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【参考1】新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版 (14 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.0 版」の 周知について(8/21付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.0 版 ●2 臨床像
4 妊婦例の特徴
国内外の臨床統計から,妊婦が同年齢の女性と比較して,特に COVID-19 に罹患しやすい
ということはない.しかし,妊娠後半期に感染すると,早産率が高まり,患者本人も重症化し
やすいという事実が明らかになった.一方,妊娠初期・中期の感染で胎児に先天異常を起こす
という報告はなく,子宮内感染も稀である.妊婦本人は軽症であっても,重篤な胎盤炎から流
産や子宮内胎児死亡をきたす例があり,ワクチン未接種者に多いとされている.
【国内外の疫学】
COVIREGI-JP/REBIND において,2020 年 1 月~ 2021 年 4 月に登録された女性(15 ~
45 歳未満)入院患者(妊婦 187 例,非妊婦 935 例)の解析から,妊婦群(18 例,9.6 %)
が非妊婦群(46 例,4.9 %)より中等症・重症患者の割合が高いことが判明した.また,感染
妊婦(254 例)を軽症群と中等症・重症群で比較したところ,妊娠中期(14 週)以降(OR 5.3
[95%CI: 1.2 ~ 23.1]),基礎疾患(喘息,糖尿病,高血圧など)の存在(OR 3.9 [95%CI: 1.2 ~
12.5])が中等症・重症と関連していた.
日本産科婦人科学会(周産期委員会)事業 COVID-19 妊婦レジストリによれば,2022 年 9
月 20 日までに登録された感染妊婦 1,354 例中,
軽症 1,071 例(79 %),
中等症Ⅰ 150 例(11
%)
,中等症 II 120 例(8.9 %),重症 13 例(0.96 %)であった.母体死亡の登録はなかった.
特にデルタを主体とした流行(2021 年 6 ~ 11 月)において,
中等症 II ・重症例が多く(81 例)
,
そのすべてが新型コロナワクチン未接種であった.このレジストリでは,年齢 ≧ 31 歳,妊娠
21 週以降の感染,妊娠前 BMI ≧ 25,喘息を中心とする呼吸器疾患等の併存疾患(既往・現症
の存在など)が重症化のリスク因子であった.欧米ではこれに加えて,人種や喫煙歴,妊娠高
血圧症候群,妊娠性糖尿病,血栓傾向などが重症化のリスク因子として報告されている.
【妊婦におけるワクチンの効果と副反応】
新型コロナワクチンの効果については,オミクロンが主体となった 2021 年から 22 年に,
18 カ国 41 病院が参加する大規模な前向き観察研究が行われ,4,618 人の妊婦を対象に母体罹
患死亡指数(MMMI),重症新生児罹患指数(SNMI),重症周産期罹患死亡指数(SPMMI)を
評価した.2,886 人(63%)がいずれかのワクチンを少なくとも 1 回接種しており,2,476
人(54%)が 2 回以上の接種を受けていた.重症合併症に対するワクチンの効果は,
74%(95%
CI 48 〜 87),追加接種後は 91%(65 〜 98)であり,ワクチン接種は依然として有効とさ
れている.
諸外国の統計では,妊娠中のワクチン接種は新生児の入院リスクを減少させる.死産,ある
いは母児ともに生命にかかわる事態に陥ったのは,未接種者に多かったと報告されている.わ
が国においてもオミクロン流行以降は,母体の重症例は減少しているが,一定頻度で妊娠中期
の流産や死産が発生しており,そのほとんどがワクチン未接種の妊婦である.諸外国でもわが
国でも,妊娠中のワクチン接種による母体と胎児・新生児に対する奇形や流早産などの重篤な
有害事象の増加はない.そのため,日本産科婦人科学会・日本産婦人科感染症学会では,すべ
ての妊婦に週数を問わず,積極的なワクチン接種を推奨している.
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4 妊婦例の特徴
国内外の臨床統計から,妊婦が同年齢の女性と比較して,特に COVID-19 に罹患しやすい
ということはない.しかし,妊娠後半期に感染すると,早産率が高まり,患者本人も重症化し
やすいという事実が明らかになった.一方,妊娠初期・中期の感染で胎児に先天異常を起こす
という報告はなく,子宮内感染も稀である.妊婦本人は軽症であっても,重篤な胎盤炎から流
産や子宮内胎児死亡をきたす例があり,ワクチン未接種者に多いとされている.
【国内外の疫学】
COVIREGI-JP/REBIND において,2020 年 1 月~ 2021 年 4 月に登録された女性(15 ~
45 歳未満)入院患者(妊婦 187 例,非妊婦 935 例)の解析から,妊婦群(18 例,9.6 %)
が非妊婦群(46 例,4.9 %)より中等症・重症患者の割合が高いことが判明した.また,感染
妊婦(254 例)を軽症群と中等症・重症群で比較したところ,妊娠中期(14 週)以降(OR 5.3
[95%CI: 1.2 ~ 23.1]),基礎疾患(喘息,糖尿病,高血圧など)の存在(OR 3.9 [95%CI: 1.2 ~
12.5])が中等症・重症と関連していた.
日本産科婦人科学会(周産期委員会)事業 COVID-19 妊婦レジストリによれば,2022 年 9
月 20 日までに登録された感染妊婦 1,354 例中,
軽症 1,071 例(79 %),
中等症Ⅰ 150 例(11
%)
,中等症 II 120 例(8.9 %),重症 13 例(0.96 %)であった.母体死亡の登録はなかった.
特にデルタを主体とした流行(2021 年 6 ~ 11 月)において,
中等症 II ・重症例が多く(81 例)
,
そのすべてが新型コロナワクチン未接種であった.このレジストリでは,年齢 ≧ 31 歳,妊娠
21 週以降の感染,妊娠前 BMI ≧ 25,喘息を中心とする呼吸器疾患等の併存疾患(既往・現症
の存在など)が重症化のリスク因子であった.欧米ではこれに加えて,人種や喫煙歴,妊娠高
血圧症候群,妊娠性糖尿病,血栓傾向などが重症化のリスク因子として報告されている.
【妊婦におけるワクチンの効果と副反応】
新型コロナワクチンの効果については,オミクロンが主体となった 2021 年から 22 年に,
18 カ国 41 病院が参加する大規模な前向き観察研究が行われ,4,618 人の妊婦を対象に母体罹
患死亡指数(MMMI),重症新生児罹患指数(SNMI),重症周産期罹患死亡指数(SPMMI)を
評価した.2,886 人(63%)がいずれかのワクチンを少なくとも 1 回接種しており,2,476
人(54%)が 2 回以上の接種を受けていた.重症合併症に対するワクチンの効果は,
74%(95%
CI 48 〜 87),追加接種後は 91%(65 〜 98)であり,ワクチン接種は依然として有効とさ
れている.
諸外国の統計では,妊娠中のワクチン接種は新生児の入院リスクを減少させる.死産,ある
いは母児ともに生命にかかわる事態に陥ったのは,未接種者に多かったと報告されている.わ
が国においてもオミクロン流行以降は,母体の重症例は減少しているが,一定頻度で妊娠中期
の流産や死産が発生しており,そのほとんどがワクチン未接種の妊婦である.諸外国でもわが
国でも,妊娠中のワクチン接種による母体と胎児・新生児に対する奇形や流早産などの重篤な
有害事象の増加はない.そのため,日本産科婦人科学会・日本産婦人科感染症学会では,すべ
ての妊婦に週数を問わず,積極的なワクチン接種を推奨している.
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