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○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について別紙3 (27 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00049.html |
出典情報 | 先進医療会議(第113回 8/4)《厚生労働省》 |
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i. 残肝の容積・機能不足:予定残肝容積が全肝の40%未満、またはインドシアニングリーン(ICG)
15分停滞率が10%以上、または予定残肝ICG消失率(ICG消失率:ICG-K値と残存肝容積率との
積)が0.05未満。
ii. 門脈および・または肝動脈への浸潤により予定残肝への血流保持(再建)が不能
iii. 病変が胆管分離限界点(通常、右肝切除では門脈臍部右縁、右3区域切除では門脈臍部左縁、左
肝切除では右後区域胆管が門脈右後区域枝の背側を回り込む点と、右前区域胆管の右肝動脈前
下枝(A5)
・前上枝(A8)分岐部に相当する点、左3区域切除では右後区域動門脈枝(A6/7およ
びP6/7)との剥離限界)を超えて予定残肝の末梢側へ浸潤している
iv. 原発性硬化性胆管炎に合併した局在不明の胆管癌
*原発性硬化性胆管炎の臨床診断がなされている症例で、胆管像で癌として矛盾のない狭
窄が複数箇所見られ癌の局在が特定できないもの。
注:胆管造影などで肝門部領域胆管癌の診断と矛盾しない悪性狭窄があり、パンチ生検または擦過・
胆汁細胞診で癌が証明されている、もしくは腫瘍マーカー上昇(胆管炎が否定され、かつ CA19-9 >100
U/mL)から癌の存在が強く疑われるものが対象となる。
*切除の可否判断のための胆管造影検査および生検結果から膵側の胆管断端に癌が遺残する可能性
があると考えられた場合、生体肝移植時に膵頭十二指腸切除術の付加により R0 切除が得られると想
定されれば、適格基準を満たすこととする。前述の米国 Mayo Clinic を中心とした 12 施設共同試験
(Darwish Murad S et al. Gastroenterology 2012)では肝移植に至った 214 名中 22 名(10%)で術
中に膵頭十二指腸切除術が付加された。膵の切除後は膵液漏が一般的に懸念されるが、膵頭十二指腸
切除術の付加は肝門部領域胆管癌に対する肝移植後の短期成績を有意に悪化させることはなく、癌の
再発とも相関しないことが生体・脳死いずれも含む複数の文献で示されている(Darwish Murad S et
al. Hepatology 2012, Tan EK et al. J Am Coll Surg 2020)
。
†なお肝門部領域胆管癌の切除の可否判断は外科医および施設の切除経験の多寡で異なることがよく
知られている。2019 年に発行された本邦の胆道癌診療ガイドライン改訂第 3 版では「切除不能胆道
癌とはどのようなものか?」というクリニカルクエスチョン(CQ)に対し「局所進展による切除不能
因子については明らかなコンセンサスは得られていない」と記載されている。この CQ では、左右肝
管二次分枝まで進展する Bismuth–Corlette 分類 IV や左右両側の門脈浸潤、予定残肝側の肝動脈浸
潤などは一般的に切除不能と考えられるが、このように局所進展した肝門部領域胆管癌であっても
「エキスパートが所属する少数の施設では肝三区域切除と門脈・肝動脈合併切除によって切除可能と
考える外科医もいる」と解説されている。また残肝容積と肝予備能についての CQ では、切除後の肝
不全発生を予防する目的で、術前処置として切除予定肝の門脈枝を予め塞栓させて残肝肥大を待つ門
脈塞栓術が本邦では積極的に活用されており、これが他国と比し明らかに低い死亡率に寄与している
と述べられている。同様に血管浸潤例に対する血管合併切除の適否についての CQ では「門脈合併切
除は行うことを提案する」
「肝動脈合併切除は行うことを考慮しても良い」と推奨されているが、その
解説ではいずれも本邦における肝門部領域胆管癌の high volume center では安全に合併切除が行わ
れ、一定数の長期生存が得られた報告に基づくものとある。このように本邦の low volume center や
他国の基準では切除不能とされても、high volume center では切除可能と判断し、かつ予後延長が得
