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○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について別紙3 (34 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00049.html |
出典情報 | 先進医療会議(第113回 8/4)《厚生労働省》 |
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③
する。
腹腔内検索
リンパ節転移および腹膜播種の検索最終的な移植適応の決定には腹腔内検索で#13 リンパ節と#8
リンパ節を必ずサンプリングし、転移なし(このほかに術前画像で#12 リンパ節を含め転移を疑
う明らかな腫大リンパ節があれば病理診断が必須)
・腹膜播種なしを確認する。腹膜播種やリンパ
節転移の術前画像検査による正診率は十分でない。この診断のためには現時点では開腹あるいは
腹腔鏡手術による腹腔内の観察、およびリンパ節の摘出生検に頼らざるを得ない。侵襲を伴う検
査であるため、ドナーの存在が確定したところでこれを行う。腹腔内を観察し、播種を疑う結節、
もしくはリンパ節転移を疑う所見が存在すれば摘出し病理組織学的検索に供する。腹膜播種やリ
ンパ節転移が認められれば肝移植の適応から除外する。腹腔内検索については患者の全身状態や
施設条件によっては移植と同日に行うことも許容する。
④
生体肝移植手術
肝移植手術は各施設において通常行われている肝移植手術と大きな相違はないが、肝十二指腸間
膜において#12 リンパ節は触れず(上記のごとく術前画像で腫大がないことが条件)同部を en
bloc に郭清(動脈・門脈を低位で切離、必要に応じて血管グラフトを使用)
、#13a と#8a および
8p リンパ節の系統的郭清を原則とする。術中写真に基づき適切な郭清が行われたことを記録す
る。このため門脈再建のために間置静脈グラフトが求められる場合がある。また、肝動脈再建も
浸潤部位によっては右胃大網動脈を用いる、間置動脈グラフトを用いる、などの工夫が必要とな
りうるがいずれも各移植実施施設では数多く経験済みである。何らかの理由で上記の系統的な郭
清ができないと考えられる場合(膵炎の既往や胃切後など)は、術前治療に放射線治療を組み込
むことを原則とする。
膵側の胆管断端は迅速病理に提出し、陽性の場合には癌の進展程度によって胆管の追加切除また
は膵頭十二指腸切除の付加を検討する。前述の本邦のガイドラインでは、広範に進展した胆管癌
には肝葉切除を伴う膵頭十二指腸切除が有効であると推奨されている(文献 1)。一方で 2019 年
のメタアナリシスでは胆管断端が陽性であっても高度異形成または上皮内癌に留まる場合には
陰性例と生存率が変わらないことから追加切除は必須ではないとされている(文献 8)
。これらの
知見から、本研究においても膵側の胆管断端陽性例に対する追加切除の有無は、肝門部領域胆管
癌に対して本邦の主要施設で一般的に行われている肝葉切除と同様に、患者ごとに各移植実施医
療機関の研究責任者が術中に最終決定する。
⑤
測定項目、測定方法、測定者または測定機関
術後は各施設の生体肝移植の術後管理と同様の管理を行う。退院までの期間は症例により 30
日から時に 1 年を超える症例も存在するため、今回は周術期を含めた評価項目および評価時
期を熊本大学の通常の肝移植実施手順に準じて規定した(下記観察項目参照)
。熊本大学の通
常の肝移植実施手順は血液・凝固機能・生化学検査に加え、肝胆道系酵素、胸腹部レントゲン
による評価を術後約 2 週間にわたり行う。さらには免疫抑制剤の調節のため、免役抑制剤の
トラフ値の測定と、血流評価のため腹部ドップラーエコーを行う。またサイトメガロウイル
スや真菌感染症の有無について CMV 抗原 C7-HRP および β-D グルカン測定を原則週に一
