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資料4-2 日本版抗コリン薬リスクスケール (22 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40741.html |
出典情報 | 高齢者医薬品適正使用検討会(第18回 6/21)《厚生労働省》 |
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の薬剤の抗コリン活性を評価できないことや内因性血清タンパクの影響(26)などが指摘さ
れている。抗コリン作用の薬理学的評価は、薬物のムスカリン受容体結合活性や in vitro
と in vivo での薬物反応の測定がある(19)。個々の薬剤の抗コリン作用を薬理学的手法に
より包括的に評価した抗コリン薬リスクスケールは Chew ら(17)および Yamada ら(18)の 2
文献のみである。下記にその詳細を示す。
1)
Chew-AAS(17)について
高齢者に頻用される 107 種の薬剤を用いて、ラット脳ホモジネートにおけるムスカリン
受容体の選択的放射性リガンド:[ H]quinuclidinyl benzilate (QNB)の結合阻害効力から
抗コリン活性(anticholinergic activity: AA)を調べ、服用患者の最高血液中濃度(C )
を考慮した抗コリン作用負荷スコアを定義した。特に、アミトリプチリンやクロザピンな
どの向神経性薬剤が高いスコアを示した。
3
max
2)
Yamada-ABS(18)について
本邦で高齢患者に頻用される 260 薬剤を用いて、薬剤のムスカリン受容体結合活性と薬
剤服用後のヒト血液中薬物濃度(C )に基づく抗コリン薬負荷スコアを開発している。実
験方法としては、ラット脳組織細胞膜を用い特異的かつ高比活性放射性標識リガンド:
[ H]N-methylscopolamine (NMS)によるムスカリン受容体結合測定法に従い、各薬剤による
ムスカリン受容体結合活性を精査した。実際には、薬剤の 50%受容体結合活性を示す濃度
と C を基にスコアを定義した。その結果、低濃度(nM オーダー)でムスカリン受容体結
合活性を示し、概ね C と近似した薬剤をスコア 3 として定義した。過活動膀胱治療薬、抗
うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、鎮痙薬、気管支拡張薬など
の 33 薬剤であった。C より 3 倍以上の濃度(μM オーダー)でムスカリン受容体結合活性
を示した 37 薬剤をスコア 2 として定義した。以上の薬剤はラット摘出膀胱および回腸平
滑筋のカルバコール収縮を濃度依存的に抑制し、その抑制効力(EC 値)が受容体結合活性
と相関したことから薬理学的に抗コリン作用を確認できた。ムスカリン受容体結合活性が
mM オーダーの 26 薬剤をスコア 1 として定義し、残りの 164 剤は高濃度においてもムスカ
リン受容体結合を示さなかったのでスコア 0 とした。ラット組織とヒト組織での薬剤のム
スカリン受容体結合活性の種差が懸念されたが、過活動膀胱の治療に用いられている 8 種
類の抗コリン薬のムスカリン受容体結合活性はラットとヒトの膀胱組織間で良好な相関が
あった(27)。これよりラット組織での抗コリン薬のムスカリン受容体結合活性はヒト組織
に反映できると考えられる。
また、加齢に伴い、体組成の変化、肝・腎機能の低下による全身クリアランスの減少や
脂溶性薬物の体内分布容積の増加に加え、受容体密度や感受性などの変動が知られている
(28, 29)。分子量が小さく脂溶性が高い薬物は、一般に脳などの組織移行性が高く血液中
より組織内濃度が高くなる傾向にある。結果として、高齢者では薬物が組織に蓄積し易く
抗コリン作用が増強する傾向にある。薬剤の抗コリン性有害事象や抗コリン薬リスクスケ
ールの評価には、薬物の物理化学的特性や血液脳関門透過性、薬物投与後の生体内薬物濃
max
3
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れている。抗コリン作用の薬理学的評価は、薬物のムスカリン受容体結合活性や in vitro
と in vivo での薬物反応の測定がある(19)。個々の薬剤の抗コリン作用を薬理学的手法に
より包括的に評価した抗コリン薬リスクスケールは Chew ら(17)および Yamada ら(18)の 2
文献のみである。下記にその詳細を示す。
1)
Chew-AAS(17)について
高齢者に頻用される 107 種の薬剤を用いて、ラット脳ホモジネートにおけるムスカリン
受容体の選択的放射性リガンド:[ H]quinuclidinyl benzilate (QNB)の結合阻害効力から
抗コリン活性(anticholinergic activity: AA)を調べ、服用患者の最高血液中濃度(C )
を考慮した抗コリン作用負荷スコアを定義した。特に、アミトリプチリンやクロザピンな
どの向神経性薬剤が高いスコアを示した。
3
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2)
Yamada-ABS(18)について
本邦で高齢患者に頻用される 260 薬剤を用いて、薬剤のムスカリン受容体結合活性と薬
剤服用後のヒト血液中薬物濃度(C )に基づく抗コリン薬負荷スコアを開発している。実
験方法としては、ラット脳組織細胞膜を用い特異的かつ高比活性放射性標識リガンド:
[ H]N-methylscopolamine (NMS)によるムスカリン受容体結合測定法に従い、各薬剤による
ムスカリン受容体結合活性を精査した。実際には、薬剤の 50%受容体結合活性を示す濃度
と C を基にスコアを定義した。その結果、低濃度(nM オーダー)でムスカリン受容体結
合活性を示し、概ね C と近似した薬剤をスコア 3 として定義した。過活動膀胱治療薬、抗
うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、鎮痙薬、気管支拡張薬など
の 33 薬剤であった。C より 3 倍以上の濃度(μM オーダー)でムスカリン受容体結合活性
を示した 37 薬剤をスコア 2 として定義した。以上の薬剤はラット摘出膀胱および回腸平
滑筋のカルバコール収縮を濃度依存的に抑制し、その抑制効力(EC 値)が受容体結合活性
と相関したことから薬理学的に抗コリン作用を確認できた。ムスカリン受容体結合活性が
mM オーダーの 26 薬剤をスコア 1 として定義し、残りの 164 剤は高濃度においてもムスカ
リン受容体結合を示さなかったのでスコア 0 とした。ラット組織とヒト組織での薬剤のム
スカリン受容体結合活性の種差が懸念されたが、過活動膀胱の治療に用いられている 8 種
類の抗コリン薬のムスカリン受容体結合活性はラットとヒトの膀胱組織間で良好な相関が
あった(27)。これよりラット組織での抗コリン薬のムスカリン受容体結合活性はヒト組織
に反映できると考えられる。
また、加齢に伴い、体組成の変化、肝・腎機能の低下による全身クリアランスの減少や
脂溶性薬物の体内分布容積の増加に加え、受容体密度や感受性などの変動が知られている
(28, 29)。分子量が小さく脂溶性が高い薬物は、一般に脳などの組織移行性が高く血液中
より組織内濃度が高くなる傾向にある。結果として、高齢者では薬物が組織に蓄積し易く
抗コリン作用が増強する傾向にある。薬剤の抗コリン性有害事象や抗コリン薬リスクスケ
ールの評価には、薬物の物理化学的特性や血液脳関門透過性、薬物投与後の生体内薬物濃
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