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資料1 高齢社会対策大綱の策定のための検討会報告書(案) (22 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kourei/taikou-kentoukai/k_8/index.html
出典情報 高齢社会対策大綱の策定のための検討会(第8回 8/5)《内閣府》
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の人の数は 443.2 万人(有病率 12.3%)、また、軽度認知障害(МCI)の高
齢期の人の数は 558.5 万人(有病率 15.5%)と推計されており、2040 年には、
それぞれ 584.2 万人(有病率 14.9%)、612.8 万人(有病率 15.6%)になると
推計されている 41。
高齢期の人の持つ経済的なインパクトは大きく、高齢世帯の消費は個人消費
額の約4割を占める 42。また、75 歳以上が金融資産の約3割に当たる約 600 兆
円を保有 43し、そのうち約 200 兆円は認知機能の低下した人が保有していると
の指摘もある。
日常生活において認知機能を必要とする場面が多い金融機関の窓口は、認知
機能の低下した人と接する機会も多く、金融機関から地域の福祉機関など必要
な支援につなげることが望まれる。しかし、本人に認知機能低下の自認がない
場合等に個人データの提供の同意を得ることが難しいこと、金融機関において
は「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」により個人データ
の提供の同意は原則として書面によるとされていること、顧客のどのような兆
候や行動を認識した場合に福祉機関への連携を行うべきかが明らかではない
こと、金融機関内においても顧客の認知機能の状態等の情報の共有が困難であ
ること等の課題が指摘されているところであり、こうした点に具体的な解決策
を見出すべく検討を進めるべきである。
また、構成機関・団体等の間の保有個人情報及び個人データの共有に係る個
人情報保護法上の本人同意の規定が適用除外となっている、消費者安全確保地
域協議会や重層的支援体制整備事業の支援会議の枠組みへの金融機関の参加
を促進し、これらの枠組みを通じて、認知機能の低下した人を金融機関から福
祉機関等の必要な支援につなぐことができるようにするべきである。
加えて、認知機能の変化は個々人によって様々であり、その程度にもグラデ
ーションがあることから、外見上は分かりにくく、また、本人が認知機能の低
下を認識していない場合があることも踏まえ、本人の意思決定支援や権利利益
の保護を含めた様々な支援や見守りの体制を構築していくことが必要となる。
高齢期の金融経済活動については、年齢で一律に取引等を制約するのではな
く、それぞれの状況を踏まえた対応が求められるため、金融と福祉、デジタル
を連携させ、AIを活用した経済取引能力の状態の判断や、それに基づき本人
の判断のサポートを可能とする技術の開発・実証を進めるとともに、成年後見
制度についても、補助・保佐の制度も含め、認知症の場合の利用の実態等も踏
まえながら利用しやすくするための検討が必要である。
さらに、金融資産の次世代への円滑な継承のためには、認知機能が低下する
前に、資産の状況や使い方について信頼できる人と共有することが重要であり、
認知機能が低下した場合の金融経済活動のリスクや支援の制度等と併せて周

41

「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」(令和 5 年度老

人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分):九州大学大学院医学研究院二
宮利治教授)
42

総務省「家計調査(総世帯)

(令和5年)を用いて内閣府にて算出。高齢世帯とは、世

帯主が 65 歳以上である世帯を指す。
43

高齢社会対策大綱の策定のための検討会第3回資料5
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