よむ、つかう、まなぶ。
資料3-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[551KB] (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53729.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第3回 3/14)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
ID
感染症(PT)
41 肉胞子虫感染
42
43
44
出典
Int J Food Microbiol. 421(2024)110780
概要
オーストラリアではシカと野生のブタを含む数種類の野生動物が狩猟され、その肉が消費され
ているが、シカと野生のブタの寄生虫に関する知見は限られている。Sarcocystis は世界的に
分布する原虫で、ヒトでは腸管肉胞子虫症と横紋筋に感染する腸管外肉胞子虫症の2通りの
方法で感染する。本研究でオーストラリア南東部のシカと野生のブタにおけるSarcocystis 感
染率を調査した。
試料はニューサウスウェールズ(NSW)州北部、NSW州南部、オーストラリア首都特別地域、ビ
クトリア州北部を含むオーストラリア南東部地域で収集された。業者による定期的間引き作業
の後、野外で剖検された動物から組織(食道、肺、心臓、横隔膜、肝臓)が採取された。輸送さ
れた後、各臓器の目視と触診による検査、心臓、横隔膜、食道の組織病理学的分析と分子分
析、発見された寄生虫のDNA抽出と分子検査、配列決定とGenBankデータベースにおける一
致配列確認が行われた。
シカ90頭、野生のブタ8頭の試料が調査対象となった。目視検査では全例で肉包嚢は認めら
れなかった。51頭(陽性対照としてのSarcocystis 陽性ヒツジ2頭の試料を含む)の組織試料を
PCRにかけた結果、サンバー2頭、ダマジカ1頭、野生ブタ2頭、ヒツジ2頭の計7点の試料で陽
性となり、Sarcocystis の存在が確認された。野生のブタから得られた配列はS. miescheiana と
同一であったが、シカから得られたSarcocystis の配列と同一の配列はGenBankにはなく、最も
近い配列で類似性98-99%であった。PCRで陽性であっても目視検査では肉包嚢が認められ
なかったため、放し飼いの養豚業の重要性が高まっているオーストラリアでは、感染したブタ
が検出されることなく食肉品質検査を通過している可能性がある。本研究で同定された種はい
ずれもヒトの疾患との関連が報告されていないが、これらの種の正確な同定と診断をめぐる議
論が続いていること、いくつかの未同定種がヒトの筋肉内で時折発見されることから、ヒトへの
伝播の可能性は排除されない。
本研究は、オーストラリアのシカと野生のブタにおいてSarcocystis spp. の存在を報告した最初
の研究である、今後の研究では人獣共通感染症リスクと公衆衛生への影響を評価するため
に、狩猟肉として消費される野生動物における同定を優先すべきである。
重症熱性血小板減少症
BMC Vet Res. 20(2024)190
候群
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は東アジアにおける新興ダニ媒介性人獣共通感染症
で、患者の10-27%が致死的となる。病原体であるSFTSウイルス(SFTSV)は2009年に中国で
初めて同定され、その後はアジア諸国で症例やウイルス検出が報告されている。多くの家畜、
野生齧歯類、野生哺乳類から抗SFTSV抗体とSFTSV RNAが検出されているが、ウマの
SFTSV感染について調べた研究はほとんどない。本研究では、宮崎県都井岬に生息する御
崎馬と呼ばれる野生馬でSFTSVの血清疫学的調査を行った。御崎馬は約100頭が生息し、個
体が特定され年齢が管理されている。また、毎年9月に駆虫と血液試料採取のため捕獲され
る。
本研究では2015-2023年に180頭の御崎馬から収集された合計707点の血清試料、日本中央
競馬会から入手した競走馬293頭の血清試料、2021年11月-2022年11月に都井岬で採取した
合計516匹のマダニを分析した。SFTSV中和抗体陽性の1頭を除く292頭の競走馬はSFTSVナ
イーブ集団と考えられ、この集団の血清試料を用いた二重抗原ELISA結果を基に、ELISAカッ
