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資料2-3 重篤副作用疾患別対応マニュアル ネフローゼ症候群(案)[2.1MB] (22 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00011.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第16回 10/17)《厚生労働省》
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されています 15)。
関節リウマチ、炎症性腸疾患や尋常性乾癬に広く使用されている腫瘍壊
死因子を標的とした生物学的製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、ア
ダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ ペゴル)は、機序は不明である
ものの微小変化型や膜性腎症を呈することが報告されています。また、抗
核抗体や低補体血症をともなったループス腎炎や、抗好中球細胞質抗体陽
性の半月体形成性腎炎を認めた報告もあります 16-18)。
悪性腫瘍やウイルス性肝炎に使用されるインターフェロン製剤は、糸球
体上皮細胞障害を誘導することでネフローゼ症候群の原因となります。イ
ンターフェロン製剤にはα、βおよびγ製剤がありますが、なかでもαな
らびにβ製剤によるネフローゼ症候群の報告がなされています。その組織
型としては、微小変化型や膜性腎症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性増殖性
糸球体腎炎など広範にわたる報告がなされています 19,20)。発症機序はいま
だ不明な点が多いですが、インターフェロンに対する自己抗体が産生され
ることで免疫複合体が産生されることや、免疫系の活性化により各種サイ
トカインが放出され、直接・間接的に血管透過性を制御することなどが考
えられています。
近年悪性腫瘍の治療に使用されるようになった免疫チェックポイント阻
害薬は「免疫のブレーキ」をはずすことで腫瘍に対する免疫を促進して抗
腫瘍効果を発揮する薬剤群ですが、免疫関連有害事象と呼ばれる副作用を
様々な臓器に引き起こすことが知られています。腎臓での有害事象として
は急性間質性腎炎の頻度が高いですが、一部にネフローゼ症候群の報告も
あります。免疫チェックポイント阻害薬に関連する腎障害のうち、腎生検
で診断された糸球体傷害 45 例の系統的レビューによると、Pauci-immune 糸
球体腎炎または腎血管炎(12 例)に次いで多かったのが微小変化群または
巣状分節性糸球体硬化症(11 例)であり、膜性腎症と診断された症例も1
例のみですが報告されています 6)。発症機序は明らかではありませんが、薬
剤投与による T リンパ球制御の変化が関与している可能性や、薬剤による
B7-1 分子への直接的影響などの可能性が検討されています 21)。
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