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○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について別紙3 (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00049.html
出典情報 先進医療会議(第113回 8/4)《厚生労働省》
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い点・しばしば左肝側では門脈臍部 U point、右肝側では門脈前後区域枝の分岐点 P point と表現
されるが症例ごとに厳密な検討を要する)が存在し、ここを超えて末梢側まで腫瘍進展が認められ
る場合は遺残を余儀なくされるため、切除不能と判断される。


原発性硬化性胆管炎に合併した局在不明の胆管癌(日本では多くない)

一方、本邦では切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体肝移植は行われていない。
主な理由のひとつとして、本邦では 1970 年代以降、肝・胆道がんの進展範囲の緻密な術前診断、
切除葉の門脈塞栓術による予定残肝の代償性肥大による大量肝切除後の肝不全予防、積極的な血管・
他臓器合併切除再建の導入などにより、世界に先駆けて切除適応を拡大し、予後を改善してきたこと
が挙げられる。このため、欧米では「切除不能」と判断され肝移植に至った症例には日本では切除適
応とされるものが含まれている可能性がある。しかしながら本邦においても前述の 4 病態のいずれ
かにより切除を断念せざるを得ない症例が一定数存在する。
二つ目には、現在の日本における肝・胆道がんに対する生体肝移植の保険適応は下記 2 疾患に限ら
れている点が挙げられる。


非代償性肝硬変に合併する肝細胞癌のうち、遠隔転移と血管侵襲を認めないもので、「肝内に
長径 5cm 以下 1 個、長径 3cm 以下 3 個以内、又は長径 5cm 以下 5 個以内かつ α−フェトプロテ
インの検査結果が 500ng/ml 以下」の症例



肝芽腫のうち、肝切除術では腫瘍の完全切除が不可能で、肝外に制御不能の病変がない症例

現状ではこの 2 疾患以外のがんに肝移植を行うことは極めて高額な自費診療となることから、た
とえ予後の改善が期待できても経済上の理由から断念せざるを得ない。
なお生体肝移植は 1990 年代以降、日本が世界を先導してきた経緯から安全性はすでに確立されてお
り、現在も保険診療下に年間約 400 例の生体肝移植が国内で施行されている。切除不能な肝門部領域胆
管癌に対し生体肝移植により完全治癒を目指した治療が行えるのであれば、患者の生命予後を劇的に
改善することが期待される。このような状況のもと、先進医療として切除不能な肝門部領域胆管癌に対
する生体肝移植の安全性・有効性の評価を行い、保険適応の拡大を慎重に進める意義は極めて大きいと
考える。

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