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今後の脳科学研究の方向性について 中間とりまとめ(案) (3 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2023/06/7050629.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第7回 6/29)《文部科学省》
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1.はじめに
高齢化や社会課題の複雑化が進む現代社会において、国民が健康で長く暮ら
せる社会を形成するためには、脳が関連する認知症やうつ病などの神経疾患・精
神疾患を克服することは重要な課題の一つである。また、例えば、認知症に関す
る我が国の状況は、2025 年(令和7年)に、認知症の患者が 700 万人前後にな
り、このうち、65 歳以上の高齢者に対する割合は、現在の約7人に1人から約
5人に1人に上昇する見込みとの推計もされている。令和4年9月に、エーザイ
株式会社より、認知症治療薬「レカネマブ」において有意な効果(認知症原因の
一つであるアミロイドβの除去)があったと公表され、令和5年1月に、アルツ
ハイマー病の進行を抑える治療薬としてアメリカで迅速承認され、世界で初め
て本格的なグローバル展開が期待される。このように、我が国はこの領域で世界
をリードしている一方で、今後、特に先進諸国の急速な高齢化の進展等に伴い、
創薬・治療法等の研究開発競争がより一層激化することが想定される。また、認
知症については、レカネマブのターゲットであるアミロイドβ以外にも、タウタ
ンパク質の蓄積や、レビー小体の出現といった原因もあり、認知症の根本治療に
向けては、疾患メカニズムの更なる解明、これをもとにした画期的な診断・治療
等のシーズ開発が求められている。
神経疾患・精神疾患を克服するためには、疾患メカニズムを解明するだけでは
なく、人間が人間らしく生きるための「こころ」の基盤である、脳の機能を理解
することも重要である。脳は他の臓器とは異なる性質を多く持ち、多様な神経細
胞が複雑なネットワークを構築し、情報処理をするという特有の機能がある。こ
のため、脳科学研究においては、脳神経ネットワークの情報を大規模かつ効率良
く読み出す技術の開発や、これらの技術により得られた情報の蓄積と、データベ
ース化によるデータ活用の加速が求められている。
諸外国では、米国では「BRAIN Initiative」、欧州では「Human Brain Project」
といった大型プロジェクトがあるなど、欧米をはじめとした世界各国が脳機能
を解明するための研究開発にしのぎを削っている。
このような背景の下、文部科学省では、社会に貢献する脳科学を目指し、霊長
類の高次脳機能を担う神経回路の全容をニューロンレベルで解明し、神経疾患・
精神疾患の克服につながるヒトの高次脳機能の解明のための研究開発・基盤整
備をするため、
「脳とこころの研究推進プログラム」を推進してきた。また、脳
神経疾患研究を効果的に進めるため、厚生労働省の「認知症研究開発事業」や「障
害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)」との連携に向けた検討が進められ
ている。
また、「脳とこころの研究推進プログラム」で推進してきた脳の機能解明は、
幅広い分野にイノベーションを創出する原動力であり、健康医療のみならず、AI、
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