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【参考1】新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版 (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.0 版」の 周知について(8/21付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.0 版 ●2 臨床像
3 小児例の特徴
COVID-19 の小児例は,これまで成人例に比較して軽症であるとされてきたが,その臨床的
特徴は徐々に変化しており,近年は死亡例も報告されている . 国内小児例の臨床的特徴の経時
的変化,小児の重症度,小児における死亡例,小児多系統炎症性症候群(MIS-C)
,COVID-19
流行下における小児の予防接種,について概説する .
【国内小児例の臨床的特徴の経時的変化】
日本小児科学会により 15 歳以下の国内小児 COVID-19 患者 5,411 例を対象として 2020
年 2 月〜 2022 年 4 月に行われた調査結果によると,デルタ流行前(2020 年 2 月〜 2021 年
7 月)においては各年齢で約 40% を占めていた小児における無症候性感染者の割合は,デル
タ流行期(2021 年 8 月〜 2021 年 12 月)には 20 〜 30% 前後,オミクロン流行期に至って
は約 10% まで徐々に減少した.一方で,37.5℃以上の発熱を認める小児患者の割合はデルタ
流行前までは約 40% に留まっていたが,デルタ流行期,オミクロン流行期(2022 年 1 月〜
2022 年 4 月)においてはそれぞれ約 60%,80% 前後まで徐々に増加した.その他,1 〜 4
歳および 5 〜 11 歳の患者群におけるけいれん発作の割合が,デルタ流行前(それぞれ 1.3%,
0.4%),デルタ流行期(それぞれ 3.1%,0.0%)と比較し,オミクロン流行期 ではそれぞれ
13.4%,7.4%まで増加した.同様に,オミクロン流行期に悪心・嘔吐を認めた患者の割合は,
1 ~ 4 歳,5 ~ 11 歳,12 ~ 15 歳の患者群でそれぞれ 12.2%,22.6%,14.6% であり,デ
ルタ流行前(それぞれ 3.0%,4.7%,4.6%)またはデルタ流行期(それぞれ 4.7%,
6.0%,
8.7%)
と比較して大幅に増加した.一方で,肺炎の合併率に関しては,変異株の違いによる変化はほ
とんど認めなかった.発症後 1 カ月を越えて持続する症状の評価に関しては,0 〜 20 歳未満
の COVID-19 患者の 3.2%に発症後 1 カ月を越えても何らかの症状が残存していた.
【小児の重症度 】
小児は軽症のことが多いとされているが,2 歳未満と基礎疾患のある小児患者には重症化リス
クがあることが報告されている.
日本集中治療医学会小児集中治療委員会による新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例
の発生把握関連情報によると,いわゆる第 7 波・第 8 波(2022 年夏と秋の感染拡大)による
主な入院理由は,痙攣(25.9 %),SARS-CoV-2 による肺炎(18.9 %),急性脳症(17.9 %)
であった.小児重症・中等症例の年齢層は,新生児(1.7 %),乳児(13.7 %),未就学児(51.4
%),小学生(23.6 %),中学生(5.2 %)であった.
【小児における死亡例】
国立感染症研究所の報告によると,国内においては,2022 年 1 月~ 9 月の間に COVID-19
発症後の 20 歳未満の死亡例が 62 例確認された.その年齢は,0 歳 9 例(14.5 %)
,1 ~ 4
歳 19 例(31 %),5 ~ 11 歳 25 例(40 %)
,12 ~ 19 歳 9 例(14.5 %)であり,5 歳未
満が約半数を占めていた.さらに,62 例のうち実地疫学調査が実施できた症例は 57 例であり,
このうち,明らかな内因性死亡とされた 50 例のうち,半数以上の 29 例(58 %)は基礎疾患
のない生来健康な小児であった.死亡に至る主な経緯は,中枢神経系の異常 19 例(38 %:急
性脳症など)
,循環器系の異常 9 例(18%:急性心筋炎,
不整脈など)
,
呼吸器系の異常 4 例(8 %:
肺炎,細菌性肺炎など),その他 9 例(18%:多臓器不全など)
,原因不明 9 例(18 %)であっ
た.50 例の新型コロナワクチンの接種状況は,死亡時点で接種対象外年齢の者が 24 例(48
%)
,
接種対象年齢の者が 26 例(52 %)であり,
接種対象年齢(当時 5 歳以上)の 26 例では,
未接種が 23 例(88 %),2 回接種が 3 例(12 %)であった.
