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資料4  シクロホスファミド水和物 (30 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198856_00027.html
出典情報 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(第55回 5/31)《厚生労働省》
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前処置を用いた HLA 半合致末梢血幹細胞移植の成績が報告されている。血液悪性疾患患者
31 例を対象とし生着率 87%(初回移植例に限れば 100%)
、II-IV 度の急性 GVHD は 23%、
III-IV 度の急性 GVHD は 3%、慢性 GVHD は 15%、day 100 での非再発死亡は 19%(初回移
植例に限れば 11%)と良好な成績であり、日本人においても本法が安全に実施可能である
ことが示された。ドナー選択については一般的な HLA 適合血縁者間移植と同様に若年ドナ
ーのほうが移植成績が良好であることから 40 歳以下の若年ドナーが好まれる傾向にある。
2.2 移植前処置
PTCY 法は骨髄非破壊的前処置を用いて開発されたが、その後、強度減弱前処置、骨髄破
壊的前処置も用いられるようになった。強度減弱前処置としては Flu + BU、Flu + MEL を
ベースに少量 TBI を併用するものが主体である。骨髄破壊的前処置には Flu + BU、Flu +
TBI、Flu + BU + MEL などがある。
本邦では全国多施設共同試験(JSCT-Haplo14 試験)として骨髄破壊的前処置または強度
減弱前処置を用いた HLA 半合致末梢血幹細胞移植の成績が報告されている。血液悪性疾患
患者を対象とし、骨髄破壊的前処置を用いた 50 例では、生着率 98%、II-IV 度の急性 GVHD
は 18%、III-IV 度の急性 GVHD は 8%、慢性 GVHD は 36%、2 年時点での全生存率は 68%、
無イベント生存率は 54%、非再発死亡は 10%であった。また強度減弱前処置を用いた 77 例
では、生着率 94%、II-IV 度の急性 GVHD は 14%、III-IV 度の急性 GVHD は 5%、2 年時点
での慢性 GVHD は 27%、2 年時点での全生存率 44%、無イベント生存率 35%、非再発死亡
は 20%であった。これらの結果から、PTCY 法において骨髄破的前処置、強度減弱前処置
はいずれも有用であることが示された。
2.3 PTCY の投与法
PTCY 法は day 3、day 4 にシクロホスファミド 50 mg/kg(合計 100 mg/kg)
、day 5 よりタ
クロリムス(TAC)、MMF を用いることが主流である。PTCY の投与量については、Johns
Hopkins グループでの初期の検討で day 3 の 1 日投与群と day 3、day 4 の 2 日投与群を比較
し、生存率や急性 GVHD に差は認めないものの、extensive type の慢性 GVHD が 1 日投与
群で有意に多かったことから、以後は 2 日投与(合計 100 mg/kg)で行うこととなった経緯
がある。
PTCY の投与タイミング、併用する免疫抑制剤については、イタリアのグループからシ
クロスポリン(CsA)を day 0 から、MMF を day -1 から投与開始し、毒性軽減を目的と
してシクロホスファミドの投与間隔を 1 日あけて day 3、day 5 に投与する方法も報告され
ている。シクロホスファミドの投与日の変更や、免疫抑制剤を PTCY よりも前に開始する
ことで、理論上は PTCY の効果が減弱することが危惧されるが、これまでの報告では明ら
かな GVHD の増加は認めていない。また、カルシニューリン阻害剤の種類については、イ
タリアの Castagna らが、TAC を用いた 43 例と CsA を用いた 57 例で比較し、好中球生着、
全生存率、無増悪生存率、再発率、非再発死亡率に差を認めていない。

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