よむ、つかう、まなぶ。
【参考資料5】小児がん及び小児希少難治性疾患に係る医薬品開発の推進制度に資する調査研究 令和4年度 総括・分担研究年度終了報告書 (7 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198856_00028.html |
出典情報 | 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会(第1回 7/10)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
難と判断したとの意見や小児製剤の開発要求の
再考の要望も見られ、審査方針の整理・明確化
も検討候補として考えられる。
小児対象治験が実施可能な施設は限定的である傾
向が見られており、主要医療機関での小児対象治
験実施体制を強化するとともに、例えば小児治験
ネットワークや成育医療センターが窓口となり、
関連学会と調整して施設を紹介する等の効率的な
基盤整備が望まれる。また医師主導国際共同治験
に参加しやすくなるような学会・規制側からのサ
ポートの要望も見られた。
他に、小児を対象とする国際共同試験の受入れ
緩和(日本人症例数、未承認薬併用)、FDA、EMA
との共同治験相談の要望が複数見られた他、成人
対象の場合とは異なる開発計画が必要となること
から小児に特化した相談枠新設の要望も見られ
た。規制側として対応可能な事項の検討が必要で
あろう。
小児特有の課題として、遠距離通院や入院時の
家族の負担の指摘が見られるが、分散型臨床試験
(decentralized clinical trial, DCT)の普及も
検討に値すると思料する。
期待される収益関連インセンティブ
小児を対象とした治験の実施や小児用製剤開
発のみならず、小児対象治験体制の整備等のコ
ストがかかる一方で、小児用医薬品は成人より
用量が少ないため単価が低くなり、コストを回
収可能な収益が期待できないという意見が大半
を占めた。従って、期待されるインセンティブ
は収益性の向上につながるものであった。イン
センティブ案について、1 社あたり 3 つまで選
択可としたところ、上位のインセンティブへの
期待は以下の通りであった。
✓ 薬価の加算
現在の薬価の小児加算は限定的(規程上の
加算上限は 20%だがほとんどの場合は 5%)
でコストをカバーできない、他の加算との
重複加算が認められない、複数の小児効能
を追加しても加算は最初の効能のみ等、現
行制度の課題を指摘する意見が多かった。
小児用医薬品の開発効果が高いと企業担当
が考える方策の第一位(38/67 社)は、成人
適応への薬価上メリットの拡大であった。
具体的には、小児開発計画提出時から加算
対象とする、小児適応取得後は製品の価値
が向上したと評価して薬価が加算される仕
組みなどの提案があった。他に、小児加算
の増額、他の加算との重複加算等の提案が
あった。
成人適応への薬価上のインセンティブを付
与することにより、その増収分の同効能で
の小児用医薬品開発コストへの充当・回収
に利用可能となるため、小児用医薬品開発
促進に一定の効果が期待できると考えられ
る。
✓ 特許期間の延長
現状の 5 年を超える特許期間の延長は、小
児用医薬品の開発効果が高いと企業担当が
考える方策の第二位(32/67 社)であった。
✓ 再審査期間延長の上限拡大
成人適応を含む再審査期間延長の 10 年を超
える拡大は、小児用医薬品の開発効果が高
いと企業担当が考える方策の第三位(31/67
社)であった。一方で、特許期間の方が長
いので再審査期間延長はさほど効果が無い
という意見も見られた。
小児用医薬品開発の義務化について
必要性が高い疾患に限定する、小児用医薬品開
発に係る課題を解決する、等の条件付きを含め、
肯定的な意見が 66%を占めた。課題としては、上
述した収益及び治験実施体制の他、小規模企業の
経済的負担、審査基準緩和(海外データで承認し
製販後に日本人小児の有効性・安全性を確認す
る、安全性を重視し厳密な有効性評価は求めない
等)や明確化、小児用製剤の開発要求の再考、日
米 EU の共同相談・審査などが挙げられていた。
義務化に否定的な意見は 10%だが、欧米では規
制当局との免除の議論に多大な労力がかかってい
るとの意見、現在でも FDA と EMA の意見が異なる
場合の調整の負荷が大きく PMDA の意見が異なる
場合を懸念する意見が見られたことから、規制当
局間の治験相談や審査での連携の必要性が考えら
れる。また、義務化されても国内の小児対象治験
の課題はすぐには解決されないとの意見もあり、
まずは国内の小児用医薬品開発に関する課題の解
決が必要であろう。
本邦への小児用医薬品開発義務化の導入の可能性
については、海外の制度運用上の課題並びに収益
及び治験実施体制等の国内の課題への対応も踏ま
えた慎重な検討が必要であろう。
D.考察
今後、企業対象アンケート調査結果について、自
由記載の意見を中心にさらに詳細を確認するとと
もに、アカデミア対象アンケート調査結果につい
ても集計及び解析を継続する。
