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資料1-2-9診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (57 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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151 ラスムッセン脳炎
○ 概要
1.概要
限局性に細胞傷害性 T 細胞を主役とした自己免疫性炎症がおこり、通常はてんかん発作で発病する慢
性進行性の疾患である。健常者に何らかの先行感染症やワクチン接種があった後に、あるいは先行感染
なく限局性に細胞傷害性 T 細胞を主役とした自己免疫性炎症が起こり、通常はてんかん発作で発病発症
する。てんかん発作が難治に経過し、次第に片麻痺・知的障害などが出現し、半球性の萎縮が MRI で明ら
かとなる。発病年齢は平均 9.0(±10.3)歳だが、成人でも発病しうる。
2.原因
細胞傷害性 T 細胞を主役とした自己免疫性炎症が推測されている。皮質形成異常を合併する症例もあ
る。
3.症状
てんかん発作は焦点性発作であり、約半数の症例にみられる持続性部分てんかん(Epilepsia partialis
continua:EPC)が特徴で、I 指や II 指に持続性のミオクローヌスとしてみられることが多いが、顔面や舌に
みられることもある。てんかん発作頻度は徐々に増加し、群発するようになるが、数年の経過で後遺症期
になると、減少する。
脳波では、初期に限局性の徐波が出現、徐々に一側広汎性に広がる。
MRI では初期には FLAIR などで高信号病変が見られることがあり、その後葉脈状の皮質の萎縮が出現し
てくることがある。更にさらに経過すると半球性の萎縮となる。
髄液検査では、初期には細胞増多がみられることがあるが、すぐに消退する。髄液中の細胞傷害性 T 細
胞の分泌する granzyme B の定量が診断に重要で、グルタミン酸受容体である GluN2B に対する抗体も参
考となる。これらの免疫因子の測定は静岡てんかん・神経医療センターで行っている。
4.治療法
抗てんかん薬、免疫修飾治療(メチルプレドニゾロンパルス、ガンマグロブリン(IVIg)、タクロリムス、血漿
交換など)、てんかん外科治療(機能的半球切除術)、リハビリテーションなどが集学的に行われる。言語優
位半球障害例では機能的半球切除術(半球離断術)は幼児例を除いて行えない場合が多く、免疫修飾治
療と抗てんかん薬治療が主体となる。言語非優位側障害例では、運動麻痺が出現するまでは機能的半球
切除術は行えない場合が多く、免疫修飾治療と抗てんかん薬治療が主体となる。
5.予後
定期的に行うメチルプレドニゾロンパルス治療の、発作が抑制される症例の割合(seizure free rate
((SFR)))は5%、IQ が 80 以上に保たれた症例の割合(R80)は 50%、運動機能が悪化する症例の割合
(rate of motor function aggravation, AR)は 10%である。定期定期的に行う IVIg治療の SFR は0%、R80 は
43%、AR は 62%である。タクロリムス治療の SFR は8%、R80 は 29%、AR は0%である。言語非優位側
障害例の機能的半球切除術の SFR は 71%で、R80 は0%である。このように多くの症例で発作が持続し、
認知機能の低下、運動障害の出現を回避できていない。
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○ 概要
1.概要
限局性に細胞傷害性 T 細胞を主役とした自己免疫性炎症がおこり、通常はてんかん発作で発病する慢
性進行性の疾患である。健常者に何らかの先行感染症やワクチン接種があった後に、あるいは先行感染
なく限局性に細胞傷害性 T 細胞を主役とした自己免疫性炎症が起こり、通常はてんかん発作で発病発症
する。てんかん発作が難治に経過し、次第に片麻痺・知的障害などが出現し、半球性の萎縮が MRI で明ら
かとなる。発病年齢は平均 9.0(±10.3)歳だが、成人でも発病しうる。
2.原因
細胞傷害性 T 細胞を主役とした自己免疫性炎症が推測されている。皮質形成異常を合併する症例もあ
る。
3.症状
てんかん発作は焦点性発作であり、約半数の症例にみられる持続性部分てんかん(Epilepsia partialis
continua:EPC)が特徴で、I 指や II 指に持続性のミオクローヌスとしてみられることが多いが、顔面や舌に
みられることもある。てんかん発作頻度は徐々に増加し、群発するようになるが、数年の経過で後遺症期
になると、減少する。
脳波では、初期に限局性の徐波が出現、徐々に一側広汎性に広がる。
MRI では初期には FLAIR などで高信号病変が見られることがあり、その後葉脈状の皮質の萎縮が出現し
てくることがある。更にさらに経過すると半球性の萎縮となる。
髄液検査では、初期には細胞増多がみられることがあるが、すぐに消退する。髄液中の細胞傷害性 T 細
胞の分泌する granzyme B の定量が診断に重要で、グルタミン酸受容体である GluN2B に対する抗体も参
考となる。これらの免疫因子の測定は静岡てんかん・神経医療センターで行っている。
4.治療法
抗てんかん薬、免疫修飾治療(メチルプレドニゾロンパルス、ガンマグロブリン(IVIg)、タクロリムス、血漿
交換など)、てんかん外科治療(機能的半球切除術)、リハビリテーションなどが集学的に行われる。言語優
位半球障害例では機能的半球切除術(半球離断術)は幼児例を除いて行えない場合が多く、免疫修飾治
療と抗てんかん薬治療が主体となる。言語非優位側障害例では、運動麻痺が出現するまでは機能的半球
切除術は行えない場合が多く、免疫修飾治療と抗てんかん薬治療が主体となる。
5.予後
定期的に行うメチルプレドニゾロンパルス治療の、発作が抑制される症例の割合(seizure free rate
((SFR)))は5%、IQ が 80 以上に保たれた症例の割合(R80)は 50%、運動機能が悪化する症例の割合
(rate of motor function aggravation, AR)は 10%である。定期定期的に行う IVIg治療の SFR は0%、R80 は
43%、AR は 62%である。タクロリムス治療の SFR は8%、R80 は 29%、AR は0%である。言語非優位側
障害例の機能的半球切除術の SFR は 71%で、R80 は0%である。このように多くの症例で発作が持続し、
認知機能の低下、運動障害の出現を回避できていない。
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