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資料4  シクロホスファミド水和物 (31 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198856_00027.html
出典情報 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(第55回 5/31)《厚生労働省》
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3.Cytokine release syndrome
PTCY-HLA 半合致移植を施行した症例では移植片輸注後から数日以内に高度の非感染性
発熱が認められ、PTCY の投与後速やかに解熱することが報告されている。この発熱はア
ロ応答性 T 細胞の増殖に関連する cytokine release syndrome(CRS)であり、haploimmunostorm
syndrome とも呼ばれる。O'Donnell らはこの非感染性発熱の最高値の中央値は骨髄移植で
38.6℃に対して、末梢血幹細胞移植で 39.7℃と有意に高いと報告した。ステロイドでこの反
応を抑制することで PTCY の効果が減弱する可能性が理論上はあることから、原則として
ステロイドは使用せずアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬で対応することが推
奨されるが、現時点でステロイド投与による PTCY の効果が喪失するという根拠を示す臨
床データはなく、循環動態が不安定になるような重症例ではステロイドを含めた加療を躊
躇すべきではない。CRS の重症度は重症度についてはキメラ抗原受容体発現 T 細胞
(chimeric antigen receptor–modified T cells, CAR-T)療法後の cytokine release syndrome にお
ける重症度分類が用いられる。Abboud らの報告では CRS を発症した 65 例中 9 例(12%)
が grade Ⅲ-Ⅳの重症例で、生着遅延、非再発死亡率の増加から生存率が有意に不良であり、
重症例に対する積極的な介入は必要である。重症 CRS を発症した例では保険適用外ではあ
るが抗 IL-6 受容体抗体である tocilizumab の有用性も報告されている。
4.PTCY-HLA 半合致移植と他の移植方法との比較
Ruggeri らは 193 例の PTCY-HLA 半合致移植と 115 例の ATG を用いた HLA 半合致移植
を後方視的に比較し報告した。PTCY-HLA 半合致移植で grade III-IV の急性 GVHD 発症頻
度が低く、graft-versus-host disease-free, relapse-free survival(GRFS)、leukemia-free survival
(LFS)が優れているとした。HLA 適合移植との比較に関しては、PTCY-HLA 半合致移植
と HLA 適合血縁ドナー(MRD)または HLA 適合非血縁ドナー(MUD)からの移植を後方
視的に比較した多くの報告がある。Center for International Blood and Marrow Transplant
Research(CIBMTR)による報告では、非再発死亡割合、再発率、無増悪生存率、全生存率
などの移植成績は PTCY-HLA 半合致移植と MRD または MUD からの移植で同等、GVHD、
特に慢性 GVHD は PTCY-HLA 半合致致移植で少ないという結果であった。また European
Group for Blood and Marrow Transplantation(EBMT)によるホジキンリンパ腫を対象とした
後方視的検討では全生存率、無増悪生存率には有意差は認めないものの、PTCY-HLA 半合
致移植では MRD からの移植と比較し再発率が有意に低く、慢性 GVHD は同等であるとい
う結果であった。Gu らは 9 つの臨床試験を対象としたメタアナリシスを行い、PTCY-HLA
半合致移植 827 例と MRD からの移植 748 例、MUD からの移植 683 例を比較した。この報
告では PTCY-HLA 半合致移植は MRD、MUD からの移植のいずれと比較しても、II-IV 度
の急性 GVHD、III-IV 度の急性 GVHD、非再発死亡率、再発率、無増悪生存率、全生存率
には有意差を認めず、移植後 2 年時点での中等症~重症の慢性 GVHD は PTCY-HLA 半合
致移植で有意に少ないことが示されている。これらの結果から現時点で前向き試験での比

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