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○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について別紙3 (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00049.html
出典情報 先進医療会議(第113回 8/4)《厚生労働省》
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【別添2】
「切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体肝移植」の期待される適
応症、効能及び効果(申請書類より抜粋)
3.期待される適応症、効能及び効果
適応症:切除不能な肝門部領域胆管癌
効能・効果:
肝・胆道がんは、完全切除のみが治癒を期待し得る疾患であるが、とくに肝門部領域胆管癌の多く
は、診断時に切除困難・不能であることが多く、切除不能症例の生命予後は極めて不良で、5 年生存
率は数%〜10%前後に留まる。日本の肝胆膵外科が積極的に大肝切除や血管合併切除などを組み合わせ
ることで予後を劇的に改善してきたが、切除不能症例は一定数存在する。近年、これらの患者に対し
集学的治療の一環として肝移植を行うことで、飛躍的に治療成績が向上したことが欧米を中心に示さ
れている。
米国では、局所進行により切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体・脳死肝移植が、Mayo Clinic
が 1990 年代に確立した一定の選択基準の下で行われれば 5 年生存率が 70%前後と非悪性疾患に対する
生体肝移植とほぼ同等であることが判明した。その後、多施設共同試験でも有効性が再現され、米国
の臓器調達移植ネットワーク(Organ Procurement and Transplantation Network)の定める通常の肝
移植適応のひとつとして認められている。現在、フランスで切除可能症例に対する切除と、術前化学
放射線療法+肝移植の無作為比較験が進行中であり、日本であれば治癒切除を目指す患者に対する肝
移植の有効性までもが議論されている。
肝門部領域胆管癌に対する肝移植は、遠隔転移(他臓器転移、リンパ節転移、腹膜播種など)を有
する場合はすでにがんが全身に広がっていると判断せざるを得ず、当然適応外となる。しかしながら
下記の病態においては完全切除不能(=従来のがんの手術では治癒不能)ではあるものの、一定の条
件のもとであれば移植適応を検討すべき余地があると考えられる。
① 肝機能が不良な症例
背景肝疾患を有し慢性肝炎〜肝硬変を来している場合、大量肝切除は術後肝不全を惹起するリス
クが著しく高いことが、日本における肝細胞癌(背景肝疾患は主に C 型肝炎ウイルスによる感染)
に対する肝切除の豊富な手術症例からよく知られている。がんの腫瘍径が大きい場合、技術的には
大量肝切除(右肝切除・右三区域切除など)で完全切除可能であっても予定残肝の機能が乏しく術
後肝不全の危険性が許容限度(日本においては残肝容積とインドシアニングリーン値を指標とす
ることが多い)を超える場合には、切除不能と判断される。


予定残肝の流入・流出血管へのがん浸潤で血行再建が困難・不能な症例
がんの腫瘍径が小さく大量肝切除を要しなくとも近接する重要脈管、予定残肝の流入・流出血管

への浸潤(たとえば左肝切除の際の右肝動脈浸潤)は切除可否に決定的な影響を与える。特に日本
を中心に積極的な動脈・門脈・肝静脈の合併切除・再建により切除限界は明らかに拡大しつつある
が、血管径が小さいなどで再建が不能な症例も存在する。再建の難度が著しく高い症例は切除不能
と判断される。


切除限界点を超えた胆管浸潤症例
胆管には解剖学的な「胆管分離限界点」
(=肝のグリソン鞘で胆管から動脈・門脈を剥離できな

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