よむ、つかう、まなぶ。
資料1-2-15診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
281 クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
○ 概要
1.概要
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は四肢のうち一肢又はそれ以上のほぼ全体にわたる混合型脈
管奇形に、片側肥大症を伴った疾患である。
脈管奇形は胎生期における脈管形成の異常であり、病変内に単一あるいは複数の脈管成分を有し、拡
張・蛇行又は集簇した異常脈管の増生を伴う疾患である。血管腫・脈管奇形の国際学会である ISSVA
(International Society for the Study of Vascular Anomalies)が提唱する ISSVA 分類では、軟部・体表の脈
管奇形の単純型の中には静脈奇形、動静脈奇形(瘻)、リンパ管奇形、毛細血管奇形が含まれ、混合型脈
管奇形(混合型血管奇形)はこれらの組み合わせである。脈管奇形は自然退縮することなく進行し、疼痛や
潰瘍、患肢の成長異常、機能障害、整容上の問題等により長期にわたり患者の QOL を損なうことがある。
脈管奇形には、単一組織内で辺縁明瞭に限局する病変や、多臓器にまたがり辺縁不明瞭でびまん性に分
布する病変など様々な病変があるが、前者と後者では病態や治療法が異なる。
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、古典的には、四肢の片側肥大、皮膚毛細血管奇形、二次
性静脈瘤、を三徴とするが、近年は低流速型脈管奇形(静脈奇形、毛細血管奇形、リンパ管奇形)を主とす
るものをクリッペル・トレノネー症候群、高流速病変(動静脈奇形)を主とするものをパークスウェーバー症候
群と分ける場合がある。しかし、クリッペル・トレノネー症候群とパークスウェーバー症候群を厳密に区分す
ることは特に小児例では困難であり、本対象疾病としてはクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群とする。
本症候群の脈管奇形病変と片側肥大は生下時から幼児期に気づかれ、加齢・成長に伴って増悪する。
片側肥大はほとんどが脈管奇形と同側に生じるが、まれに対側に生じる。合指(趾)症や巨指(趾)症など
の指趾形成異常を合併することもある。脚長差が高度になると跛行や代償性脊椎側彎症を来す。本症候
群の脈管奇形は、多臓器にまたがり辺縁不明瞭でびまん性に分布し難治性の傾向にあり、凝固系や血行
動態にも影響を及ぼし、感染、出血や心不全などにより致死的な病態に至ることもある。
病的過成長に対する根治的治療法は無く、骨軟部組織の肥大・過剰発育に対しては、下肢補高装具や
外科的矯正手術(骨端線成長抑制術、骨延長術)や、病変切除などの減量手術などが行なわれる。脈管奇
形に対してはその構成脈管により治療は異なる。弾性ストッキング(着衣)による圧迫、切除手術、硬化療
法・塞栓術などが用いられるが、本症候群の巨大脈管奇形病変はこれらの治療に抵抗性であることが多く、
生涯にわたる継続的管理を要する。
2.原因
脈管奇形は先天性であり、胎生期における脈管形成異常により生じた病変と考えられている。原因は明
らかでないが、その一部として遺伝子変異(RASA1)が発見され、遺伝子治療や分子標的創薬の可能性が
模索されている。病的過成長の原因も不明で、骨軟部組織の内在的(先天的)要因によるのか、脈管奇形
による二次的変化なのかも不明である。
- 12-
○ 概要
1.概要
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は四肢のうち一肢又はそれ以上のほぼ全体にわたる混合型脈
管奇形に、片側肥大症を伴った疾患である。
脈管奇形は胎生期における脈管形成の異常であり、病変内に単一あるいは複数の脈管成分を有し、拡
張・蛇行又は集簇した異常脈管の増生を伴う疾患である。血管腫・脈管奇形の国際学会である ISSVA
(International Society for the Study of Vascular Anomalies)が提唱する ISSVA 分類では、軟部・体表の脈
管奇形の単純型の中には静脈奇形、動静脈奇形(瘻)、リンパ管奇形、毛細血管奇形が含まれ、混合型脈
管奇形(混合型血管奇形)はこれらの組み合わせである。脈管奇形は自然退縮することなく進行し、疼痛や
潰瘍、患肢の成長異常、機能障害、整容上の問題等により長期にわたり患者の QOL を損なうことがある。
脈管奇形には、単一組織内で辺縁明瞭に限局する病変や、多臓器にまたがり辺縁不明瞭でびまん性に分
布する病変など様々な病変があるが、前者と後者では病態や治療法が異なる。
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、古典的には、四肢の片側肥大、皮膚毛細血管奇形、二次
性静脈瘤、を三徴とするが、近年は低流速型脈管奇形(静脈奇形、毛細血管奇形、リンパ管奇形)を主とす
るものをクリッペル・トレノネー症候群、高流速病変(動静脈奇形)を主とするものをパークスウェーバー症候
群と分ける場合がある。しかし、クリッペル・トレノネー症候群とパークスウェーバー症候群を厳密に区分す
ることは特に小児例では困難であり、本対象疾病としてはクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群とする。
本症候群の脈管奇形病変と片側肥大は生下時から幼児期に気づかれ、加齢・成長に伴って増悪する。
片側肥大はほとんどが脈管奇形と同側に生じるが、まれに対側に生じる。合指(趾)症や巨指(趾)症など
の指趾形成異常を合併することもある。脚長差が高度になると跛行や代償性脊椎側彎症を来す。本症候
群の脈管奇形は、多臓器にまたがり辺縁不明瞭でびまん性に分布し難治性の傾向にあり、凝固系や血行
動態にも影響を及ぼし、感染、出血や心不全などにより致死的な病態に至ることもある。
病的過成長に対する根治的治療法は無く、骨軟部組織の肥大・過剰発育に対しては、下肢補高装具や
外科的矯正手術(骨端線成長抑制術、骨延長術)や、病変切除などの減量手術などが行なわれる。脈管奇
形に対してはその構成脈管により治療は異なる。弾性ストッキング(着衣)による圧迫、切除手術、硬化療
法・塞栓術などが用いられるが、本症候群の巨大脈管奇形病変はこれらの治療に抵抗性であることが多く、
生涯にわたる継続的管理を要する。
2.原因
脈管奇形は先天性であり、胎生期における脈管形成異常により生じた病変と考えられている。原因は明
らかでないが、その一部として遺伝子変異(RASA1)が発見され、遺伝子治療や分子標的創薬の可能性が
模索されている。病的過成長の原因も不明で、骨軟部組織の内在的(先天的)要因によるのか、脈管奇形
による二次的変化なのかも不明である。
- 12-