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資料2-3 重篤副作用疾患別対応マニュアル ネフローゼ症候群(案)[2.1MB] (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00011.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第16回 10/17)《厚生労働省》
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腎不全や間質性腎炎合併症例では両側の腎腫大を認めることがあります。
また、超音波検査や CT 検査により、腎臓の形態のみならず、全身の悪性腫
瘍の有無を鑑別することも重要です。

(6)病理組織所見(腎臓)
薬剤によるネフローゼ症候群では、一般的に、膜性腎症および微小変化
型を呈することが多いとされています。膜性腎症の典型症例では、腎生検
光学顕微鏡所見で糸球体基底膜の肥厚、棘形成、点刻形成などが認められ
ます。また、免疫蛍光抗体法にて糸球体基底膜に沿った顆粒状の IgG や補
体の沈着が証明されます。電子顕微鏡所見では、糸球体基底膜上皮下に高
電子密度沈着物を認めます。一方、微小変化型では、光学顕微鏡所見として
明らかな糸球体障害は認めず、電子顕微鏡所見にて足突起の消失を認めま
す。微小変化型における薬剤による特異的所見は一般的にはなく、一次性
糸球体病変との鑑別は難しいと考えられます。微小変化型にくわえて、間
質性腎炎の合併を呈している症例も報告されています。
また、近年の分子標的治療薬・生物学的製剤の進歩により、あらたな薬剤
性ネフローゼ症候群の発症が報告されています。血管新生や腫瘍増殖・転移
の抑制作用を有する抗血管内皮増殖因子抗体(ベバシズマブ)
、抗血管内皮
増殖因子受容体抗体(ラムシルマブ)
、チロシンキナーゼ阻害薬(スニチニ
ブリンゴ酸塩、ソラフェニブトシル酸塩)は糸球体血管内皮細胞障害を惹起
することで、血栓性微小血管障害症によるネフローゼ症候群をきたすことが
知られています。免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズ
マブ、イピリムマブ)は急性尿細管間質性腎炎が多く糸球体疾患は比較的稀
ですが、pauci-immune 型腎炎・腎血管炎や C3 腎症、微小変化型など様々な
報告があります。その中でもネフローゼ症候群の報告は少数ですが、微小変
化型や膜性腎症などが報告されています 6)。
表 2 に各薬剤によるネフローゼ症候群の典型的組織像を示します。

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