トオフ値を決定した。御崎馬のSFTSVの血清陽性率を二重抗原ELISAを用いて分析した結
果、2015-2023年の全体的血清陽性率は78.5%であった。陽性率は年齢によって有意差があ
り、1歳未満11%、1歳47%、2歳63%、3歳77%、4歳以上96.7%であった。ELISA法の信頼性を
確認するため試料707点中118点を中和試験に供した結果、ELISA法と中和試験の一致率は
88.9%であった。リアルタイム逆転写PCR法を用いて全血清試料からSFTSV RNAの検出を試
みたが、RNAは検出されなかった。516匹のマダニ(5種)からもSFTSV RNAは検出されなかっ
た。
本研究ではSFTS流行地域である日本の宮崎県において野生馬のSFTSV血清学的調査を実
施し、ウマがSFTSVに感染する可能性があること、SFTSV流行地域の野生馬が高い割合で
SFTSVに曝露していることを示した。RNAが検出されなかったことから、ウマはSFTSVの自然
宿主ではないと考えられる。野生生物におけるSFTSV感染のサーベイランスは、ヒトにおける
SFTSアウトブレイクを予測するために特に重要である。
重症熱性血小板減少症
IASR. 45(2024)62-64
候群
〇本邦で初めて確認されたSFTSのヒト-ヒト感染症例
2023年4月、90代男性患者が食思不振、発熱、体動困難にて救急外来を受診。20代医師A
は、手袋をせずに患者の身体診察を行ったが患者の体液に直接触れる処置はなく、問診時も
サージカルマスクを装着していた。血液検査でSFTSが疑われ緊急入院となった。患者は個室
管理され、医療従事者はゴーグル、サージカルマスク、ガウン、一重手袋を着用して診療にあ
たった。患者はその後全身状態が悪化し、3日間の経過で死亡。死後に医師Aは、サージカル
マスク、ガウン、一重手袋を着用して留置していた中心静脈カテーテルを抜去し、抜去部の縫
合処置を行った。その際、ゴーグルは未着用。針刺し事故はなかった。患者との初めての接触
から11日後、医師Aは38℃の発熱と頭痛を自覚。SFTSVのRT-PCR検査によりSFTSの確定診
断となった。医師Aには、SFTS発症前にマダニに刺されるような野外活動歴はなく、ペット飼育
歴もなかった。患者及び医師AそれぞれのSFTSV遺伝子を配列決定し比較、M segmentとS
segment部分においては100%の相同性が認められ同一のウイルスと考えられたため、患者
から医師Aへのヒト-ヒト感染事例と診断。医師Aは、サージカルマスク、ガウン、一重手袋は装
着していたが、アイガードは使用していなかった。中心静脈カテーテルの抜去や縫合処置は、
直接ではないにしても血液に曝露される機会であった。結膜からの飛沫感染、あるいは個人
防護具を外す際に血液に接触した可能性も考えられた。
重症熱性血小板減少症
Infect Dis (Lond). 56(2024)776-782
候群
SFTSVはヒトの重症熱性疾患に関連する新興のダニ媒介ウイルスで、致死率は5-30%であ
る。2009年に中国の患者で最初に同定され、その後は日本と韓国で感染が、パキスタンとベト
ナムでヒトの血清学的曝露が報告された。しかし他の国におけるSFTSVの脅威は不明であ
る。本研究では、ケニアの健常者におけるSFTSV血清陽性率を調査した。
2016-2018年にケニアの10郡の健常者459人から収集した血清試料において、市販のSFTSV
ヒトIgG ELISAキットを用いて抗SFTSV抗体反応を試験し、性別、年齢、地理的位置ごとに結果
を記録した。抗SFTSV陽性ヒト試料のSFTSV中和活性を調べ、SFTSVに近縁で血清学的交差
反応が報告されているGuertuウイルス(GTV)とハートランドウイルス(HRTV)に対する中和活
性も調べた。結果、35.3%(162/459)という高い血清陽性率が示され、さらに間接免疫蛍光法
で78.4%(127/162)という確定率が示された。血清陽性率は女性がやや高いものの男女間で
有意差はなく、全体的に乾燥・半乾燥地域で高かった。マイクロ中和法では試料4点で中和活
性が示され、中和活性率0.9%(4/459)であった。この4人は全員が家畜を飼育していた。低い
中和活性率と高い血清陽性率はSFTSVと血清学的に近縁な他のウイルスの存在を示す可能
性があるが、162点の抗SFTSV陽性試料のいずれもGTVとHRTVに特異的な中和活性を示さ
なかった。