度、臨床上評価が必要と思われるような状況であれば週 3 回を上限として評価を行う。その
後、術後の回復に応じて徐々に検査頻度を減らしていき、退院となる。
⑥ スケジュール:図表を用いて詳細に示す。
・患者登録~生体肝移植実施までのスケジュール
34
する。
腹腔内検索
リンパ節転移および腹膜播種の検索最終的な移植適応の決定には腹腔内検索で#13 リンパ節と#8
リンパ節を必ずサンプリングし、転移なし(このほかに術前画像で#12 リンパ節を含め転移を疑
う明らかな腫大リンパ節があれば病理診断が必須)
・腹膜播種なしを確認する。腹膜播種やリンパ
節転移の術前画像検査による正診率は十分でない。この診断のためには現時点では開腹あるいは
腹腔鏡手術による腹腔内の観察、およびリンパ節の摘出生検に頼らざるを得ない。侵襲を伴う検
査であるため、ドナーの存在が確定したところでこれを行う。腹腔内を観察し、播種を疑う結節、
もしくはリンパ節転移を疑う所見が存在すれば摘出し病理組織学的検索に供する。腹膜播種やリ
ンパ節転移が認められれば肝移植の適応から除外する。腹腔内検索については患者の全身状態や
施設条件によっては移植と同日に行うことも許容する。
④
生体肝移植手術
肝移植手術は各施設において通常行われている肝移植手術と大きな相違はないが、肝十二指腸間
膜において#12 リンパ節は触れず(上記のごとく術前画像で腫大がないことが条件)同部を en
bloc に郭清(動脈・門脈を低位で切離、必要に応じて血管グラフトを使用)
、#13a と#8a および
8p リンパ節の系統的郭清を原則とする。術中写真に基づき適切な郭清が行われたことを記録す
る。このため門脈再建のために間置静脈グラフトが求められる場合がある。また、肝動脈再建も
浸潤部位によっては右胃大網動脈を用いる、間置動脈グラフトを用いる、などの工夫が必要とな
りうるがいずれも各移植実施施設では数多く経験済みである。何らかの理由で上記の系統的な郭
清ができないと考えられる場合(膵炎の既往や胃切後など)は、術前治療に放射線治療を組み込
むことを原則とする。
膵側の胆管断端は迅速病理に提出し、陽性の場合には癌の進展程度によって胆管の追加切除また
は膵頭十二指腸切除の付加を検討する。前述の本邦のガイドラインでは、広範に進展した胆管癌
には肝葉切除を伴う膵頭十二指腸切除が有効であると推奨されている(文献 1)。一方で 2019 年
のメタアナリシスでは胆管断端が陽性であっても高度異形成または上皮内癌に留まる場合には
陰性例と生存率が変わらないことから追加切除は必須ではないとされている(文献 8)
。これらの
知見から、本研究においても膵側の胆管断端陽性例に対する追加切除の有無は、肝門部領域胆管
癌に対して本邦の主要施設で一般的に行われている肝葉切除と同様に、患者ごとに各移植実施医
療機関の研究責任者が術中に最終決定する。
⑤
測定項目、測定方法、測定者または測定機関
術後は各施設の生体肝移植の術後管理と同様の管理を行う。退院までの期間は症例により 30
日から時に 1 年を超える症例も存在するため、今回は周術期を含めた評価項目および評価時
期を熊本大学の通常の肝移植実施手順に準じて規定した(下記観察項目参照)
。熊本大学の通
常の肝移植実施手順は血液・凝固機能・生化学検査に加え、肝胆道系酵素、胸腹部レントゲン
による評価を術後約 2 週間にわたり行う。さらには免疫抑制剤の調節のため、免役抑制剤の
トラフ値の測定と、血流評価のため腹部ドップラーエコーを行う。またサイトメガロウイル
スや真菌感染症の有無について CMV 抗原 C7-HRP および β-D グルカン測定を原則週に一
度、臨床上評価が必要と思われるような状況であれば週 3 回を上限として評価を行う。その
後、術後の回復に応じて徐々に検査頻度を減らしていき、退院となる。
⑥ スケジュール:図表を用いて詳細に示す。
・患者登録~生体肝移植実施までのスケジュール
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