られたことは日常的にしばしば経験される。以上から本研究における切除不能(切除可能境界含む)
の基準には、あくまで本邦の high volume center をもってしても切除不能な患者のみが含まれるべ
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15分停滞率が10%以上、または予定残肝ICG消失率(ICG消失率:ICG-K値と残存肝容積率との
積)が0.05未満。
ii. 門脈および・または肝動脈への浸潤により予定残肝への血流保持(再建)が不能
iii. 病変が胆管分離限界点(通常、右肝切除では門脈臍部右縁、右3区域切除では門脈臍部左縁、左
肝切除では右後区域胆管が門脈右後区域枝の背側を回り込む点と、右前区域胆管の右肝動脈前
下枝(A5)
・前上枝(A8)分岐部に相当する点、左3区域切除では右後区域動門脈枝(A6/7およ
びP6/7)との剥離限界)を超えて予定残肝の末梢側へ浸潤している
iv. 原発性硬化性胆管炎に合併した局在不明の胆管癌
*原発性硬化性胆管炎の臨床診断がなされている症例で、胆管像で癌として矛盾のない狭
窄が複数箇所見られ癌の局在が特定できないもの。
注:胆管造影などで肝門部領域胆管癌の診断と矛盾しない悪性狭窄があり、パンチ生検または擦過・
胆汁細胞診で癌が証明されている、もしくは腫瘍マーカー上昇(胆管炎が否定され、かつ CA19-9 >100
U/mL)から癌の存在が強く疑われるものが対象となる。
*切除の可否判断のための胆管造影検査および生検結果から膵側の胆管断端に癌が遺残する可能性
があると考えられた場合、生体肝移植時に膵頭十二指腸切除術の付加により R0 切除が得られると想
定されれば、適格基準を満たすこととする。前述の米国 Mayo Clinic を中心とした 12 施設共同試験
(Darwish Murad S et al. Gastroenterology 2012)では肝移植に至った 214 名中 22 名(10%)で術
中に膵頭十二指腸切除術が付加された。膵の切除後は膵液漏が一般的に懸念されるが、膵頭十二指腸
切除術の付加は肝門部領域胆管癌に対する肝移植後の短期成績を有意に悪化させることはなく、癌の
再発とも相関しないことが生体・脳死いずれも含む複数の文献で示されている(Darwish Murad S et
al. Hepatology 2012, Tan EK et al. J Am Coll Surg 2020)
。
†なお肝門部領域胆管癌の切除の可否判断は外科医および施設の切除経験の多寡で異なることがよく
知られている。2019 年に発行された本邦の胆道癌診療ガイドライン改訂第 3 版では「切除不能胆道
癌とはどのようなものか?」というクリニカルクエスチョン(CQ)に対し「局所進展による切除不能
因子については明らかなコンセンサスは得られていない」と記載されている。この CQ では、左右肝
管二次分枝まで進展する Bismuth–Corlette 分類 IV や左右両側の門脈浸潤、予定残肝側の肝動脈浸
潤などは一般的に切除不能と考えられるが、このように局所進展した肝門部領域胆管癌であっても
「エキスパートが所属する少数の施設では肝三区域切除と門脈・肝動脈合併切除によって切除可能と
考える外科医もいる」と解説されている。また残肝容積と肝予備能についての CQ では、切除後の肝
不全発生を予防する目的で、術前処置として切除予定肝の門脈枝を予め塞栓させて残肝肥大を待つ門
脈塞栓術が本邦では積極的に活用されており、これが他国と比し明らかに低い死亡率に寄与している
と述べられている。同様に血管浸潤例に対する血管合併切除の適否についての CQ では「門脈合併切
除は行うことを提案する」
「肝動脈合併切除は行うことを考慮しても良い」と推奨されているが、その
解説ではいずれも本邦における肝門部領域胆管癌の high volume center では安全に合併切除が行わ
れ、一定数の長期生存が得られた報告に基づくものとある。このように本邦の low volume center や
他国の基準では切除不能とされても、high volume center では切除可能と判断し、かつ予後延長が得
られたことは日常的にしばしば経験される。以上から本研究における切除不能(切除可能境界含む)
の基準には、あくまで本邦の high volume center をもってしても切除不能な患者のみが含まれるべ
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