実施し、抗菌薬内服は約6週間で終了した。スプリントを装着して通院リハビリを継続し
ている。培養からはCapnocytophaga 属、Pasteurella multocida を検出。Capnocytophaga 属は
16SrRNAシークエンス解析、gyrB遺伝子PCRより最終的にCapnocytophaga felis と同定した。
薬剤感受性検査はE testにてPCG8、CVA/AMPC0.125、CTRX0.75、CFPM0.19、MINO0.5、
CPFX0.5、CLDM0.016、GM>256μg/mLであった。その後、飼いネコの口腔内からも16SrRNA
シークエンス解析にて同菌種2種を同定した。
【考察】Capnocytophaga 属のうち、Capnocytophaga canimorsus 、C. cynodegmi 、C. canis につ
いてはヒトに感染し稀に重症化することが知られている。C. felis は2020年に初めて報告された
新菌種であるが、これまではネコ口腔内からの分離でありヒトへの病原性は不明であった。本
症例は免疫不全のない健康なヒトから分離された第一症例として報告する。
36 梅毒
37 真菌感染
40 細菌感染
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感染症(PT)
出典
概要
第72回日本輸血・細胞治療学会学術総会
(2024/05/30-2024/06/01)O-21
【目的】近年、梅毒届出数が全国的に増加しており、献血者の感染動向にも影響する可能性
がある。そこで、梅毒陽性献血者の動向を調査し、併せて輸血用血液製剤への影響を考察し
た。
【方法】2015年1月から2022年12月までに全国のTreponema paliidum 抗体スクリーニング検査
陽性かつRPR検査陽性で活動性梅毒と考えられる梅毒陽性献血者数と10万献血当りの陽性
者数(梅毒陽性率)を性別、年代、地域別に解析した。
【結果】対象期間の梅毒陽性献血者総数(陽性率)は3,487人(8.9人)で、男性2,808人(10.0
人)、女性679人(6.1人)と男性優位であった。年間の梅毒陽性率は、2015年の6.5人から徐々
に増加し、2022年は11.1人であった。また、献血者の梅毒陽性率と対人口10万人の国内報告
数の推移には高い相関がみられた(R2=0.899)。2015年/2022年の梅毒陽性率は、男性は、10
代:4.0人/4.2人、20代:12.6人/20.6人、30代:9.7人/19.5人、40代:6.5人/15.1人、50代:5.0人
/8.8人、60代:3.4人/2.7人で、女性は10代:4.7人/7.9人、20代:10.6人/16.2人、30代:3.0人
/15.4人、40代:2.3人/3.3人、50代:2.7人/3.3人、60代:5.7人/0.7人と、男性は20代-40代、女性
は20代-30代で高い陽性率を示した。2022年の地域別の陽性率は、東海北陸(13.4人)、関東
甲信越(12.4人)、北海道(11.4人)で全国平均(11.1人)を上回り、北海道、関東甲信越、東海
北陸、中四国で前年比25%以上の顕著な増加が認められた。
【考察】献血者の梅毒陽性率は増加傾向にあり、性別年代の傾向も国内の梅毒患者報告数
の推移と類似していたことから、献血者集団にも全国的な梅毒流行が波及していることが確
認された。献血者が梅毒陽性の場合、その後の献血は永久不適となるため、若年層の増加は
今後の献血者確保に大きく影響することが懸念される。また、HBVなどのその他の性感染症
の感染リスクの増加も危惧され、輸血用血液の安全性にも影響を与えることから、引き続き動
向を注視する必要がある。
Nature Microbiology. 9(2024)1686-1699
中国病院侵襲真菌サーベイランス・ネット・プログラムを通じ、フルコナゾールやカスポファンギ
ンに高い耐性を有する真菌属の中から、これまで報告されていなかった侵襲真菌病原体であ
るRhodosporidiobolus fluvialis (R. fluvialis )によるヒト感染(2症例)が時空間的に無関係に発
生したことが示された。2症例の血液サンプルから2株(NJ103及びTZ579)が分離された。
NJ103株は、重症の急性膵炎と急性腎障害を発症し中国南京の病院の集中治療室に入院し
た61歳の免疫抑制男性患者から分離されたものである。この患者には抗真菌療法としてフル
コナゾールとカスポファンギンが投与されたが、多臓器不全で死亡した。TZ579株は、心室性
