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資料4-2 日本版抗コリン薬リスクスケール (37 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40741.html |
出典情報 | 高齢者医薬品適正使用検討会(第18回 6/21)《厚生労働省》 |
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日本版抗コリン薬リスクスケールの限界点について
今回開発を行った日本版抗コリン薬リスクスケールには、以下の点が限界点として考えられる。
1. 対象薬の範囲の制限
本スケールは、内服薬および全身作用を有する貼付剤のみを対象とした。その理由として、局
所薬の場合、全身作用は、その投与量によって異なることなどが考えられるためである。ま
た、吸入薬では、吸入手技が不十分なため、全身作用を生じる場合があり、患者の呼吸機能に
応じた適切な薬剤選択および吸入指導の実施が必須である。
2.
スコア評価に関する限界
AAS(8)は、0 点から 4 点で評価されていた。日本版抗コリンリスクスケールに用いた既存スケ
ールの報告の大半が 3 段階で評価していたため、AAS は 3 点と 4 点をスコア 3 へ統合した。そ
のため、同一スコア内でも抗コリン作用の強さに差がある可能性が考えられる。エビデンスが
不足により、スコア内の作用差を十分に反映できていないため、薬物有害事象の発生頻度や薬
理学的評価を行い、評価基準の見直しを行う必要がある。
3. 投与量によるリスクの変動の可能性
日本版抗コリン薬リスクスケールでは、投与量の検討は行っていない。海外では、日本よりも
常用量が多いものもあり、投与量によって薬物有害事象の発生頻度なども変化することが予想
される。そのため、同じ薬剤でも投与量に応じてスコアの重み付けが必要となる場合が考えら
れるため、この点については、本邦のデータを用い、さらなる検討が必要である。
4. 未評価の薬剤の存在
現在のリストには漢方薬が含まれておらず、これらの薬剤の抗コリン作用についても今後評価
が求められる。また、リストに含まれていないが、同様の作用を持つ薬剤についての評価につ
いて検討する必要がある。これらの薬剤も包括的に評価することで、より正確なリスクが可能
となる。
このように、日本版抗コリン薬リスクスケールにはいくつかの限界があるが、これらを改善
し、より精度の高いスケールを作成することで、高齢者の薬物療法の安全性を向上させること
が期待される。
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日本版抗コリン薬リスクスケールの限界点について
今回開発を行った日本版抗コリン薬リスクスケールには、以下の点が限界点として考えられる。
1. 対象薬の範囲の制限
本スケールは、内服薬および全身作用を有する貼付剤のみを対象とした。その理由として、局
所薬の場合、全身作用は、その投与量によって異なることなどが考えられるためである。ま
た、吸入薬では、吸入手技が不十分なため、全身作用を生じる場合があり、患者の呼吸機能に
応じた適切な薬剤選択および吸入指導の実施が必須である。
2.
スコア評価に関する限界
AAS(8)は、0 点から 4 点で評価されていた。日本版抗コリンリスクスケールに用いた既存スケ
ールの報告の大半が 3 段階で評価していたため、AAS は 3 点と 4 点をスコア 3 へ統合した。そ
のため、同一スコア内でも抗コリン作用の強さに差がある可能性が考えられる。エビデンスが
不足により、スコア内の作用差を十分に反映できていないため、薬物有害事象の発生頻度や薬
理学的評価を行い、評価基準の見直しを行う必要がある。
3. 投与量によるリスクの変動の可能性
日本版抗コリン薬リスクスケールでは、投与量の検討は行っていない。海外では、日本よりも
常用量が多いものもあり、投与量によって薬物有害事象の発生頻度なども変化することが予想
される。そのため、同じ薬剤でも投与量に応じてスコアの重み付けが必要となる場合が考えら
れるため、この点については、本邦のデータを用い、さらなる検討が必要である。
4. 未評価の薬剤の存在
現在のリストには漢方薬が含まれておらず、これらの薬剤の抗コリン作用についても今後評価
が求められる。また、リストに含まれていないが、同様の作用を持つ薬剤についての評価につ
いて検討する必要がある。これらの薬剤も包括的に評価することで、より正確なリスクが可能
となる。
このように、日本版抗コリン薬リスクスケールにはいくつかの限界があるが、これらを改善
し、より精度の高いスケールを作成することで、高齢者の薬物療法の安全性を向上させること
が期待される。
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