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資料3-2   ヒドロキシエチルデンプン調査結果報告書 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29975.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和4年度第22回 12/27)《厚生労働省》
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新臨床麻酔スタンダード Ⅰ総論 14)



重症敗血症患者では、HES 製剤は相対的な循環血液量低下には使用しないこととなっている。
血管の透過性が亢進した病態ではより長い血管内貯留が期待される輸液製剤を使用すると血圧
の維持には有利であると考えられる。膠質液が容量負荷には有利であるが、大きな分子までも血
管外に漏出するために間質の水の貯留も伴うことになり、これがかえって予後を悪くする原因に
もなっている。HES130 は重症敗血症患者にはむしろ使用しないことになっている。
周術期の輸液 15)



敗血症に適切な輸液製剤は何か?
フランスの研究グループは、重度敗血症ならびに敗血症性ショック 129 名を対象に、分子量
200 kDa のヒドロキシエチルデンプン製剤(最大 80 mL/Kg、最長 4 日間)とゼラチン製剤の
臓器機能への効果を比較した。その結果、ヒドロキシエチルデンプン製剤の輸液を受けた患者
群で急性腎不全と乏尿発症率が有意に高いという結果を報告している。多変量解析の結果、人
工呼吸とヒドロキシエチルデンプンの使用が AKI の危険因子であり、急性腎不全の危険性のあ
る重度敗血症あるいは敗血症性ショック患者への使用は避けるべきとしている。この報告の結
果には十分な合意が得られていないが、長期間の連続投与を含め膠質液の中でも選択肢があり、
個々の臓器機能への効果が異なることを示唆している。


Intravascular volume therapy in adults. Guidelines from the Association of the Scientific Medical
Societies in Germany 16)
複数の多施設研究の結果が得られたことを契機として、血液量減少の治療のベネフィット・リ

スクについて2012年11月からEMAによる議論がなされ、PRACが敗血症患者にHES 製剤を使用
しないように勧告した。
⑦ Miller's Anesthesia 9th Edition 17)
敗血症の患者では、低分子量のHESであっても出血や輸血のリスクが高まるが、これが周術
期にも起こるかどうかは不明である。
(2)公表文献
MEDLINE 及び医中誌(検索条件は別添 4-1)を用いて、HES 製剤を敗血症患者へ投与した場合
の安全性に関する公表文献について調査した結果は別添 3-1 のとおりであり、9 報が確認された。
死亡に関する検討が行われた文献は 5 報あった。有意に死亡のリスクが高かった文献は 3 報で
あり、2 報は乳酸/酢酸リンゲルと比較して有意差はなかった。死亡以外では、酢酸リンゲルと比
較して HES 製剤は投与開始 5 日間における重症 AKI・RRT の使用率を増加させる文献が 1 報、出
Ⅰ総論」森本康裕、萩平哲、木山秀哉、坪川恒久編集(2020 年)克誠堂出版
毅彦編集(2008 年)克誠堂出版
16)「Intravascular volume therapy in adults. Guidelines from the Association of the Scientific Medical Societies in
Germany」Marx et al.(2016)
17)「Miller's Anesthesia 9th Edition」Gropper, Michael A./Miller, Ronald D./Eriksson, Lars I./Fleisher, Lee A./WienerKronish, Jeanine P./Cohen, Neal H(2019 年)Elsevier
14)「新臨床麻酔スタンダード
15)「周術期の輸液」飯島

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