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別紙3○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について (24 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00058.html |
出典情報 | 先進医療会議(第122回 6/8)《厚生労働省》 |
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【別添2】
「生体肝移植術」の期待される適応症、効能及び効果(申請書類より
抜粋)
3.期待される適応症、効能及び効果
適応症:
切除不能大腸癌肝転移
効能・効果:
我が国において、結腸・直腸癌の罹患率および死亡率は著しく増加している。財団法人がん研究振興財
団「がんの統計 2017」によれば女性の結腸・直腸癌死亡者数は全悪性新生物による死亡の中で第 1 位
であり、男性では肺癌、胃癌に次ぐ第3位となっている。治癒切除が可能な Stage I~III 大腸癌の5
年生存率は 60-95%であるが、16%程度を占める Stage IV 大腸癌の5年生存率は 19%と不良である。
肝臓は大腸癌の転移臓器として最も頻度が高く、Stage IV 大腸癌の 56%を占める。また、stage I~III
大腸癌切除例のうち7%において、その後の経過中に肝転移再発を認めるようになる (大腸癌治療ガ
イドライン 医師用 2016 年版)
。大腸癌の予後を改善するにあたり、肝転移の治療成績の改善が重要で
ある。
大腸癌肝転移に対して治癒の可能性がある唯一の治療法は肝切除術であり、肝切除後の5年生存率は
50%以上であると報告されているが (Cummings LC, Payes JD, Cooper GS. Survival after hepatic
resection in metastatic colorectal cancer: a population-based study. Cancer 2007;109:718-726.)
、診
断時に切除可能と判断される症例はわずかに 10-20%である(Scheele J, Stangl R,Altendorf-Hofmann
A. Hepaticmetastases from colorectal carcinoma: Impact of surgical resection on the natural history.
Br J Surg. 1990;77:1241–6.)。切除不能と判断されるのは、多くの場合、複数の臓器に遠隔転移(肺転
移、腹膜転移、遠隔リンパ節転移など)を有する症例であるが、転移巣が肝臓のみであるにも関わらず
切除不能と判断されるのは以下のような場合が想定される。
① 解剖学的に残肝に十分な容量を確保できないために肝不全が懸念される場合
正常の肝機能を有する場合、一般的に全肝の 70%までの容量の肝臓が切除可能であり、これを超える
と術後の肝不全や死亡リスクが著しく高いと考えられている。例えば多数の肝転移が肝両葉に広がっ
ている場合や主要脈管に腫瘍が浸潤しており、残肝の血流保持が困難な場合などに、たとえ肝機能が良
好であっても残肝容量を十分に温存できない場合がある。
② 肝機能障害が原因で残肝の機能が不十分なために肝不全が懸念される場合
大腸癌に対する標準的化学療法ではオキサリプラチンやイリノテカンを始めとする薬剤が用いられる
が、オキサリプラチンでは類洞閉塞症候群、イリノテカンでは脂肪性肝炎というそれぞれに特徴的な薬
剤性肝障害をきたし、不可逆的な肝機能障害に至る場合がある。またもともと NASH や肝炎ウイルス
などにより肝機能障害を有している場合がある。このように症例の肝切除は、術後肝不全のリスクが高
く、たとえ解剖学的には切除可能であっても、残肝機能が十分でないために術後肝不全のリスクが許容
限度を超える場合は切除不能と判断される。
現状において、①の理由により切除不能と診断された大腸癌肝転移に対しては、全身化学療法にて腫瘍
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「生体肝移植術」の期待される適応症、効能及び効果(申請書類より
抜粋)
3.期待される適応症、効能及び効果
適応症:
切除不能大腸癌肝転移
効能・効果:
我が国において、結腸・直腸癌の罹患率および死亡率は著しく増加している。財団法人がん研究振興財
団「がんの統計 2017」によれば女性の結腸・直腸癌死亡者数は全悪性新生物による死亡の中で第 1 位
であり、男性では肺癌、胃癌に次ぐ第3位となっている。治癒切除が可能な Stage I~III 大腸癌の5
年生存率は 60-95%であるが、16%程度を占める Stage IV 大腸癌の5年生存率は 19%と不良である。
肝臓は大腸癌の転移臓器として最も頻度が高く、Stage IV 大腸癌の 56%を占める。また、stage I~III
大腸癌切除例のうち7%において、その後の経過中に肝転移再発を認めるようになる (大腸癌治療ガ
イドライン 医師用 2016 年版)
。大腸癌の予後を改善するにあたり、肝転移の治療成績の改善が重要で
ある。
大腸癌肝転移に対して治癒の可能性がある唯一の治療法は肝切除術であり、肝切除後の5年生存率は
50%以上であると報告されているが (Cummings LC, Payes JD, Cooper GS. Survival after hepatic
resection in metastatic colorectal cancer: a population-based study. Cancer 2007;109:718-726.)
、診
断時に切除可能と判断される症例はわずかに 10-20%である(Scheele J, Stangl R,Altendorf-Hofmann
A. Hepaticmetastases from colorectal carcinoma: Impact of surgical resection on the natural history.
Br J Surg. 1990;77:1241–6.)。切除不能と判断されるのは、多くの場合、複数の臓器に遠隔転移(肺転
移、腹膜転移、遠隔リンパ節転移など)を有する症例であるが、転移巣が肝臓のみであるにも関わらず
切除不能と判断されるのは以下のような場合が想定される。
① 解剖学的に残肝に十分な容量を確保できないために肝不全が懸念される場合
正常の肝機能を有する場合、一般的に全肝の 70%までの容量の肝臓が切除可能であり、これを超える
と術後の肝不全や死亡リスクが著しく高いと考えられている。例えば多数の肝転移が肝両葉に広がっ
ている場合や主要脈管に腫瘍が浸潤しており、残肝の血流保持が困難な場合などに、たとえ肝機能が良
好であっても残肝容量を十分に温存できない場合がある。
② 肝機能障害が原因で残肝の機能が不十分なために肝不全が懸念される場合
大腸癌に対する標準的化学療法ではオキサリプラチンやイリノテカンを始めとする薬剤が用いられる
が、オキサリプラチンでは類洞閉塞症候群、イリノテカンでは脂肪性肝炎というそれぞれに特徴的な薬
剤性肝障害をきたし、不可逆的な肝機能障害に至る場合がある。またもともと NASH や肝炎ウイルス
などにより肝機能障害を有している場合がある。このように症例の肝切除は、術後肝不全のリスクが高
く、たとえ解剖学的には切除可能であっても、残肝機能が十分でないために術後肝不全のリスクが許容
限度を超える場合は切除不能と判断される。
現状において、①の理由により切除不能と診断された大腸癌肝転移に対しては、全身化学療法にて腫瘍
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