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資料2-10-2 シルガード9懸濁筋注シリンジ全例登録による強化安全監視活動最終報告書[1.9MB] (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/newpage_00106.html
出典情報 厚生科学審議会・薬事審議会(合同開催) 予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第102回 7/29)医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和6年度第4回 7/29)(合同開催)《厚生労働省》
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全例登録による強化安全監視活動の実施経緯及びその目的
2013年4月から2価/4価の HPV ワクチンは定期の予防接種ワクチンとなり積極的な接種勧奨の対

象となった。しかし、2価/4価の HPV ワクチンの接種後に、広い範囲に広がる痛み、手足の動かし
にくさ、不随意運動などを中心とする「多様な症状」を発現した症例が報告されたことから、2013
年6月から2価/4価の HPV ワクチンは定期接種ワクチンであるものの積極的な接種勧奨が差し控え
られた。
「多様な症状」について、臨床現場では一般に「身体症状症」

「変換症/転換性障害(機能
性神経症状症)」

「線維筋痛症」、
「慢性疲労症候群」、
「起立性調節障害」、
「複合性局所疼痛症候群」
等 の 診 断 名 で 治 療 が 行 わ れ て い る と さ れ て い る も の の
(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000901222.pdf)、医学的に確立された症例定義は存在せず、
症状の持続期間や就学・就労への影響といった重症度の定義は各研究によって異なっている。
その後、厚生労働省により様々な調査が行われ、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反
応検討部会(以下、副反応検討部会)においてその結果を議論されたが、2021年11月26日に差し控
えを終了する旨の厚生労働省健康局長通知が発出されるまで、積極的な勧奨の差し控えは継続され
ることとなった。
HPV ワクチン接種の積極的な勧奨が差し控えられている状況下、組換え沈降9価ヒトパピローマ
ウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)
(販売名:シルガード®9水性懸濁筋注シリンジ、以下、本剤)
は2020年7月21日に承認された。
本剤の初回承認時の医薬品医療機器総合機構による審査報告(1)において、HPV ワクチンの安
全性については、特に国内では製造販売開始以降、HPV ワクチン接種後に一定割合の「多様な症
状」の発生が報告されており、それぞれの症状と HPV ワクチンに関連する文献の内容を確認した
が、HPV ワクチン接種が「多様な症状」の発生リスクを増大させるというエビデンスは認められな
かったとされた。また、HPV ワクチンによるベネフィットについては、国際的に十分に確立されて
おり、本邦においても同様に認められること、リスクについては、HPV ワクチンが「多様な症状」
の発生リスクを増大させると言える状況ではないことから、本邦においても海外と同様に、HPV ワ
クチンの臨床的意義は認められると記載されている
(https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200602001/170050000_30200AMX00746_A100_2.pdf)。
本邦においては、HPV ワクチンにおける「多様な症状」に関する先行研究として「子宮頸がんワ
クチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究の全国疫学調査(以下、祖父江班研究)」
(研究代
表者:祖父江 友孝)及び「名古屋市が実施した子宮頸がん予防接種調査(以下、名古屋スタディ)」
が実施されている。祖父江班研究では、症状が3ヵ月以上持続し、かつそれにより就学・就労に影響
等があることを「多様な症状」の症例基準としており、HPV ワクチン接種歴のない女子(「接種歴
不明」の有訴症例も「接種歴なし」の有訴症例として扱った場合)でも「多様な症状」は一定数発
現しており、その有訴率 は46.2例/10万例だった。
2014年以降、HPV ワクチン接種との関連性についての疑問が欧州連合(EU)で指摘され、欧州
医薬品庁(EMA)では「複合性局所疼痛症候群 Complex regional pain syndrome(CRPS)」「体位性
起立性頻脈症候群 Postural orthostatic tachycardia syndrome(POTS)」に関して検討が行われた。こ

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