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【参考1】新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版 (32 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.0 版」の 周知について(8/21付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.0 版 ●4 重症度分類とマネジメント
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高齢者における治療の選択
高齢者ではさまざまな重症化リスク因子を有することが多いため,COVID-19 と診断された
ら速やかに病状の評価が行われる必要がある.治療の選択には,ウイルス性肺炎の有無の確認
が重要である.高齢者においては身体診察による評価が困難なことが多いため,病状の悪化が
懸念される患者では胸部 CT 検査の実施を考慮する.このような患者にウイルス性肺炎像が画
像上で確認されたら,速やかに抗ウイルス薬の投与を考慮する.画像上,肺炎像を認めない症
例においても発症から 5 日以内の場合には重症化予防のために抗ウイルス薬の投与を検討する
(「4-2 軽症」
「4-3 中等症」および「5 薬物療法」参照).画像診断が困難な場合には,身体所
見,および SpO2 などで肺炎の有無を判定せざるを得ない場合もある.ただし,うっ血性心不
全でも同様の所見を呈することがあるため,
肺炎(二次性細菌性肺炎,
または誤嚥性肺炎を含む)
やうっ血性心不全の合併を常に考慮する(図 4-3)
.特に細菌性肺炎が疑われる場合には,喀痰
の培養検査を行い,抗菌薬を投与する.
図 4-4
80 代女性(誤嚥性肺炎とうっ血性心不全を合併)
Day 4
Day 14
発症時(Day 1)からニルマトレルビル / リトナビルが投与された.夜間に呼吸困難が出現し,低酸素血症
を認めたが,胸部 CT(Day 2)では明らかな肺炎像を認めなかった.その後,胸部 CT(Day 4)で誤嚥性肺
炎が明らかになり,さらに両側胸水が貯留し,うっ血性心不全の合併も示唆された(Day 14).
高齢者では腎機能が一般に低下している.腎機能評価は血清クレアチニン値をもとに体表面
積補正された推算糸球体濾過量[eGFR(mL/min/1.73m2)
]でなされることが多いため,標
準的な体格から外れている患者では補正が必要である.特に,レムデシビルとニルマトレルビ
ル/リトナビルは腎機能が低下している場合は投与量を減らす,あるいは投与を控える必要が
あるため注意する.また,高齢者では多くの薬剤が処方されており,複数の医療機関から薬剤
が処方されている事例も多く,『おくすり手帳』の確認をもれなく行い,併用禁忌薬の有無や腎
機能にも留意して薬剤の選択を行う必要がある.感染症法上の分類が5類感染症に変更され,
かかりつけ医等によって本感染症の患者が診療されることで,重症化リスク因子,内服薬,お
よび腎機能が正確に把握され,より適切な抗ウイルス薬の選択につながることが期待される.
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高齢者における治療の選択
高齢者ではさまざまな重症化リスク因子を有することが多いため,COVID-19 と診断された
ら速やかに病状の評価が行われる必要がある.治療の選択には,ウイルス性肺炎の有無の確認
が重要である.高齢者においては身体診察による評価が困難なことが多いため,病状の悪化が
懸念される患者では胸部 CT 検査の実施を考慮する.このような患者にウイルス性肺炎像が画
像上で確認されたら,速やかに抗ウイルス薬の投与を考慮する.画像上,肺炎像を認めない症
例においても発症から 5 日以内の場合には重症化予防のために抗ウイルス薬の投与を検討する
(「4-2 軽症」
「4-3 中等症」および「5 薬物療法」参照).画像診断が困難な場合には,身体所
見,および SpO2 などで肺炎の有無を判定せざるを得ない場合もある.ただし,うっ血性心不
全でも同様の所見を呈することがあるため,
肺炎(二次性細菌性肺炎,
または誤嚥性肺炎を含む)
やうっ血性心不全の合併を常に考慮する(図 4-3)
.特に細菌性肺炎が疑われる場合には,喀痰
の培養検査を行い,抗菌薬を投与する.
図 4-4
80 代女性(誤嚥性肺炎とうっ血性心不全を合併)
Day 4
Day 14
発症時(Day 1)からニルマトレルビル / リトナビルが投与された.夜間に呼吸困難が出現し,低酸素血症
を認めたが,胸部 CT(Day 2)では明らかな肺炎像を認めなかった.その後,胸部 CT(Day 4)で誤嚥性肺
炎が明らかになり,さらに両側胸水が貯留し,うっ血性心不全の合併も示唆された(Day 14).
高齢者では腎機能が一般に低下している.腎機能評価は血清クレアチニン値をもとに体表面
積補正された推算糸球体濾過量[eGFR(mL/min/1.73m2)
]でなされることが多いため,標
準的な体格から外れている患者では補正が必要である.特に,レムデシビルとニルマトレルビ
ル/リトナビルは腎機能が低下している場合は投与量を減らす,あるいは投与を控える必要が
あるため注意する.また,高齢者では多くの薬剤が処方されており,複数の医療機関から薬剤
が処方されている事例も多く,『おくすり手帳』の確認をもれなく行い,併用禁忌薬の有無や腎
機能にも留意して薬剤の選択を行う必要がある.感染症法上の分類が5類感染症に変更され,
かかりつけ医等によって本感染症の患者が診療されることで,重症化リスク因子,内服薬,お
よび腎機能が正確に把握され,より適切な抗ウイルス薬の選択につながることが期待される.
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