表 6 OTC 医薬品への置き換えによる医療費削減効果

（出典：五十嵐 中, 第１回セルフメディケーション推進に関する有識者検討会公開資料 「OTC 医薬
品の潜在的医療費削減効果」,2021 年 2 月 3 日）

6-2. ED 治療薬
最近の論文では ED（勃起不全（Erectile dysfunction：ED）の人は性機能が正常な人よ
りも 2.5 倍の確率で心血管疾患（脳卒中や心筋梗塞）を発症することが報告されている
48
。また、冠状動脈疾患や脳卒中、高血圧症など心血管系のハイリスク患者 197 人を対象と
した調査で、冠状動脈疾患（79.2％）、心筋梗塞（29.4％）、脳卒中（9.1％）、高血圧
（78.2％）などと、8 割超が初発の心血管イベントの平均 3 年前に ED になっていたことが
分かっている 49。器質性 ED の場合は糖尿病や動脈硬化、高血圧などの病気に発展すること
もあり、心因性 ED の場合は、そのまま放置することでうつ病などの心の病に陥ることもあ
る 50。このような特徴から、ED を早期発見・早期治療することにより心筋梗塞の発症リス
クを低下させることが可能であると言える 48。このことからも ED 治療薬を OTC 化し薬局で
の購入の際に薬剤師のヒアリング及びスクリーニングによって専門医への受診勧奨を行う
ことは、重大疾病の早期介入に繋がると考える。
また、社会的費用と呼ばれる「私的費用＋外部費用」によって計算される社会全体にか
かる費用に関する指標がある。この指標について、e-solutions が国の研究機関と連携し
行った社会的費用の削減額の試算結果によれば、脳卒中(脳梗塞)では 0.69～0.89 兆円、心
疾患では 0.38～1.00 兆円の社会費用の削減効果があるとの報告もある 51。
英国での ED 治療薬のスイッチ OTC 化の際の公的評価報告書によれば、ED 治療薬が OTC
化されることで意図せずインターネットを介して入手した偽造医薬品の使用に関連するリ
スクも軽減できる可能性があると結論付けている。この考察は日本の ED に悩む患者にも当
てはまると考える 52。

29