本研究は、ケニアにおけるSFTSVの存在とヒトにおけるSFTSV曝露の発生に対する血清学的
証拠を提供する。これは、SFTSV流行がアジアからアフリカまで広がっていることについての
我々の理解を深め、新興ダニ媒介疾患の脅威が増大していることを示唆する。
11 / 23
感染症(PT)
41 肉胞子虫感染
42
43
44
出典
Int J Food Microbiol. 421(2024)110780
概要
オーストラリアではシカと野生のブタを含む数種類の野生動物が狩猟され、その肉が消費され
ているが、シカと野生のブタの寄生虫に関する知見は限られている。Sarcocystis は世界的に
分布する原虫で、ヒトでは腸管肉胞子虫症と横紋筋に感染する腸管外肉胞子虫症の2通りの
方法で感染する。本研究でオーストラリア南東部のシカと野生のブタにおけるSarcocystis 感
染率を調査した。
試料はニューサウスウェールズ(NSW)州北部、NSW州南部、オーストラリア首都特別地域、ビ
クトリア州北部を含むオーストラリア南東部地域で収集された。業者による定期的間引き作業
の後、野外で剖検された動物から組織(食道、肺、心臓、横隔膜、肝臓)が採取された。輸送さ
れた後、各臓器の目視と触診による検査、心臓、横隔膜、食道の組織病理学的分析と分子分
析、発見された寄生虫のDNA抽出と分子検査、配列決定とGenBankデータベースにおける一
致配列確認が行われた。
シカ90頭、野生のブタ8頭の試料が調査対象となった。目視検査では全例で肉包嚢は認めら
れなかった。51頭(陽性対照としてのSarcocystis 陽性ヒツジ2頭の試料を含む)の組織試料を
PCRにかけた結果、サンバー2頭、ダマジカ1頭、野生ブタ2頭、ヒツジ2頭の計7点の試料で陽
性となり、Sarcocystis の存在が確認された。野生のブタから得られた配列はS. miescheiana と
同一であったが、シカから得られたSarcocystis の配列と同一の配列はGenBankにはなく、最も
近い配列で類似性98-99%であった。PCRで陽性であっても目視検査では肉包嚢が認められ
なかったため、放し飼いの養豚業の重要性が高まっているオーストラリアでは、感染したブタ
が検出されることなく食肉品質検査を通過している可能性がある。本研究で同定された種はい
ずれもヒトの疾患との関連が報告されていないが、これらの種の正確な同定と診断をめぐる議
論が続いていること、いくつかの未同定種がヒトの筋肉内で時折発見されることから、ヒトへの
伝播の可能性は排除されない。
本研究は、オーストラリアのシカと野生のブタにおいてSarcocystis spp. の存在を報告した最初
の研究である、今後の研究では人獣共通感染症リスクと公衆衛生への影響を評価するため
に、狩猟肉として消費される野生動物における同定を優先すべきである。
重症熱性血小板減少症
BMC Vet Res. 20(2024)190
候群
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は東アジアにおける新興ダニ媒介性人獣共通感染症
で、患者の10-27%が致死的となる。病原体であるSFTSウイルス(SFTSV)は2009年に中国で
初めて同定され、その後はアジア諸国で症例やウイルス検出が報告されている。多くの家畜、
野生齧歯類、野生哺乳類から抗SFTSV抗体とSFTSV RNAが検出されているが、ウマの
SFTSV感染について調べた研究はほとんどない。本研究では、宮崎県都井岬に生息する御
崎馬と呼ばれる野生馬でSFTSVの血清疫学的調査を行った。御崎馬は約100頭が生息し、個
体が特定され年齢が管理されている。また、毎年9月に駆虫と血液試料採取のため捕獲され
る。
本研究では2015-2023年に180頭の御崎馬から収集された合計707点の血清試料、日本中央
競馬会から入手した競走馬293頭の血清試料、2021年11月-2022年11月に都井岬で採取した
合計516匹のマダニを分析した。SFTSV中和抗体陽性の1頭を除く292頭の競走馬はSFTSVナ
イーブ集団と考えられ、この集団の血清試料を用いた二重抗原ELISA結果を基に、ELISAカッ
トオフ値を決定した。御崎馬のSFTSVの血清陽性率を二重抗原ELISAを用いて分析した結
果、2015-2023年の全体的血清陽性率は78.5%であった。陽性率は年齢によって有意差があ