不整脈、呼吸不全、肺炎、冠状動脈硬化性心疾患、糖尿病を有し、中国天津市の病院の集中
治療室に入院した85歳の男性患者から分離されたものである。この患者には抗真菌療法とし
てフルコナゾールが投与されたが、呼吸不全で死亡した。マウスモデルを用い、R. fluvialis は
酵母から仮性菌糸への移行を起こすこと、及び仮性菌糸の増殖がR. fluvialis の病原性を高め
ることが明らかにされた。更に、マウスへの感染や哺乳類の体温によって変異原性が誘導さ
れ、強毒性変異体が出現することが示された。また、温度による変異誘発により、異なる
Rhodosporidiobolus 種に対し汎用される3種の第一選択抗真菌薬(フルコナゾール、カスポファ
ンギン、アムホテリシンB)に対する汎耐性が誘導された。一方で、ポリミキシンBは汎耐性
Rhodosporidiobolus 変異体に対して強力な活性を示すことが明らかとなった。
38 真菌感染
ProMED-mail 20240722.8717692
中国で、これまで認められたことのないヒトに感染する真菌が検出された。60代と80代の2例
の男性が、Rhodosporidiobolus fluvialis と呼ばれる病原体に感染して既に死亡しているが、こ
の真菌がこれらの死亡の原因となったか否かは不明である。
この真菌は、2009年~2019年に中国全土の病院で治療を受けた数万人の患者から採取した
サンプルに関する研究の一環で検出された。
免疫不全マウスにおける実験では、R. fluvialis が急速に変異して「高病原性変異株」が形成さ
れること、また人間の体温では室温よりも21倍速く変異することが示された。本研究で検出さ
れた計2万7,100種の真菌のうち、希少真菌はわずか1.7%であり、これまでヒトにおいて認めら
れたことのなかった新たな種は、R. fluvialis のみであった。真菌が高温でより変異するため、
地球温暖化によって新たな病原体が出現するリスクも浮き彫りにされた。
39 細菌感染
Clinical Infection in Practice.
21(2024)100332
新しいバリオボラックス種であるバリオボラックス・デュロベルネンシスによる最初のヒト感染の
症例報告。真菌性動脈瘤の既往歴のある55歳の羊飼いの慢性大動脈血管内移植片から単
離され、全ゲノム配列決定によって同定された。
第98回日本感染症学会学術講演会・第72
回日本化学療法学会総会合同学会
(2024/06/27-2024/06/29)O-121
【症例】63歳男性。飼いネコに指を咬まれ発赤腫脹が出現。近医にてセファゾリン、バンコマイ
シンを点滴するも効果なく当科に紹介された。診察時、右第III指の発赤腫脹が顕著であり、
PIP関節に創痕があり、排膿も認めた。細菌培養を提出し、アンピシリン/スルバクタムの点滴
を施行。アモキシシリン/クラブラン酸カリウムとアモキシシリンの内服を開始した。初診3日
後、右上肢にリンパ管炎の所見あり。初診2週間後、臨床的に改善が遷延しており、X-pを施
行したところ、右III指PIP関節の脱臼と基節骨~中節骨の溶骨性変化を認めた。骨搔爬と関節
固定を実施し、抗菌薬内服は約6週間で終了した。スプリントを装着して通院リハビリを継続し
ている。培養からはCapnocytophaga 属、Pasteurella multocida を検出。Capnocytophaga 属は
16SrRNAシークエンス解析、gyrB遺伝子PCRより最終的にCapnocytophaga felis と同定した。
薬剤感受性検査はE testにてPCG8、CVA/AMPC0.125、CTRX0.75、CFPM0.19、MINO0.5、
CPFX0.5、CLDM0.016、GM>256μg/mLであった。その後、飼いネコの口腔内からも16SrRNA
シークエンス解析にて同菌種2種を同定した。
【考察】Capnocytophaga 属のうち、Capnocytophaga canimorsus 、C. cynodegmi 、C. canis につ
いてはヒトに感染し稀に重症化することが知られている。C. felis は2020年に初めて報告された
新菌種であるが、これまではネコ口腔内からの分離でありヒトへの病原性は不明であった。本
症例は免疫不全のない健康なヒトから分離された第一症例として報告する。
36 梅毒
37 真菌感染
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