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資料3-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[551KB] (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53729.html
出典情報 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第3回 3/14)《厚生労働省》
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ID

感染症(PT)

出典

概要
海外では、2003年にオランダ養豚従業者の家族である4歳の少女から、ヒトの医療において問
題となっている医療関連型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(HA-MRSA)、市中獲得型MRSA
(CA-MRSA)とは、遺伝子的性状などが異なるMRSAが分離され、家畜関連型MRSA(LAMRSA)として注目された。その後LA-MRSAは、オランダ、デンマークの養豚場から高率に検
出された。また、2013年の欧州の調査では、LA-MRSAは欧州では、ヒトのMRSA分離株の
3.9%を占めており、5カ国(ベルギー、デンマーク、スペイン、オランダ、スロベニア)では10%を
超えていた。LA-MRSAが検出された当初、その遺伝子的性状はMLST型が主にST398又は近
縁のCC398であり、spa型はt011又はt034、SCCmecはⅣ型又はⅤ型であり、従来のヒト由来
MRSAと明確に区別されていた。その後、世界各地よりMRSAが分離され、その遺伝子型は多
様であることが報告されている。
日本のブタでは2012年のブタ農場の調査において、初めてMRSA ST398が分離された。その
後2018年に開始したと畜場に搬入されたブタのMRSA調査において、農場陽性率は欧州と比
べて低いものの、ST398は毎年分離されている。ST398はspa型t011又はt034、SCCmecはⅣ
型又はⅤ型で、アミノグリコシド、マクロライド、テトラサイクリン系等の多くの抗菌薬と亜鉛に対
する耐性遺伝子を保有する株が優勢であり、海外のブタのMRSA ST398の遺伝子型と類似し
ている。
現在のところ日本では、ブタ農場のMRSA陽性率は欧州のように高い状況ではなく、ブタ由来
のMRSAがヒトに伝播・感染し、医療上の問題になっている状況ではないと考えるが、MRSA保
菌ブタを増やさない対策が必要である。LA-MRSAは、多くの系統の抗菌薬に対する耐性遺伝
子や亜鉛耐性遺伝子を高率に保有していることから、抗菌薬と亜鉛による選択圧を下げるた
めに、抗菌薬のより一層の慎重使用の徹底や、亜鉛の使用は、飼料安全法に基づく飼料添加
物(飼料の栄養成分の補給)に限定し、量についても必要最低限とすることを、引き続き生産
者に呼びかけていく。また、海外の事例も踏まえ、ブタから生産者等へ、また生産者からブタ
へのMRSAの直接伝播を防ぐために、手洗い等の基本的な衛生対策の徹底を周知することも
あわせて行っていく。

29 ブドウ球菌感染

IASR. 45(2024)42-43

30 リケッチア症

【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。カリフォルニア州
北部に住む2例から重度のロッキー山紅斑熱(RMSF)様の疾患を引き起こす、新たなリケッチ
ア病原体Rickettsia sp. CA6269が同定された。多座位配列タイピングにより、この病原体がR.
rickettsii に最も近縁な新規のRickettsia 遺伝子型であることが確認された。
【症例1】2023年7月に発症したRMSF疑いの男性であり、カリフォルニア州公衆衛生局に報告
された。3日前からインフルエンザ様症状があり救急科を受診した。セフトリアキソン、メトロニ
ダゾール、経口バンコマイシンによる抗菌療法を開始し、入院となった。低酸素血症、アシドー
シス、脳症、痙攣発作の増悪のため、入院3日目に集中治療室(ICU)へ転送された。ICUでの
11日を含む22日間の入院後に退院した。患者は発症19日以内にサンフランシスコ湾岸地域外
への渡航はなく、ダニ咬刺は思い当たらなかった。発症14日以内にゴルフをしており、そのいく
つかのコースでゴルフボールを取りに草木の中へ入っていた。それがダニへの曝露源となっ
た可能性があった。追跡調査としてそのゴルフコースでダニを収集したが、どのダニもR.
rickettsii 又はRickettsia sp. CA6269に感染していなかった。
【症例2】紅斑熱群(SFG)リケッチア症患者8例の検体の後向き試験により、第2の症例を認め
た。2004年にRMSFと診断された成人男性であった。同年6月に発症し、5日間の頭痛、嘔吐、
羞明、頚部痛及び錯乱を呈し救急外来を受診した。入院し、セフトリアキソン、バンコマイシン、
アシクロビルによる抗菌薬治療を開始した。入院3日目に低酸素及び昏睡状態となったため、
CDC ホームページ.
挿管しICUに4日間入室した。13日目にリケッチア脳炎の一次診断で退院した。発症前2週間に
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/30/7/2
サンフランシスコ湾岸地域外への渡航はなかったが、同期間中に公園やビーチ等を訪れキャ
3-1771_article
ンプをしていた。その公園でダニが体の上を這っていたことを思い出したが、咬まれてはいな
かった。発症後30~40日後に現地調査が実施され、3種のダニが捕集されたが、Dermacentor
属ダニの分子検査ではR. rickettsii は検出されなかった。
【考察】2例とも、急性腎障害、呼吸不全、皮膚の壊死及び壊疽、並びに脳炎などRMSFと共通
する重症な臨床症状を呈したが、Rickettsia sp. CA6269及びR. rickettsii による感染症を区別
できるような特有の臨床的特徴は認められなかった。両例とも野外活動中に地元地域で感染
したと考えられるが、ダニに咬まれた記憶はなかった。Rickettsia sp. CA6269は、SFGリケッチ
アの調査のためにカリフォルニアで収集されたHaemaphysalis leporispalustris (チマダニ)の調
査中に発見されている。研究者らは、簡易MLSTスキームの結果に基づき、この新しいリケッ
チアをR. lanei と命名することを提案した。さらにリケッチア類の配列に基づく分類のために最
初に提案された手法である全長領域のシーケンス解析を実施し、Rickettsia sp.CA6269が新し
いリケッチア種を定義する2003年の基準を満たしていることを確立した。Rickettsia sp.
CA6269の地理的分布、潜在的ベクター、感染有病率及び保有宿主を調査するためにさらなる
環境調査が必要である。H. leporispalustris の成虫はウサギとノウサギを吸血するが、幼虫と
若虫の段階は地面によく訪れる鳥類や小型齧歯類を吸血する。ヒトがH. leporispalustris に咬
まれるのはまれであり、このことはSFGリケッチア伝播におけるこのダニ種の役割が限られて
いることを示す。

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