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資料1-2 カルベジロール 調査結果報告書及び添付文書[1.9MB] (51 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38855.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和5年度第15回 3/26)《厚生労働省》
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16. 薬物動態

16.3 分布
16.3.1 組織分布
ラットに14C-カルベジロール10mg/kgを単回経口投与した
場合、組織内放射能濃度は多くの組織で投与後1~3時間で
最高濃度に達した。投与後1時間では消化管、肝、肺、腎、
副腎の順に高く、脳、生殖器では低値であった。
16.3.2 蛋白結合率
14
C-カルベジロールのヒト血清蛋白に対する結合性を50~
1,000ng/mLの濃度範囲で平衡透析法を用いて検討したと
ころ、94.2~96.1%の結合率であった(in vitro)

16.4 代謝
16.4.1 血漿及び尿中代謝物
健康成人男性3例に14C-カルベジロール50mgを経口投与し
た場合、主要代謝物は未変化体のグルクロン酸抱合体[血漿
中存在率22%(投与後1.5時間)、尿中存在率32.4%(投与後
12時間までの蓄積尿)]であった(外国人データ)。カルベジ
ロールの主要な消失経路は代謝である。
16.4.2 薬物の肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450分子種
カルベジロールの代謝に関与するチトクロームP450の主な
分子種はCYP2D6及びCYP2C9であり、次いでCYP3A4、
CYP1A2、CYP2E1が関与した3)。[10. 参照]
16.5 排泄
健康成人男性3例に14C-カルベジロール50mgを経口投与した
場合、放射能排泄率は投与168時間では尿中に15.9%、糞中
に59.5%であった(外国人データ)。
健康成人男性5例にカルベジロール20mgを単回経口投与した
場合、投与後48時間までの尿中未変化体排泄率は投与量の約
0.2%、糞中未変化体排泄率は約22.7%であった1)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎実質性高血圧患者9例にカルベジロール5mgを単回及び
連続経口投与したとき、血清クレアチニン値が6mg/dL以
下の腎機能障害患者では、Cmaxの上昇はみられず、連続
投与においても健康成人と同様、蓄積性は認められなかっ
たが、血清クレアチニン値が6mg/dL以上の腎機能障害患
者では、健康成人に比べCmaxが上昇する傾向が認められ
た4)。[9.2.1 参照]
16.6.2 透析患者
透析患者6例にカルベジロール10mgを透析直前に単回経口
投与し、投与5時間まで透析を実施したときの血漿中未変
化体濃度推移は、健康成人に比してTmaxがやや遅延した
が、Cmaxには差がなかった5)。[13.2 参照]
16.6.3 肝機能障害患者
肝硬変患者6例にカルベジロール25mgを空腹時単回経口投
与したとき、全身クリアランスが健康成人の64%に低下し、
Cmaxは4.4倍に上昇した。[9.3.1 参照]

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性にカルベジロールを10及び20mg(各投与量5
例)を単回経口投与したとき、Cmaxはそれぞれ22.6±4.7、
53.1±14.7ng/mLであり、投与量にほぼ比例して上昇した。
また、連続経口投与においても蓄積性は認められなかった1)。
単回経口投与時のカルベジロールの血漿中濃度推移

単回経口投与時のカルベジロールの薬物動態パラメータ
投与量
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
t1/2(hr)
AUC(ng・hr/mL)

10mg
0.9±0.3
22.6±4.7
4.26±1.43
59.9±12.7

20mg
0.9±0.1
53.1±14.7
8.03±1.92
232.5±68.1

算術平均値±標準誤差

注)本剤の承認された投与経路は、経口投与である。
‌

16.1.2 本態性高血圧症患者
(1)単回投与
本態性高血圧症患者4例にカルベジロール10mgを食後経口投
与したとき、投与2時間後の血漿中濃度は25.1±8.0ng/mLで
あった。健康成人男性4例にカルベジロール10mgを食後経口
投与した場合の投与2時間後の血漿中濃度
(21.8±5.6ng/mL)
と同程度であり、本態性高血圧症患者における血漿中濃度の
推移は健康成人と類似していた。
16.1.3 狭心症患者
(1)単回投与
狭心症患者15例にカルベジロール10mgを食後経口投与した
とき、投与2時間後の血漿中濃度は18.8±4.1ng/mLであっ
た。健康成人男性4例にカルベジロール10mgを食後経口投
与した場合の投与2時間後の血漿中濃度(21.8±5.6ng/mL)
と同程度であり、狭心症患者における血漿中濃度の推移は健
康成人男性と類似していた。
16.1.4 慢性心不全患者
(1)反復投与
軽症~中等症の慢性心不全患者にカルベジロールを1回2.5、
5、10mg(各投与量9例)、1日2回連続食後経口投与し、約
1週間後のCmaxはそれぞれ10.1±1.7、25.0±5.0、52.8
±10.4ng/mLであり、投与量にほぼ比例して上昇した。ま
た、1回10mg、1日2回連続食後経口投与し、約1週間後の
薬物動態パラメータは次のとおりであり、健康成人男性7
例に比して慢性心不全ではCmaxが約2倍、AUCが約4倍
に上昇する傾向が認められた。

17. 臨床成績

慢性心不全患者におけるカルベジロールの薬物動態パラメータ

10mg 1日2回連続投与
10mg 1日2回連続投与
(軽症~中等症慢性心
(健康成人男性)
不全患者)
Tmax(hr)
2.4±0.4
2.6±0.4
Cmax(ng/mL)
22.9±4.5
52.8±10.4
t1/2
(hr)
3.25±0.67
4.36±0.41
AUC(ng・hr/mL)
81.3±9.6
297.1±64.9
投与量
(被験者)

算術平均値±標準誤差

注1)
本剤の本態性高血圧症に対する承認用量は10~20mgである。
‌

16.2 吸収
健康成人男性20例(19~45歳)にカルベジロール12.5mg静脈
内投与注)
(1時間注入)、25及び50mgの経口投与(カプセル)を
1~2週間間隔で行い血漿中未変化体濃度を測定した結果、絶
対生物学的利用率は22~24%であった2)
(外国人データ)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈本態性高血圧症(軽症~中等症)〉
17.1.1 国内臨床試験
二重盲検を含む試験において、本態性高血圧症に対する有
効率(下降以上)は、70.9%(502/708例)であった6)-9)。
17.1.2 国内第Ⅲ相試験
軽・中等度本態性高血圧症患者を対象とした二重盲検比較
試験において、カルベジロール5~20mg注1)を114例に、ラ
ベタロール150~450mgを115例に12週間経口投与した。
著明下降あるいは下降の降圧効果(下降以上)を示したのは、
カルベジロール群で52.3%(56/107例)、ラベタロール群
で62.5%(70/112例)であった。また、12週間投与された
完了例において、投与終了時の平均血圧降下度が13mmHg
以上の下降症例はそれぞれ、63.3%(50/79例)、66.3%
(53/80例)であった。副作用発現率はカルベジロール群で
8.4%(9/107例、11件)であり、主なものは徐脈、ふらつ
きが各2件であった。
17.1.3 国内臨床試験(長期)
本態性高血圧症患者94例に対して、カルベジロール単独(5
~20mg 注1))又は利尿薬との併用で1年以上投与したとき、
著明下降あるいは下降の降圧効果を示したのは66.3%
(59/89例)であった。副作用発現率は11.7%(11/94例、
16件)であり、主なものは徐脈3件、めまい、全身倦怠感が
各2件であった9)。

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