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【資料1】次世代評価指標について (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25800.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会(令和4年度第2回 5/23)《厚生労働省》
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乳がん診断支援装置に関する評価指標(案)
1. はじめに
乳がんは、女性が罹患する「がん」の中で最も多く、30 代から 64 歳までの女性における「がん
死亡率」の第 1 位を占めている。発症時期は、働き盛りの 40 代後半に一つの大きなピークがある。
ステージ I の早期に治療を開始した場合、100%に近い 5 年生存率が得られるが、がんが進行したス
テージ IV では 37.1%に低下することから、定期的な乳がん検診による早期発見・早期治療の重要性
が提唱されている。しかし、我が国における乳がん検診の受診率は 41%であり、欧米(75%)と比較
して低い状況にある。受診率が低い要因としては、様々な問題が指摘されているが、診断装置自体
が抱える課題も挙げられる。我が国の乳がん検診は、2000 年初頭まで視触診により行われてきたが、
死亡率の減少効果が不十分であると共に、精度管理が難しいことから、検診指針が変更された。現
在、視触診は必須でなく、乳がん死亡率の減少効果が唯一証明されている X 線マンモグラフィによ
る検査が一般的に行われている。しかし、X 線マンモグラフィは被ばくや、乳房圧迫に伴う被験者
への身体的負担を生じる問題がある。若年層に多く観察される、脂肪が少なく乳腺密度が高い「高
濃度乳房」の場合、X 線マンモグラフィでは、がんの腫瘤影が乳腺自体の白い陰影に覆われてしま
い、がんを検出できない(偽陰性)可能性があることも知られている。我が国において、乳房超音
波検査(エコー)は乳がん検診の検査方法として利用されてきた。エコーは高濃度乳房の多い 40 歳
代女性の早期浸潤癌の発見率向上が認められている。しかし、エコーによる乳がん死亡率減少効果
は示されていないため、その有効性の証拠は不十分であり、死亡率減少効果の代替指標として、累
積進行乳がん罹患率減少効果が検討されている。エコーの課題としては偽陽性増加への懸念、画像
の再現性や記録が検査担当者の技量に依存することやその精度管理が難しいこと等が挙げられる。
近年、これらの課題を解決し得る新たな診断支援装置のモダリティとして、マイクロ波イメージ
ング、超音波 CT、光超音波イメージングの開発が進められており、ともに臨床試験を通じて実用化
段階にある。マイクロ波イメージングは X 線と比較して低エネルギー、非電離性の特長を有してお
り、誘電コントラストを利用して乳がんの有無を診断する方法である。リアルタイム画像化技術も
開発中であると共に、安全でより高頻度なスクリーニング技術として有望視されている。超音波 CT
は、リングアレイで乳房を取り囲み、超音波散乱像、音速分布像、減衰率分布像を撮像する装置で
ある。MRI に匹敵し得る解像度が得られており、安価で非侵襲な乳がん診断方法として期待されて
いる。光超音波イメージングは、生体にナノ秒幅のパルス光を照射した際に、光音響効果によって
生じる超音波を受信する技術である。非侵襲で微細血管の構造情報や、酸素飽和度に関連する指標
等の機能情報を高解像度に可視化できる新規イメージング技術であり、乳がん診断への応用も含め
実用化に大きな期待が寄せられている。
このような背景を踏まえ、本評価指標では、これら 3 つの新規診断支援装置の品質、有効性、安
全性を科学的根拠に基づいて適正且つ迅速に評価するための留意点を取りまとめた。
2. 評価指標の対象
本評価指標においては、主にマイクロ波イメージング、超音波 CT、光超音波イメージングからな
る新規モダリティを用いた乳がん診断支援装置を対象とする。
開発する乳がん診断支援装置が本評価指標に該当するか判断が難しい場合には、必要に応じて独
立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に相談すること。
3. 評価指標の位置づけ
本評価指標は、技術開発が著しい機器を対象とするものであることを勘案し、現時点で重要と考
えられる事項を示したものである。今後の技術革新や知見の集積等を踏まえて改訂されるものであ
り、承認申請内容に対して拘束力を持つものではない。本評価指標が対象とする製品の評価にあた
っては、個別の製品の特性を十分理解した上で、科学的な合理性を背景にして、柔軟に対応する必
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