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資料4-2 日本版抗コリン薬リスクスケール (20 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40741.html |
出典情報 | 高齢者医薬品適正使用検討会(第18回 6/21)《厚生労働省》 |
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抗コリン薬リスクスケールおよび薬物有害事象に関するスコーピングレビュー
5.1
抗コリン薬リスクスケールに関するスコーピングレビュー
5.1.1
抗コリン薬リスクスケールの特徴
これまでに複数の「抗コリン薬リスクスケール」が提案されているが、対象薬物、エビデンス選
定方法および対象疾患がスケール毎に異なる。特に、エビデンス選定方法と対象疾患については、
「どのスケールを採用すべきか」という臨床疑問に直結するため、既存の抗コリン薬リスクスケー
ルの特徴を比較し、スケール間のギャップを特定することを目的とした。対象となった 16 文献
(表 2)は、すべて 2006 年から 2023 年に公開されており、14 文献が既存の薬理学的活性評価を含
む文献レビューおよびエキスパートオピニオンを参照した上で、スケールの作成を行っていた(316)。具体的に「National Institute of Mental Health」内の精神作用薬スクリーニングプログラ
ム Ki Bank データベース(7)、「British National Formulary」内に掲載されている抗コリン活性
(10)を評価対象と明記しているスケールもあった。
16 文献のうち、対象薬剤数(スコアが 1 点以上)が 100 以上のものは 6 文献(3, 11, 13-16)で
あった。認知機能およびアルツハイマー病を対象としたものが 3 文献(5, 9, 12)、パーキンソン病
(8) および精神疾患(11)を対象としたものは各 1 文献であった。また、高齢者および療養施設入居
者を対象としたものは 3 文献であった(3, 6, 7)。2017 年以前に公開されたスケールの多くが上記
の特定疾患や高齢者を対象としており、2018 年以降に公開されたスケールは特定の疾患を対象と
していなかった。
レビューの結果、特定の疾患を対象として作成されたスケールと汎用性を持たせたスケールが混
在することが明らかとなった。基礎疾患が異なる患者に該当薬物を投与した場合のリスクは異なる
可能性がある。これらのスケールを用いて、実臨床における抗コリン作用を評価する場合は、作成
時に想定されていた患者背景を考慮した上で、適切なスケールを選択する必要がある。特に、抗コ
リン作用による有害事象の影響を受けやすい高齢患者や特定疾患を持つ患者群に対しては、配慮す
る必要がある。スケール毎に、評価した薬剤数も異なることを考慮すべきである。薬剤数の違い
は、割り当てられたスコアの相対的評価に影響するため、特定の既存スケールに重み付けを行った
上で、薬剤の有益性および利害性を評価する必要がある。加えて、国や地域によって使用可能な薬
剤が異なること、人種差による遺伝的背景も存在するため、それらを考慮し、地域毎に抗コリンス
ケールの作成を行う必要があると考えられる。なお、薬物相互作用や併用薬を考慮したスケールは
上記 16 文献内に含まれておらず、今後の重要な検討課題であるとともに、新薬の上市に合わせた
定期的なアップデートも必要となる。
以上の制限は存在するが、今後、実臨床において、日本版抗コリン薬リスクスケールを活用する
ことにより、その有用性を検討していくことが重要となる。
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抗コリン薬リスクスケールおよび薬物有害事象に関するスコーピングレビュー
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抗コリン薬リスクスケールに関するスコーピングレビュー
5.1.1
抗コリン薬リスクスケールの特徴
これまでに複数の「抗コリン薬リスクスケール」が提案されているが、対象薬物、エビデンス選
定方法および対象疾患がスケール毎に異なる。特に、エビデンス選定方法と対象疾患については、
「どのスケールを採用すべきか」という臨床疑問に直結するため、既存の抗コリン薬リスクスケー
ルの特徴を比較し、スケール間のギャップを特定することを目的とした。対象となった 16 文献
(表 2)は、すべて 2006 年から 2023 年に公開されており、14 文献が既存の薬理学的活性評価を含
む文献レビューおよびエキスパートオピニオンを参照した上で、スケールの作成を行っていた(316)。具体的に「National Institute of Mental Health」内の精神作用薬スクリーニングプログラ
ム Ki Bank データベース(7)、「British National Formulary」内に掲載されている抗コリン活性
(10)を評価対象と明記しているスケールもあった。
16 文献のうち、対象薬剤数(スコアが 1 点以上)が 100 以上のものは 6 文献(3, 11, 13-16)で
あった。認知機能およびアルツハイマー病を対象としたものが 3 文献(5, 9, 12)、パーキンソン病
(8) および精神疾患(11)を対象としたものは各 1 文献であった。また、高齢者および療養施設入居
者を対象としたものは 3 文献であった(3, 6, 7)。2017 年以前に公開されたスケールの多くが上記
の特定疾患や高齢者を対象としており、2018 年以降に公開されたスケールは特定の疾患を対象と
していなかった。
レビューの結果、特定の疾患を対象として作成されたスケールと汎用性を持たせたスケールが混
在することが明らかとなった。基礎疾患が異なる患者に該当薬物を投与した場合のリスクは異なる
可能性がある。これらのスケールを用いて、実臨床における抗コリン作用を評価する場合は、作成
時に想定されていた患者背景を考慮した上で、適切なスケールを選択する必要がある。特に、抗コ
リン作用による有害事象の影響を受けやすい高齢患者や特定疾患を持つ患者群に対しては、配慮す
る必要がある。スケール毎に、評価した薬剤数も異なることを考慮すべきである。薬剤数の違い
は、割り当てられたスコアの相対的評価に影響するため、特定の既存スケールに重み付けを行った
上で、薬剤の有益性および利害性を評価する必要がある。加えて、国や地域によって使用可能な薬
剤が異なること、人種差による遺伝的背景も存在するため、それらを考慮し、地域毎に抗コリンス
ケールの作成を行う必要があると考えられる。なお、薬物相互作用や併用薬を考慮したスケールは
上記 16 文献内に含まれておらず、今後の重要な検討課題であるとともに、新薬の上市に合わせた
定期的なアップデートも必要となる。
以上の制限は存在するが、今後、実臨床において、日本版抗コリン薬リスクスケールを活用する
ことにより、その有用性を検討していくことが重要となる。
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