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別紙3○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について (25 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00058.html |
出典情報 | 先進医療会議(第122回 6/8)《厚生労働省》 |
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を縮小させて切除可能となった時点で肝切除を行う conversion 療法が行われている。Conversion 療法
が可能となった症例は、当初から切除可能であった症例と比較しても切除後の予後が同等であると報
告されており(Lam VWT, Spiro C, Laurence JM, et al. A Systematic Review of Clinical Response
and Survival Outcomes of Downsizing Systemic Chemotherapy and Rescue Liver Surgery in
Patients with Initially Unresectable Colorectal Liver Metastases. Ann Surg Oncol 2012;19:1292–
301)
、その有用性が認識されている。しかし一方で、切除不能大腸癌肝転移に対する臨床試験(BECK
試験)において、33%の症例で化学療法後も切除不能のままであった(Okuno M, et al. Conversion to
complete resection with mFOLFOX6 with bevacizumab or cetuximab based on K-RAS status for
unresectable colorectal liver metastasis (BECK study): Long-term results of survival. J
Hepatobiliary Pancreat Sci. 2020. PMID: 32362018 Clinical Trial.)
。
また、②の理由において切除不能と診断された症例は、治療を継続することが困難であり、BSC(best
supportive care)を選択することとなる。
上記①②の理由により切除不能と判断された症例は、腫瘍が肝臓に限局していると考えられるため、自
己肝を全摘出して新しい肝臓を移植する、すなわち同所性肝移植により根治できる可能性がある。切除
不能大腸癌肝転移に対する肝移植術はノルウェーのオスロ大学を中心としたグループが最も多くの症
例を報告しており、2013 年の報告では肝限局転移に対する肝移植後の 5 年生存率は約 60%であった
(Hagness M, Foss A, Line PD, et al. Liver Transplantation for Nonresectable Liver Metastases
From Colorectal Cancer. Ann Surg 2013;257: 800–806)
。この結果を踏まえて肝移植の適応基準を改
めたところ、2020 年の報告において、5 年生存率は 83%に向上した(Dueland S, Syversveen T, Solheim
JM, Solberg S, Grut H, Bjørnbeth BA, Hagness M, Line PD. Survival Following Liver
Transplantation for Patients With Nonresectable Liver-only Colorectal Metastases. Ann Surg. 2020
Feb;271(2):212-218.)
。興味深い点は、肝移植後に他臓器に転移を認める症例が一定数存在するため 5
年無再発生存率は 35%と低くみえるが、再発症例の多くは肺転移で、かつ治療介入が可能であるため、
結果として全生存率が 83%と良好な成績を示していることである。つまり、転移巣が肝臓に限局する
切除不能な stage IV 症例であっても、適切な患者選択の下で肝移植を行うことで良好な予後が期待で
きると考えられる。
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が可能となった症例は、当初から切除可能であった症例と比較しても切除後の予後が同等であると報
告されており(Lam VWT, Spiro C, Laurence JM, et al. A Systematic Review of Clinical Response
and Survival Outcomes of Downsizing Systemic Chemotherapy and Rescue Liver Surgery in
Patients with Initially Unresectable Colorectal Liver Metastases. Ann Surg Oncol 2012;19:1292–
301)
、その有用性が認識されている。しかし一方で、切除不能大腸癌肝転移に対する臨床試験(BECK
試験)において、33%の症例で化学療法後も切除不能のままであった(Okuno M, et al. Conversion to
complete resection with mFOLFOX6 with bevacizumab or cetuximab based on K-RAS status for
unresectable colorectal liver metastasis (BECK study): Long-term results of survival. J
Hepatobiliary Pancreat Sci. 2020. PMID: 32362018 Clinical Trial.)
。
また、②の理由において切除不能と診断された症例は、治療を継続することが困難であり、BSC(best
supportive care)を選択することとなる。
上記①②の理由により切除不能と判断された症例は、腫瘍が肝臓に限局していると考えられるため、自
己肝を全摘出して新しい肝臓を移植する、すなわち同所性肝移植により根治できる可能性がある。切除
不能大腸癌肝転移に対する肝移植術はノルウェーのオスロ大学を中心としたグループが最も多くの症
例を報告しており、2013 年の報告では肝限局転移に対する肝移植後の 5 年生存率は約 60%であった
(Hagness M, Foss A, Line PD, et al. Liver Transplantation for Nonresectable Liver Metastases
From Colorectal Cancer. Ann Surg 2013;257: 800–806)
。この結果を踏まえて肝移植の適応基準を改
めたところ、2020 年の報告において、5 年生存率は 83%に向上した(Dueland S, Syversveen T, Solheim
JM, Solberg S, Grut H, Bjørnbeth BA, Hagness M, Line PD. Survival Following Liver
Transplantation for Patients With Nonresectable Liver-only Colorectal Metastases. Ann Surg. 2020
Feb;271(2):212-218.)
。興味深い点は、肝移植後に他臓器に転移を認める症例が一定数存在するため 5
年無再発生存率は 35%と低くみえるが、再発症例の多くは肺転移で、かつ治療介入が可能であるため、
結果として全生存率が 83%と良好な成績を示していることである。つまり、転移巣が肝臓に限局する
切除不能な stage IV 症例であっても、適切な患者選択の下で肝移植を行うことで良好な予後が期待で
きると考えられる。
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