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3 小児例の特徴
COVID-19 の小児例は,これまで成人例に比較して軽症であるとされてきたが,その臨床的
特徴は徐々に変化しており,近年は死亡例も報告されている . 国内小児例の臨床的特徴の経時
的変化,小児の重症度,小児における死亡例,小児多系統炎症性症候群(MIS-C)
,COVID-19
流行下における小児の予防接種,について概説する .
【国内小児例の臨床的特徴の経時的変化】
日本小児科学会により 15 歳以下の国内小児 COVID-19 患者 5,411 例を対象として 2020
年 2 月〜 2022 年 4 月に行われた調査結果によると,デルタ流行前(2020 年 2 月〜 2021 年
7 月)においては各年齢で約 40% を占めていた小児における無症候性感染者の割合は,デル
タ流行期(2021 年 8 月〜 2021 年 12 月)には 20 〜 30% 前後,オミクロン流行期に至って
は約 10% まで徐々に減少した.一方で,37.5℃以上の発熱を認める小児患者の割合はデルタ
流行前までは約 40% に留まっていたが,デルタ流行期,オミクロン流行期(2022 年 1 月〜
2022 年 4 月)においてはそれぞれ約 60%,80% 前後まで徐々に増加した.その他,1 〜 4
歳および 5 〜 11 歳の患者群におけるけいれん発作の割合が,デルタ流行前(それぞれ 1.3%,
0.4%),デルタ流行期(それぞれ 3.1%,0.0%)と比較し,オミクロン流行期 ではそれぞれ
13.4%,7.4%まで増加した.同様に,オミクロン流行期に悪心・嘔吐を認めた患者の割合は,
1 ~ 4 歳,5 ~ 11 歳,12 ~ 15 歳の患者群でそれぞれ 12.2%,22.6%,14.6% であり,デ
ルタ流行前(それぞれ 3.0%,4.7%,4.6%)またはデルタ流行期(それぞれ 4.7%,
6.0%,
8.7%)
と比較して大幅に増加した.一方で,肺炎の合併率に関しては,変異株の違いによる変化はほ
とんど認めなかった.発症後 1 カ月を越えて持続する症状の評価に関しては,0 〜 20 歳未満
の COVID-19 患者の 3.2%に発症後 1 カ月を越えても何らかの症状が残存していた.
【小児の重症度 】
小児は軽症のことが多いとされているが,2 歳未満と基礎疾患のある小児患者には重症化リス
クがあることが報告されている.
日本集中治療医学会小児集中治療委員会による新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例
の発生把握関連情報によると,いわゆる第 7 波・第 8 波(2022 年夏と秋の感染拡大)による
主な入院理由は,痙攣(25.9 %),SARS-CoV-2 による肺炎(18.9 %),急性脳症(17.9 %)
であった.小児重症・中等症例の年齢層は,新生児(1.7 %),乳児(13.7 %),未就学児(51.4
%),小学生(23.6 %),中学生(5.2 %)であった.
【小児における死亡例】
国立感染症研究所の報告によると,国内においては,2022 年 1 月~ 9 月の間に COVID-19
発症後の 20 歳未満の死亡例が 62 例確認された.その年齢は,0 歳 9 例(14.5 %)
,1 ~ 4
歳 19 例(31 %),5 ~ 11 歳 25 例(40 %)
,12 ~ 19 歳 9 例(14.5 %)であり,5 歳未
満が約半数を占めていた.さらに,62 例のうち実地疫学調査が実施できた症例は 57 例であり,
このうち,明らかな内因性死亡とされた 50 例のうち,半数以上の 29 例(58 %)は基礎疾患
のない生来健康な小児であった.死亡に至る主な経緯は,中枢神経系の異常 19 例(38 %:急
性脳症など)
,循環器系の異常 9 例(18%:急性心筋炎,
不整脈など)
,
呼吸器系の異常 4 例(8 %:
肺炎,細菌性肺炎など),その他 9 例(18%:多臓器不全など)
,原因不明 9 例(18 %)であっ
た.50 例の新型コロナワクチンの接種状況は,死亡時点で接種対象外年齢の者が 24 例(48
%)
,
接種対象年齢の者が 26 例(52 %)であり,
接種対象年齢(当時 5 歳以上)の 26 例では,
未接種が 23 例(88 %),2 回接種が 3 例(12 %)であった.
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