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資料1-3(参考資料1) 日本パブリックアフェアーズ協会 御提出資料 (25 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_04medical/231211/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 12/11)《内閣府》 |
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データも参考にしつつ企業の承認申請に応じて速やかな審査を行うことや、産業界・消費
者等のより多様な主体からの意見が反映される仕組みを構築することが記載された 17。こ
のように、OTC 化促進の方向性は示されている一方で、「◯年後に◯◯品目のスイッチ OTC
化を進める」などのような具体的な目標や、その目標を達成するためのロードマップは検
討されていない。
前例として、医療費削減のために政府が推進したジェネリック医薬品では、2007 年 6 月
にジェネリック医薬品の数量シェアを 2012 年度までに 30%以上にするとの通知目標を閣
議決定されたが、未達成に終わった。しかし、その後社会保障・税一体改革大綱(2012 年
2 月 17 日閣議決定)において、さらなるジェネリック医薬品の使用促進を図るため、「後
発医薬品のロードマップを作成し、診療報酬上の評価、患者への情報提供、処方せん様式
の変更、医療関係者の信頼性向上のための品質確保等、総合的な使用促進を図る」ことが
明記され、2013 年 4 月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」が策定
された。これらの取り組みが奏功し、2021 年度第 3 四半期(2021 年 10 月~12 月)のジェ
ネリック医薬品(GE 医薬品)の数量シェア分析結果(速報値)では 79.3%を達成している
42
。このことからも、目標値やロードマップの設定は重要だと考えられる。
2 点目は、評価検討会議で議論するべき論点が不明確であることだ。緊急避妊薬のスイ
ッチ OTC 化可否に関する議論を例にあげると、「欧米と異なって性教育が遅れている背景
があり、緊急避妊薬等に関する使用者自身のリテラシーが不十分である」ことや、「薬剤
師が販売する場合、女性の生殖や避妊に関する専門的知識を身につけてもらう必要があ
る」こと、「緊急避妊薬に関する国民の認知度は現時点で高いとは言えない」ことなど、
複数の論点が出されてそれぞれについて多くの議論がなされた。評価検討会議の目的は
「要指導・一般用医薬品としての適切性・必要性を検討するとともにスイッチ化する上で
の課題点を整理し、さらに、その解決策を検討すること」とされているが、薬剤の適正使
用といった点が拡大解釈され目的とはそぐわない指摘が多くあがり、このことが議論の進
行を妨げたとの指摘もなされている。例えば、2017 年 7 月に開催された第 2 回評価検討会
議では委員から「欧米 6 か国と同じようなところまで性教育や、こういうことに対する教
育がきちんとできるようにならないと、いつまでたっても日本はこの薬を表に出すことは
できないのではないかと思います」との発言があり、日本の性教育の在り方にまで議論が
広がっている。このように、厚生労働省が監督していない範囲にまで議論が拡散し、OTC
医薬品としての適切性・必要性とは異なる論点でスイッチ OTC 化を認めるかどうかの議論
がなされるため、意見のとりまとめに時間がかかる。
3 点目は、評価検討会議における審議期間が決まっていないことだ。実際に、前述した
緊急避妊薬の議論は、評価検討会議で通算約 6 年間も行われている。このように議論が長
期化した背景には、第 2 の理由として取り上げた「論点の不明確さ」に加え、日本医師会
代表委員等の OTC 化に対する慎重姿勢も影響を与えている。この点ついては 2022 年 4 月
28 日付の日本経済新聞において、緊急避妊薬を代表例にあげ「医療界の慎重姿勢が根強
い。2022 年 3 月の会合では日本医師会代表委員が「資料が膨大で読み切れない」などと主
張し、とりまとめを阻んだ」との指摘がなされている 43。
2020 年 7 月 17 日に閣議決定された「規制改革実施計画」には「評価検討会議の役割
は、提案のあった成分のスイッチ OTC 化を行う上での課題・論点等を整理し、薬事・食品
衛生審議会に意見として提示するものであり、スイッチ OTC 化の可否を決定するものでは
