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資料2-3 重篤副作用疾患別対応マニュアル ネフローゼ症候群(案)[2.1MB] (21 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00011.html |
出典情報 | 重篤副作用総合対策検討会(第16回 10/17)《厚生労働省》 |
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原となることで自己抗体および免疫複合体が形成されることが推測されて
います 9)。
NSAIDs による薬剤性ネフローゼ症候群の代表的組織型は微小変化型であ
り、尿細管間質性腎炎を伴うことが知られています 10)。発症機序として、
NSAIDs がシクロオキシゲナーゼ活性を阻害することにより、プロスタグラ
ンジン(PG)E2 や PGI2、トロンボキサン(TX)A2 の産生が抑制され、一方白
血球走化因子として働くロイコトリエンなどリポキシゲナーゼ代謝物の産
生が亢進することによると考えられています。その結果、T リンパ球の機能
亢進によるリンフォカイン産生の増加から、糸球体基底膜の透過性の亢進
をもたらし、ネフローゼ症候群を来たすと考えられています 11)。
ビスホスホネート系骨吸収抑制薬のパミドロン酸二ナトリウム水和物は
悪性腫瘍による高 Ca 血症や乳癌の溶骨性骨転移および骨形成不全症の治
療薬として使用されています。同製剤によるネフローゼ症候群の発症は用
量依存性があり、長期大量投与後に生じやすいと報告されています 12)。ま
た多くの症例で腎機能障害を伴うネフローゼ症候群となることも特徴とさ
れています。同製剤は糸球体上皮細胞に対して直接毒性をもち、腎組織所
見として巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の collapsing バリアントを呈し
ます 13)。同じビスホスホネート系骨吸収抑制薬のゾレドロン酸水和物にお
いても、長期使用の場合に FSGS の合併が報告されています 14)。
血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)は血
管内皮細胞の遊走・増殖を制御し、血管透過性の亢進に関与する増殖因子
として知られています。そのため、ベバシズマブ(抗 VEGF 抗体)
・ラムシ
ルマブ(抗 VEGF 受容体抗体)や VEGF 受容体シグナル阻害作用を有するチ
ロシンキナーゼ阻害薬(パゾパニブ塩酸塩、スニチニブリンゴ酸塩、ソラフ
ェニブトシル酸塩など)は血管新生や腫瘍増殖・転移の抑制作用を期待し
て使用されます。一方、これら VEGF を標的とする薬剤は、糸球体内皮細胞
障害を惹起することで、血栓性微小血管障害症によるネフローゼ症候群を
きたすことが知られています。これらの薬剤の休薬により、蛋白尿は可逆
的に改善する場合が多いですが、不可逆性の腎不全に進展することも報告
20
います 9)。
NSAIDs による薬剤性ネフローゼ症候群の代表的組織型は微小変化型であ
り、尿細管間質性腎炎を伴うことが知られています 10)。発症機序として、
NSAIDs がシクロオキシゲナーゼ活性を阻害することにより、プロスタグラ
ンジン(PG)E2 や PGI2、トロンボキサン(TX)A2 の産生が抑制され、一方白
血球走化因子として働くロイコトリエンなどリポキシゲナーゼ代謝物の産
生が亢進することによると考えられています。その結果、T リンパ球の機能
亢進によるリンフォカイン産生の増加から、糸球体基底膜の透過性の亢進
をもたらし、ネフローゼ症候群を来たすと考えられています 11)。
ビスホスホネート系骨吸収抑制薬のパミドロン酸二ナトリウム水和物は
悪性腫瘍による高 Ca 血症や乳癌の溶骨性骨転移および骨形成不全症の治
療薬として使用されています。同製剤によるネフローゼ症候群の発症は用
量依存性があり、長期大量投与後に生じやすいと報告されています 12)。ま
た多くの症例で腎機能障害を伴うネフローゼ症候群となることも特徴とさ
れています。同製剤は糸球体上皮細胞に対して直接毒性をもち、腎組織所
見として巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の collapsing バリアントを呈し
ます 13)。同じビスホスホネート系骨吸収抑制薬のゾレドロン酸水和物にお
いても、長期使用の場合に FSGS の合併が報告されています 14)。
血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)は血
管内皮細胞の遊走・増殖を制御し、血管透過性の亢進に関与する増殖因子
として知られています。そのため、ベバシズマブ(抗 VEGF 抗体)
・ラムシ
ルマブ(抗 VEGF 受容体抗体)や VEGF 受容体シグナル阻害作用を有するチ
ロシンキナーゼ阻害薬(パゾパニブ塩酸塩、スニチニブリンゴ酸塩、ソラフ
ェニブトシル酸塩など)は血管新生や腫瘍増殖・転移の抑制作用を期待し
て使用されます。一方、これら VEGF を標的とする薬剤は、糸球体内皮細胞
障害を惹起することで、血栓性微小血管障害症によるネフローゼ症候群を
きたすことが知られています。これらの薬剤の休薬により、蛋白尿は可逆
的に改善する場合が多いですが、不可逆性の腎不全に進展することも報告
20