よむ、つかう、まなぶ。
資料1-2-8診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
資料1-2-8
(診断基準等のアップデート案(見え消し))
取扱注意
123 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 HTRA1 関連脳小血管病
○ 概要
1.概要
HTRA1 関連脳小血管病は、“禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症(CARASIL)は、”と、
本疾患の原因遺伝子である HTRA1 遺伝子の変異をもつヘテロ接合体の脳小血管病を合わせた疾患名で
ある。CARASIL は、本邦の福武らにより禿頭、腰痛をともなう常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式の脳小血
管病として疾患概念が確立された。CARASIL は青年期から若年成人期に、進行性の大脳白質病変、多発
性ラクナ梗塞、禿頭、変形性脊椎症を発症する常染色体劣性遺伝形式の疾患である。これ。2019 年9月ま
でに本邦で7家系8例、本邦以外で5例516 家系 22 例の遺伝子診断確定例が報告されている。一方、近
年、ヘテロ接合性で HTRA1 変異を持つ患者で脳小血管病症例が報告されている。本邦で 11 家系 13 例、
本邦以外で 23 家系 33 例の遺伝子診断確定例が報告されている。これらのヘテロ接合性 HTRA1 変異によ
る脳小血管病の症例は、CARASIL と比較すると発症年齢が高く、禿頭、腰痛などの症状を欠くことも多い。
一見家族歴のない症例も多い。全ての CARASIL の原因となる変異が、一様に、症状を表すわけでは無い。
よって、中年期以前に発症した脳小血管病患者では、禿頭、腰痛が無くとも本症を疑う必要があり、見出さ
れた変異の意義は慎重に判断する必要がある。
2.原因
HTRA1 遺伝子の異常によって起こる。遺伝子異常によって、産生される HTRA1 蛋白はプロテアーゼ
活性を喪失する。しかし、プロテアーゼ活性の喪失がなぜ CARASIL でみられる病変を引き起こすかは分か
っていない。HTRA1 蛋白はを持つが、変異によりその活性を喪失する。プロテアーゼ活性の喪失により基
質であるフィブロネクチンの蓄積が起こり、それにより他の細胞外基質蛋白を巻き込み、内膜が肥厚するこ
とが重要と考えられている。HTRA1 蛋白は、その他にも、血管恒常性、毛周期、骨代謝に重要な役割を持
つ TGF-beta superfamily signal をの調節してにも関わっている。そのため、TGF-beta superfamily signal の
調整障害が CARASIL の病態に関与している可能性がも想定されている。
3.症状
遺伝子診断によって確定された 13CARASIL 28 例の解析では、神経症状の発症年齢は、29.5±5.5 歳
であった。また、禿頭は平均 1685.7 歳(0~27 歳)%、変形性脊椎症は平均 30.4 歳(21~39 歳)100%、歩
行障害は平均 30.7 歳(23~39 歳)、初発の 92.6%、脳卒中は平均 31.0 歳(24~38 歳)40.7%、認知症は
35.1 歳(24~50 歳)で発症する。禿頭を伴わない症例も報告されており、禿頭の合併頻度は 69.288.0%で
ある認める。歩行障害と認知症は脳卒中によって悪化するが、明確な脳卒中がみられなくても緩徐進行性
の経過をたどる。進行すると構音障害や嚥下障害を呈する。ヘテロ接合性 HTRA1 関連脳小血管病 46 例
の解析では、神経症状の発症年齢(認知機能障害、歩行障害または脳卒中)は、54.1±11.4 歳、認知機能
障害は 77.8%、歩行障害は 67.4%、脳卒中は 63.0%に認められた。神経外症状としては、禿頭が 13.2%
に、急性腰痛/変形性脊椎症は 60.0%に認められている。CARASIL と同様に緩徐進行性の経過を辿り、進
行すると構音障害や嚥下障害を呈する。
- 1-
(診断基準等のアップデート案(見え消し))
取扱注意
123 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 HTRA1 関連脳小血管病
○ 概要
1.概要
HTRA1 関連脳小血管病は、“禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症(CARASIL)は、”と、
本疾患の原因遺伝子である HTRA1 遺伝子の変異をもつヘテロ接合体の脳小血管病を合わせた疾患名で
ある。CARASIL は、本邦の福武らにより禿頭、腰痛をともなう常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式の脳小血
管病として疾患概念が確立された。CARASIL は青年期から若年成人期に、進行性の大脳白質病変、多発
性ラクナ梗塞、禿頭、変形性脊椎症を発症する常染色体劣性遺伝形式の疾患である。これ。2019 年9月ま
でに本邦で7家系8例、本邦以外で5例516 家系 22 例の遺伝子診断確定例が報告されている。一方、近
年、ヘテロ接合性で HTRA1 変異を持つ患者で脳小血管病症例が報告されている。本邦で 11 家系 13 例、
本邦以外で 23 家系 33 例の遺伝子診断確定例が報告されている。これらのヘテロ接合性 HTRA1 変異によ
る脳小血管病の症例は、CARASIL と比較すると発症年齢が高く、禿頭、腰痛などの症状を欠くことも多い。
一見家族歴のない症例も多い。全ての CARASIL の原因となる変異が、一様に、症状を表すわけでは無い。
よって、中年期以前に発症した脳小血管病患者では、禿頭、腰痛が無くとも本症を疑う必要があり、見出さ
れた変異の意義は慎重に判断する必要がある。
2.原因
HTRA1 遺伝子の異常によって起こる。遺伝子異常によって、産生される HTRA1 蛋白はプロテアーゼ
活性を喪失する。しかし、プロテアーゼ活性の喪失がなぜ CARASIL でみられる病変を引き起こすかは分か
っていない。HTRA1 蛋白はを持つが、変異によりその活性を喪失する。プロテアーゼ活性の喪失により基
質であるフィブロネクチンの蓄積が起こり、それにより他の細胞外基質蛋白を巻き込み、内膜が肥厚するこ
とが重要と考えられている。HTRA1 蛋白は、その他にも、血管恒常性、毛周期、骨代謝に重要な役割を持
つ TGF-beta superfamily signal をの調節してにも関わっている。そのため、TGF-beta superfamily signal の
調整障害が CARASIL の病態に関与している可能性がも想定されている。
3.症状
遺伝子診断によって確定された 13CARASIL 28 例の解析では、神経症状の発症年齢は、29.5±5.5 歳
であった。また、禿頭は平均 1685.7 歳(0~27 歳)%、変形性脊椎症は平均 30.4 歳(21~39 歳)100%、歩
行障害は平均 30.7 歳(23~39 歳)、初発の 92.6%、脳卒中は平均 31.0 歳(24~38 歳)40.7%、認知症は
35.1 歳(24~50 歳)で発症する。禿頭を伴わない症例も報告されており、禿頭の合併頻度は 69.288.0%で
ある認める。歩行障害と認知症は脳卒中によって悪化するが、明確な脳卒中がみられなくても緩徐進行性
の経過をたどる。進行すると構音障害や嚥下障害を呈する。ヘテロ接合性 HTRA1 関連脳小血管病 46 例
の解析では、神経症状の発症年齢(認知機能障害、歩行障害または脳卒中)は、54.1±11.4 歳、認知機能
障害は 77.8%、歩行障害は 67.4%、脳卒中は 63.0%に認められた。神経外症状としては、禿頭が 13.2%
に、急性腰痛/変形性脊椎症は 60.0%に認められている。CARASIL と同様に緩徐進行性の経過を辿り、進
行すると構音障害や嚥下障害を呈する。
- 1-