よむ、つかう、まなぶ。
資料4-2 日本版抗コリン薬リスクスケール (36 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40741.html |
出典情報 | 高齢者医薬品適正使用検討会(第18回 6/21)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
of Life Questionnaire による評価)が認められた(44)。もう一方の研究ではエンド・オブ・
ライフの非がん患者での影響を見るため、がん・非がん患者を含む RCT の二次解析で抗コリン
薬負荷の影響(ADS を基にした独自のスケールで評価)が検討されたが、がん・非がんに関わ
らず抗コリン薬負荷の程度は同等であり、前述の研究同様、抗コリン薬負荷の大きい患者では
易疲労感や QOL 低下の進行が縦断的に認められた(43)。
4) 死亡率/生存率
最後に死亡率/生存率であるが、抗コリン薬負荷が死亡に影響すると報告している文献が 2
件、影響しないとする文献が 2 件の計 4 件が検索された。まず、影響しないとする文献である
が、高齢者施設入所の高齢者 602 名における検討では、2 年以上の観察期間で DBI による抗コ
リン・抗鎮静剤負荷が高い群においても総死亡と関連しなかった(HR 1.19, 95%CI 0.821.74)(81)。また、緩和ケアを受ける高齢がん患者 112 名の検討でも Clinician Rated Anticholinergic Scale で評価された抗コリン薬負荷は生存率に影響を与えなかった(82)。影響が
あるとする文献の一つ目は、保険データにて新規に過活動膀胱と診断された患者における抗コ
リン薬負荷(ACB スケールを基に日常使用量を独自算出)の影響を評価した研究であり、平均
38.5 カ月の期間で過去より暴露されていた群で非暴露群と比較し有意に死亡率が高かった
(HR 1.51, 95%CI 1.45-1.57)(58)。もう一つは急性期病床を退院した高齢患者 620 名におけ
る 1 年後の生存率を評価した縦断研究で、ACB スケールで 2 点以上の抗コリン薬負荷は低い生
存率と関連したが(HR 2.15, 95%CI 1.09-4.87)、握力低下(女性<15 ㎏、男性<20 ㎏)の有
無で層別化した場合、握力が正常な群では ACB の高さに関わらず生存率と関連しなかった
(83)。
5) 抗コリン薬の減薬について
では、抗コリン薬の減薬を重点的に行うことは可能であろうか。2 件の文献があるが、医療
者側および患者側に別々に注意喚起を行う介入を行ったクラスターRCT では、1 年間の観察期
間において 276 件の中間期に対して 13 回(4.7%)の処方変更しか行われず、非介入群と有意
差がなかった(抗コリン薬の定義の記載なし)(84)。もう一件は、地域在住の認知症患者 804
名とその介護者に対する認知症ケアプログラムの有効性を調査した RCT の二次解析で、抗コリ
ン薬に関わらず potentially inappropriate medication(PIM)(Beers 基準による評価)の
減薬が達成されたかについて検討されていた。この研究では、非介入群と比較し、介入群では
PIM は有意に減少しただけでなく(number-needed to prevent 1 PIM: 3)、ACB により評価さ
れた抗コリン薬負荷も減少した(85)。
36
ライフの非がん患者での影響を見るため、がん・非がん患者を含む RCT の二次解析で抗コリン
薬負荷の影響(ADS を基にした独自のスケールで評価)が検討されたが、がん・非がんに関わ
らず抗コリン薬負荷の程度は同等であり、前述の研究同様、抗コリン薬負荷の大きい患者では
易疲労感や QOL 低下の進行が縦断的に認められた(43)。
4) 死亡率/生存率
最後に死亡率/生存率であるが、抗コリン薬負荷が死亡に影響すると報告している文献が 2
件、影響しないとする文献が 2 件の計 4 件が検索された。まず、影響しないとする文献である
が、高齢者施設入所の高齢者 602 名における検討では、2 年以上の観察期間で DBI による抗コ
リン・抗鎮静剤負荷が高い群においても総死亡と関連しなかった(HR 1.19, 95%CI 0.821.74)(81)。また、緩和ケアを受ける高齢がん患者 112 名の検討でも Clinician Rated Anticholinergic Scale で評価された抗コリン薬負荷は生存率に影響を与えなかった(82)。影響が
あるとする文献の一つ目は、保険データにて新規に過活動膀胱と診断された患者における抗コ
リン薬負荷(ACB スケールを基に日常使用量を独自算出)の影響を評価した研究であり、平均
38.5 カ月の期間で過去より暴露されていた群で非暴露群と比較し有意に死亡率が高かった
(HR 1.51, 95%CI 1.45-1.57)(58)。もう一つは急性期病床を退院した高齢患者 620 名におけ
る 1 年後の生存率を評価した縦断研究で、ACB スケールで 2 点以上の抗コリン薬負荷は低い生
存率と関連したが(HR 2.15, 95%CI 1.09-4.87)、握力低下(女性<15 ㎏、男性<20 ㎏)の有
無で層別化した場合、握力が正常な群では ACB の高さに関わらず生存率と関連しなかった
(83)。
5) 抗コリン薬の減薬について
では、抗コリン薬の減薬を重点的に行うことは可能であろうか。2 件の文献があるが、医療
者側および患者側に別々に注意喚起を行う介入を行ったクラスターRCT では、1 年間の観察期
間において 276 件の中間期に対して 13 回(4.7%)の処方変更しか行われず、非介入群と有意
差がなかった(抗コリン薬の定義の記載なし)(84)。もう一件は、地域在住の認知症患者 804
名とその介護者に対する認知症ケアプログラムの有効性を調査した RCT の二次解析で、抗コリ
ン薬に関わらず potentially inappropriate medication(PIM)(Beers 基準による評価)の
減薬が達成されたかについて検討されていた。この研究では、非介入群と比較し、介入群では
PIM は有意に減少しただけでなく(number-needed to prevent 1 PIM: 3)、ACB により評価さ
れた抗コリン薬負荷も減少した(85)。
36