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【参考1】新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版 (8 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.0 版」の 周知について(8/21付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.0 版 ●2 臨床像
オミクロンに置き換わって以降は,頻度が低くなったものの,重症化リスク(
「2-2 重症化
のリスク因子」参照)の高い一部の患者では感染は下気道まで進展すると考えられる(中等症
に相当).さらに,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や多臓器不全に至る患者もある(重症に相当;
図 2-2)
.
図 2-2
30 代男性(2022 年 2 月入院:中等症Ⅱ→重症)
Day 9
基礎疾患として肥満(BMI 39).新型コロナワクチン未接種.
発症 2 日目に抗原定性検査陽性,発症 9 日目に自宅から救急要請.入院後,
デキサメタゾン,レムデシビル,セフトリアキソン,アジスロマイシンの
投与,ネーザルハイフローを開始.翌日,重症対応医療機関に転院.人工
呼吸管理となるが短期間で改善し退院.ゲノム解析で検出ウイルスはオミ
クロンと確定.
小児は一般に軽症であるが,重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要がある(「2-
3 小児例の特徴」参照).また,一部の妊婦も重症化しやすいと考えられる(「2-4 妊婦例の特徴」
参照).高齢者では発熱を伴わず,せん妄を認めるなどの非典型的な症状を呈することがあり注
意を要する.日本国内でも死亡者に占める 80 歳以上の割合が高くなっており,基礎疾患の増悪
や心不全・誤嚥性肺炎などの発症にも注意が必要と考えられる(「4-5 高齢者の管理」参照).
再感染は一般に直前の感染から 3 カ月間は起きにくいとされている.オミクロンの流行が始
まってから,世界中で再感染の報告が増加している.2022 年 10 月から導入されたオミクロン
対応の mRNA ワクチンの追加接種は,COVID-19 の発症や重症化を防ぐ効果が期待されている.
【その他の主な合併症】
心血管系: 急性期の不整脈,急性心障害,ショック,心停止の他,症状回復後の心筋炎などが
報告されている.
血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が報告されている.多くは COVID-19
の増悪期に合併するが,回復期に発生することもある.オミクロンに置き換わって以降は頻度
が減少していると考えられるが,入院患者では引き続き注意が必要である.
【病理像の特徴】
剖検例の検討では,SARS-CoV-2 は II 型肺胞上皮細胞に検出され,肺胞上皮細胞へのウ
イルス感染によるウイルス性肺炎が COVID-19 肺炎の本態と考えられている.重症例では,
ARDS を反映した DAD(diffuse alveolar damage:びまん性肺胞傷害)の所見が特徴的である.
ウイルス抗原は炎症や DAD の所見に乏しく正常な肺に近い形態を示す領域において多く認め
られる.肺胞上皮への SARS-CoV-2 の感染が病理形成に先行し,感染後の免疫応答によって
上記のような病変が形成されると考えられる.また COVID-19 肺炎では,同一個体の同一肺
葉内において,滲出期から線維化期までさまざまな病期の病変が同時に存在することが特徴的
である.すなわち,肺内のすべての部位において同時にウイルス感染が生じるのではなく,ウ
イルス感染が徐々に広がることによって次第に病変が拡大し,最終的に呼吸不全をきたすよう
な広大な病変が形成されることが示唆される.
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オミクロンに置き換わって以降は,頻度が低くなったものの,重症化リスク(
「2-2 重症化
のリスク因子」参照)の高い一部の患者では感染は下気道まで進展すると考えられる(中等症
に相当).さらに,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や多臓器不全に至る患者もある(重症に相当;
図 2-2)
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図 2-2
30 代男性(2022 年 2 月入院:中等症Ⅱ→重症)
Day 9
基礎疾患として肥満(BMI 39).新型コロナワクチン未接種.
発症 2 日目に抗原定性検査陽性,発症 9 日目に自宅から救急要請.入院後,
デキサメタゾン,レムデシビル,セフトリアキソン,アジスロマイシンの
投与,ネーザルハイフローを開始.翌日,重症対応医療機関に転院.人工
呼吸管理となるが短期間で改善し退院.ゲノム解析で検出ウイルスはオミ
クロンと確定.
小児は一般に軽症であるが,重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要がある(「2-
3 小児例の特徴」参照).また,一部の妊婦も重症化しやすいと考えられる(「2-4 妊婦例の特徴」
参照).高齢者では発熱を伴わず,せん妄を認めるなどの非典型的な症状を呈することがあり注
意を要する.日本国内でも死亡者に占める 80 歳以上の割合が高くなっており,基礎疾患の増悪
や心不全・誤嚥性肺炎などの発症にも注意が必要と考えられる(「4-5 高齢者の管理」参照).
再感染は一般に直前の感染から 3 カ月間は起きにくいとされている.オミクロンの流行が始
まってから,世界中で再感染の報告が増加している.2022 年 10 月から導入されたオミクロン
対応の mRNA ワクチンの追加接種は,COVID-19 の発症や重症化を防ぐ効果が期待されている.
【その他の主な合併症】
心血管系: 急性期の不整脈,急性心障害,ショック,心停止の他,症状回復後の心筋炎などが
報告されている.
血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が報告されている.多くは COVID-19
の増悪期に合併するが,回復期に発生することもある.オミクロンに置き換わって以降は頻度
が減少していると考えられるが,入院患者では引き続き注意が必要である.
【病理像の特徴】
剖検例の検討では,SARS-CoV-2 は II 型肺胞上皮細胞に検出され,肺胞上皮細胞へのウ
イルス感染によるウイルス性肺炎が COVID-19 肺炎の本態と考えられている.重症例では,
ARDS を反映した DAD(diffuse alveolar damage:びまん性肺胞傷害)の所見が特徴的である.
ウイルス抗原は炎症や DAD の所見に乏しく正常な肺に近い形態を示す領域において多く認め
られる.肺胞上皮への SARS-CoV-2 の感染が病理形成に先行し,感染後の免疫応答によって
上記のような病変が形成されると考えられる.また COVID-19 肺炎では,同一個体の同一肺
葉内において,滲出期から線維化期までさまざまな病期の病変が同時に存在することが特徴的
である.すなわち,肺内のすべての部位において同時にウイルス感染が生じるのではなく,ウ
イルス感染が徐々に広がることによって次第に病変が拡大し,最終的に呼吸不全をきたすよう
な広大な病変が形成されることが示唆される.
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