り、1歳未満11%、1歳47%、2歳63%、3歳77%、4歳以上96.7%であった。ELISA法の信頼性を
確認するため試料707点中118点を中和試験に供した結果、ELISA法と中和試験の一致率は
88.9%であった。リアルタイム逆転写PCR法を用いて全血清試料からSFTSV RNAの検出を試
みたが、RNAは検出されなかった。516匹のマダニ(5種)からもSFTSV RNAは検出されなかっ
た。
本研究ではSFTS流行地域である日本の宮崎県において野生馬のSFTSV血清学的調査を実
施し、ウマがSFTSVに感染する可能性があること、SFTSV流行地域の野生馬が高い割合で
SFTSVに曝露していることを示した。RNAが検出されなかったことから、ウマはSFTSVの自然
宿主ではないと考えられる。野生生物におけるSFTSV感染のサーベイランスは、ヒトにおける
SFTSアウトブレイクを予測するために特に重要である。
重症熱性血小板減少症
IASR. 45(2024)62-64
候群
〇本邦で初めて確認されたSFTSのヒト-ヒト感染症例
2023年4月、90代男性患者が食思不振、発熱、体動困難にて救急外来を受診。20代医師A
は、手袋をせずに患者の身体診察を行ったが患者の体液に直接触れる処置はなく、問診時も
サージカルマスクを装着していた。血液検査でSFTSが疑われ緊急入院となった。患者は個室
管理され、医療従事者はゴーグル、サージカルマスク、ガウン、一重手袋を着用して診療にあ
たった。患者はその後全身状態が悪化し、3日間の経過で死亡。死後に医師Aは、サージカル
マスク、ガウン、一重手袋を着用して留置していた中心静脈カテーテルを抜去し、抜去部の縫
合処置を行った。その際、ゴーグルは未着用。針刺し事故はなかった。患者との初めての接触
から11日後、医師Aは38℃の発熱と頭痛を自覚。SFTSVのRT-PCR検査によりSFTSの確定診
断となった。医師Aには、SFTS発症前にマダニに刺されるような野外活動歴はなく、ペット飼育
歴もなかった。患者及び医師AそれぞれのSFTSV遺伝子を配列決定し比較、M segmentとS
segment部分においては100%の相同性が認められ同一のウイルスと考えられたため、患者
から医師Aへのヒト-ヒト感染事例と診断。医師Aは、サージカルマスク、ガウン、一重手袋は装
着していたが、アイガードは使用していなかった。中心静脈カテーテルの抜去や縫合処置は、
直接ではないにしても血液に曝露される機会であった。結膜からの飛沫感染、あるいは個人
防護具を外す際に血液に接触した可能性も考えられた。
重症熱性血小板減少症
Infect Dis (Lond). 56(2024)776-782
候群
SFTSVはヒトの重症熱性疾患に関連する新興のダニ媒介ウイルスで、致死率は5-30%であ
る。2009年に中国の患者で最初に同定され、その後は日本と韓国で感染が、パキスタンとベト
ナムでヒトの血清学的曝露が報告された。しかし他の国におけるSFTSVの脅威は不明であ
る。本研究では、ケニアの健常者におけるSFTSV血清陽性率を調査した。
2016-2018年にケニアの10郡の健常者459人から収集した血清試料において、市販のSFTSV
ヒトIgG ELISAキットを用いて抗SFTSV抗体反応を試験し、性別、年齢、地理的位置ごとに結果
を記録した。抗SFTSV陽性ヒト試料のSFTSV中和活性を調べ、SFTSVに近縁で血清学的交差
反応が報告されているGuertuウイルス(GTV)とハートランドウイルス(HRTV)に対する中和活
性も調べた。結果、35.3%(162/459)という高い血清陽性率が示され、さらに間接免疫蛍光法
で78.4%(127/162)という確定率が示された。血清陽性率は女性がやや高いものの男女間で
有意差はなく、全体的に乾燥・半乾燥地域で高かった。マイクロ中和法では試料4点で中和活
性が示され、中和活性率0.9%(4/459)であった。この4人は全員が家畜を飼育していた。低い
中和活性率と高い血清陽性率はSFTSVと血清学的に近縁な他のウイルスの存在を示す可能
性があるが、162点の抗SFTSV陽性試料のいずれもGTVとHRTVに特異的な中和活性を示さ
なかった。
本研究は、ケニアにおけるSFTSVの存在とヒトにおけるSFTSV曝露の発生に対する血清学的
証拠を提供する。これは、SFTSV流行がアジアからアフリカまで広がっていることについての
我々の理解を深め、新興ダニ媒介疾患の脅威が増大していることを示唆する。
11 / 23