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資料1-2-9診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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レノックス・ガストー症候群
ウエスト症候群
大田原症候群
早期ミオクロニー脳症
遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん

○ 概要
1.概要
乳幼児期に発症するてんかんの中には、年齢依存性に発症し、発作コントロールが難しく、知的予後が不良
なてんかん症候群が複数ある。近年、発達性てんかん性脳症と呼ばれ、原因は一部共通することはあるが、多
くは異なり、発作症状や脳波の特徴、治療方法も異なるため、異なる疾患の集合体である。ここでは、こうした症
候群のうち、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、遊走性焦点発
作を伴う乳児てんかんを取り上げた。
1) レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut 症候群)は、:小児期に発症する難治性てんかんを主症状
とするてんかん症候群で、①強直発作や非定型欠神発作、脱力発作を中心とした多彩なてんかん発作が出
現、②睡眠時の速律動、全般性遅棘徐波複合といった特徴的な脳波所見がある、③知的障害や失調症状、
睡眠障害などを合併する。関連する脳症には、ウエスト症候群、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、遊
走性焦点発作を伴う乳児てんかんなどがあり、これらは新生児期~幼児期の年齢依存性で、のちにレノック
ス・ガストー症候群に移行することもあるが、他の全般・部分てんかんを呈することもある。いずれも極めて難
治である。
2) ウエスト症候群(West syndrome): 欧米では乳児攣縮とも呼ばれることもある。その成因は多彩であり、
出生前由来の結節性硬化症から後天的な急性脳炎後遺症まで様々である。発症前の発達は、重度の遅れ
がある場合から正常発達まである。好発年齢は 1 歳以下で、2 歳以上は稀である。その発作は特異であり、
座位や立位では頭部を一瞬垂れることから、日本では点頭発作と呼ばれている。以前はミオクロニー発作に
分類されたり、強直発作に近いということで強直スパズムと呼ばれたりした時期もあったが、最近では独立し
た発作型概念として「てんかん性スパズム(Epileptic spasms: ES)」として分類されるようになった。発作は単
独でも出現するが、多くは「シリーズ形成」と称される様に周期性(5~40 秒毎)に出現するのが特徴である。
脳波所見も特徴的で、Gibbs らにより「ヒプスアリスミア」と命名された無秩序な高振幅徐波と棘波から構成さ
れる特異な発作間欠期脳波を呈する。覚醒時、睡眠時を問わずほぼ連続して高度の全般性異常波が出現し、
ウエスト症候群が属する「てんかん性脳症」の概念の中核を成す所見である。発作予後、知的予後は不良と
され、急速な精神運動発達の停止や退行は不可逆性の場合が多い。治療法には限界があるが、ACTH 療法
やビガバトリンが本症候群治療の主流を成している。てんかん発作の予後として 30~40%の症例は、その後
にレノックス・ガストー症候群に移行する。
3) 大田原症候群:重症の発達性てんかん性脳症。早期乳児てんかん性脳症(EIEE)とも言う。新生児〜乳
児期早期に発症し、ES を主要発作型とする。焦点発作を伴うこともある。脳波ではサプレッション・バーストパ
ターンが覚醒時・睡眠時を問わず出現する。脳形成異常や遺伝子変異など原因は多様。発達に伴い、ウエ
スト症候群やレノックス・ガストー症候群へと年齢的変容を示す。

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