ないことを明確化する」や「全会一致が原則とされている評価検討会議の合意形成の在り
方を見直し、賛成、反対等多様な意見があり集約が図れない場合は、それらの意見を列挙
して、薬事・食品衛生審議会に意見として提示する仕組みとする」等の記載があり、実際
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者等のより多様な主体からの意見が反映される仕組みを構築することが記載された 17。こ
のように、OTC 化促進の方向性は示されている一方で、「◯年後に◯◯品目のスイッチ OTC
化を進める」などのような具体的な目標や、その目標を達成するためのロードマップは検
討されていない。
前例として、医療費削減のために政府が推進したジェネリック医薬品では、2007 年 6 月
にジェネリック医薬品の数量シェアを 2012 年度までに 30%以上にするとの通知目標を閣
議決定されたが、未達成に終わった。しかし、その後社会保障・税一体改革大綱(2012 年
2 月 17 日閣議決定)において、さらなるジェネリック医薬品の使用促進を図るため、「後
発医薬品のロードマップを作成し、診療報酬上の評価、患者への情報提供、処方せん様式
の変更、医療関係者の信頼性向上のための品質確保等、総合的な使用促進を図る」ことが
明記され、2013 年 4 月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」が策定
された。これらの取り組みが奏功し、2021 年度第 3 四半期(2021 年 10 月~12 月)のジェ
ネリック医薬品(GE 医薬品)の数量シェア分析結果(速報値)では 79.3%を達成している
42
。このことからも、目標値やロードマップの設定は重要だと考えられる。
2 点目は、評価検討会議で議論するべき論点が不明確であることだ。緊急避妊薬のスイ
ッチ OTC 化可否に関する議論を例にあげると、「欧米と異なって性教育が遅れている背景
があり、緊急避妊薬等に関する使用者自身のリテラシーが不十分である」ことや、「薬剤
師が販売する場合、女性の生殖や避妊に関する専門的知識を身につけてもらう必要があ
る」こと、「緊急避妊薬に関する国民の認知度は現時点で高いとは言えない」ことなど、
複数の論点が出されてそれぞれについて多くの議論がなされた。評価検討会議の目的は
「要指導・一般用医薬品としての適切性・必要性を検討するとともにスイッチ化する上で
の課題点を整理し、さらに、その解決策を検討すること」とされているが、薬剤の適正使
用といった点が拡大解釈され目的とはそぐわない指摘が多くあがり、このことが議論の進
行を妨げたとの指摘もなされている。例えば、2017 年 7 月に開催された第 2 回評価検討会
議では委員から「欧米 6 か国と同じようなところまで性教育や、こういうことに対する教
育がきちんとできるようにならないと、いつまでたっても日本はこの薬を表に出すことは
できないのではないかと思います」との発言があり、日本の性教育の在り方にまで議論が
広がっている。このように、厚生労働省が監督していない範囲にまで議論が拡散し、OTC
医薬品としての適切性・必要性とは異なる論点でスイッチ OTC 化を認めるかどうかの議論
がなされるため、意見のとりまとめに時間がかかる。
3 点目は、評価検討会議における審議期間が決まっていないことだ。実際に、前述した
緊急避妊薬の議論は、評価検討会議で通算約 6 年間も行われている。このように議論が長
期化した背景には、第 2 の理由として取り上げた「論点の不明確さ」に加え、日本医師会
代表委員等の OTC 化に対する慎重姿勢も影響を与えている。この点ついては 2022 年 4 月
28 日付の日本経済新聞において、緊急避妊薬を代表例にあげ「医療界の慎重姿勢が根強
い。2022 年 3 月の会合では日本医師会代表委員が「資料が膨大で読み切れない」などと主
張し、とりまとめを阻んだ」との指摘がなされている 43。
2020 年 7 月 17 日に閣議決定された「規制改革実施計画」には「評価検討会議の役割
は、提案のあった成分のスイッチ OTC 化を行う上での課題・論点等を整理し、薬事・食品
衛生審議会に意見として提示するものであり、スイッチ OTC 化の可否を決定するものでは
ないことを明確化する」や「全会一致が原則とされている評価検討会議の合意形成の在り
方を見直し、賛成、反対等多様な意見があり集約が図れない場合は、それらの意見を列挙
して、薬事・食品衛生審議会に意見として提示する仕組みとする」等の記載があり、実際
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