よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について別紙3 (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00049.html
出典情報 先進医療会議(第113回 8/4)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

整理番号2
年齢

性別 男・女
整理番号3
年齢

性別 男・女


(自)
年 月 日
(至)
年 月 日
(自)
年 月 日
(至)
年 月 日

例(病名ごとに記載すること)

予定試験期間及び予定症例数の設定根拠:
本研究は、切除不能な肝門部領域胆管癌に対する移植群と非移植群の 3 年生存率から本治療法の
effect size を推定することを目的とし、実施可能な登録症例数として 20 例を設定した。本研究の参
加施設であり、本邦において最も切除実績の多い名古屋大学では残肝の機能不足または局所過進展に
より切除不能と判断された肝門部領域胆管癌患者は 10 年間に 54 名であった(Ebata T et al. Br J
Surg 2018)
。このうち年齢や本人・家族の希望などを加味すると名古屋大学のみで年間 2 名程度と考え
られる。本邦の主要 10 施設における肝門部領域胆管癌切除例をまとめた報告(Chaudhary RJ et al. J
Hepatobiliary Pancreat Sci 2019)では、名古屋大学は全体の 30%台を占めており、全国では年間で 4
〜6 名程度の登録が見込まれる。また、登録患者のうち病勢の進行またはドナー不在などにより 30%〜
40%が生体肝移植に至らず(Darwish Murad S et al. Gastroenterology 2012)、最終的に 60%で実際に
生体肝移植が施行されると想定される。本研究の登録期間である 5 年間で少なくとも 20 名が研究に参
加、そのうち 12 名が生体肝移植を受け、8 名が生体肝移植の対象から外れると予測される。
肝門部領域胆管癌に対する肝移植は米国では 2010 年に通常の移植適応として承認され、2012 年時点
までに米国ですでに 300 例弱が行われ、多施設共同研究では 5 年無再発生存率 65%と良好な成績を挙げ
ている(Darwish Murad S et al. Gastroenterology 2012)。米国において病勢進行のため移植に至ら
なかった患者群の生存期間中央値は 8 ヶ月あまりと報告されており(Darwish Murad S et al.
Hepatology 2012)、我が国における肝門部領域胆管癌の患者で非切除と判断された場合の予後(生存期
間中央値 11 ヶ月:Ebata T et al. Br J Surg 2018)と同様に不良であることから、生物学的悪性度は
米国と日本で大きく変わらないと推測される。一方で日本は生体肝移植技術を世界に先駆けて確立し
2020 年までに 9000 件以上の実績を有し、肝移植症例登録報告によれば成人生体肝移植の 5 年生存率は
70%超である。以上から、日本においても米国と同様に切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体肝移
植で良好な予後延長効果を期待できる蓋然性がある。
なお、積極的に肝門部領域胆管癌の拡大切除を行ってきた日本において「切除不能」と判断された症
例は、米国での移植症例よりもさらに進行している可能性がある。また「7-1 Primary endpoint」に述
べたように摘出肝に遺残腫瘍を認めた場合の生体肝移植後 3 年全生存率は Mayo Clinic では 40%–50%台
であった(Tan EK et al. J Am Coll Surg 2020)。以上より本試験において 3 年全生存率が 42%を上回
った場合、生体肝移植が有効と結論づける。
上記の実施可能性と臨床的根拠に基づき、生体肝移植を行った群の期待 3 年生存を 42%(12 名中 5 名
生存)
、閾値(非移植群)を 10%( Ebata T et al. Br J Surg 2018)とした場合、一標本の exact な二
項検定は有意水準 5%未満を保ち、検出力は 81%となる。本試験にあてはめると移植に至った 12 名中、
5 名で 3 年生存が得られればその割合は 41.6%(95%信頼区間:0.16–0.73)となる。

32