製薬企業の多くは小児用医薬品開発の経験が限ら
れることも、開発を躊躇する一因となっている可
能性が考えられた。そこで、今後の小児用医薬品
治験実施体制の課題
小児対象試験の経験が豊富な企業は限られるた
めか、施設選定や症例確保に困難さを感じている
意見が多かった。医療機関対象のアンケートでも
5
再考の要望も見られ、審査方針の整理・明確化
も検討候補として考えられる。
小児対象治験が実施可能な施設は限定的である傾
向が見られており、主要医療機関での小児対象治
験実施体制を強化するとともに、例えば小児治験
ネットワークや成育医療センターが窓口となり、
関連学会と調整して施設を紹介する等の効率的な
基盤整備が望まれる。また医師主導国際共同治験
に参加しやすくなるような学会・規制側からのサ
ポートの要望も見られた。
他に、小児を対象とする国際共同試験の受入れ
緩和(日本人症例数、未承認薬併用)、FDA、EMA
との共同治験相談の要望が複数見られた他、成人
対象の場合とは異なる開発計画が必要となること
から小児に特化した相談枠新設の要望も見られ
た。規制側として対応可能な事項の検討が必要で
あろう。
小児特有の課題として、遠距離通院や入院時の
家族の負担の指摘が見られるが、分散型臨床試験
(decentralized clinical trial, DCT)の普及も
検討に値すると思料する。
期待される収益関連インセンティブ
小児を対象とした治験の実施や小児用製剤開
発のみならず、小児対象治験体制の整備等のコ
ストがかかる一方で、小児用医薬品は成人より
用量が少ないため単価が低くなり、コストを回
収可能な収益が期待できないという意見が大半
を占めた。従って、期待されるインセンティブ
は収益性の向上につながるものであった。イン
センティブ案について、1 社あたり 3 つまで選
択可としたところ、上位のインセンティブへの
期待は以下の通りであった。
✓ 薬価の加算
現在の薬価の小児加算は限定的(規程上の
加算上限は 20%だがほとんどの場合は 5%)
でコストをカバーできない、他の加算との
重複加算が認められない、複数の小児効能
を追加しても加算は最初の効能のみ等、現
行制度の課題を指摘する意見が多かった。
小児用医薬品の開発効果が高いと企業担当
が考える方策の第一位(38/67 社)は、成人
適応への薬価上メリットの拡大であった。
具体的には、小児開発計画提出時から加算
対象とする、小児適応取得後は製品の価値
が向上したと評価して薬価が加算される仕
組みなどの提案があった。他に、小児加算
の増額、他の加算との重複加算等の提案が
あった。
成人適応への薬価上のインセンティブを付
与することにより、その増収分の同効能で
の小児用医薬品開発コストへの充当・回収
に利用可能となるため、小児用医薬品開発
促進に一定の効果が期待できると考えられ
る。
✓ 特許期間の延長
現状の 5 年を超える特許期間の延長は、小
児用医薬品の開発効果が高いと企業担当が
考える方策の第二位(32/67 社)であった。
✓ 再審査期間延長の上限拡大
成人適応を含む再審査期間延長の 10 年を超
える拡大は、小児用医薬品の開発効果が高
いと企業担当が考える方策の第三位(31/67
社)であった。一方で、特許期間の方が長
いので再審査期間延長はさほど効果が無い
という意見も見られた。
小児用医薬品開発の義務化について
必要性が高い疾患に限定する、小児用医薬品開
発に係る課題を解決する、等の条件付きを含め、
肯定的な意見が 66%を占めた。課題としては、上
述した収益及び治験実施体制の他、小規模企業の
経済的負担、審査基準緩和(海外データで承認し
製販後に日本人小児の有効性・安全性を確認す
る、安全性を重視し厳密な有効性評価は求めない
等)や明確化、小児用製剤の開発要求の再考、日
米 EU の共同相談・審査などが挙げられていた。
義務化に否定的な意見は 10%だが、欧米では規
制当局との免除の議論に多大な労力がかかってい
るとの意見、現在でも FDA と EMA の意見が異なる
場合の調整の負荷が大きく PMDA の意見が異なる
場合を懸念する意見が見られたことから、規制当
局間の治験相談や審査での連携の必要性が考えら
れる。また、義務化されても国内の小児対象治験
の課題はすぐには解決されないとの意見もあり、
まずは国内の小児用医薬品開発に関する課題の解
決が必要であろう。
本邦への小児用医薬品開発義務化の導入の可能性
については、海外の制度運用上の課題並びに収益
及び治験実施体制等の国内の課題への対応も踏ま
えた慎重な検討が必要であろう。
D.考察
今後、企業対象アンケート調査結果について、自
由記載の意見を中心にさらに詳細を確認するとと
もに、アカデミア対象アンケート調査結果につい
ても集計及び解析を継続する。
製薬企業の多くは小児用医薬品開発の経験が限ら
れることも、開発を躊躇する一因となっている可
能性が考えられた。そこで、今後の小児用医薬品
治験実施体制の課題
小児対象試験の経験が豊富な企業は限られるた
めか、施設選定や症例確保に困難さを感じている
意見が多かった。医療機関対象のアンケートでも
5