よむ、つかう、まなぶ。
資料1-2-4診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (17 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
51 全身性強皮症
○ 概要
1.概要
全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は、皮膚や内臓が硬くなる変化(硬化という。)を特徴とし、慢性
に経過する疾患である。しかし、硬化の程度、進行などについては患者によって様々である点に注意が必
要である。この観点から、全身性強皮症を大きく2つに分ける分類が国際的に広く用いられている。つまり、
典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と、比較的軽症型の「限局皮膚硬化型全身性強
皮症」に分けられている。前者は発症より5~6年以内は進行することが多いが、後者の軽症型では進行
はほとんどないか、あるいは緩徐である。なお、「限局性強皮症」は皮膚のみに硬化が起こる全く別の病気
であり、前述の「限局皮膚硬化型全身性強皮症」とは全く異なるものである。
2.原因
全身性強皮症の病因は複雑であり、その病態は十分には解明されていない。しかし、これまでの研究に
より①免疫異常、②線維化、③血管障害、これら3つの異常と深い関連性を有することが明らかとなった。
しかし、その相互関係や病因については不明のままである。
3.症状
レイノー症状、皮膚硬化、その他の皮膚症状、肺線維症、強皮症腎クリーゼ、逆流性食道炎などが認め
られ、手指の屈曲拘縮、肺高血圧症、心外膜炎、不整脈、関節痛、筋炎、偽性イレウス、吸収不良、便秘、
下痢、右心不全などが起こることがある。全身性強皮症では抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼI(Scl70)抗体、抗 U1RNP 抗体、抗 RNA ポリメラーゼ抗体などが検出される。前述した「びまん皮膚硬化型全身
性強皮症」では抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体や抗 RNA ポリメラーゼ抗体が検出され、一方「限局皮膚
硬化型全身性強皮症」では抗セントロメア抗体が陽性となる。
4.治療法
現在のところ、全身性強皮症を完治させる薬剤はないが、ある程度の効果を期待できる治療法は開発さ
れつつある。代表例として、(1)ステロイド少量内服(皮膚硬化に対して)、(2)シクロホスファミド(肺線維症に
対して)、(3)プロトンポンプ阻害剤(逆流性食道炎に対して)、(4)プロスタサイクリン(血管病変に対して)、
(5)ACE 阻害剤(強皮症腎クリーゼに対して)、(6)エンドセリン受容体拮抗剤(肺高血圧症に対して)などが
挙げられる。
既に研究班では、内臓各臓器ごとの重症度分類を作成し、その重症度に従って最も適切と考えられる治
療の選択肢を示した全身性強皮症の診療ガイドラインを策定した。
5.予後
全身性強皮症の経過を予測するとき、典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と比較的
- 17-
○ 概要
1.概要
全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は、皮膚や内臓が硬くなる変化(硬化という。)を特徴とし、慢性
に経過する疾患である。しかし、硬化の程度、進行などについては患者によって様々である点に注意が必
要である。この観点から、全身性強皮症を大きく2つに分ける分類が国際的に広く用いられている。つまり、
典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と、比較的軽症型の「限局皮膚硬化型全身性強
皮症」に分けられている。前者は発症より5~6年以内は進行することが多いが、後者の軽症型では進行
はほとんどないか、あるいは緩徐である。なお、「限局性強皮症」は皮膚のみに硬化が起こる全く別の病気
であり、前述の「限局皮膚硬化型全身性強皮症」とは全く異なるものである。
2.原因
全身性強皮症の病因は複雑であり、その病態は十分には解明されていない。しかし、これまでの研究に
より①免疫異常、②線維化、③血管障害、これら3つの異常と深い関連性を有することが明らかとなった。
しかし、その相互関係や病因については不明のままである。
3.症状
レイノー症状、皮膚硬化、その他の皮膚症状、肺線維症、強皮症腎クリーゼ、逆流性食道炎などが認め
られ、手指の屈曲拘縮、肺高血圧症、心外膜炎、不整脈、関節痛、筋炎、偽性イレウス、吸収不良、便秘、
下痢、右心不全などが起こることがある。全身性強皮症では抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼI(Scl70)抗体、抗 U1RNP 抗体、抗 RNA ポリメラーゼ抗体などが検出される。前述した「びまん皮膚硬化型全身
性強皮症」では抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体や抗 RNA ポリメラーゼ抗体が検出され、一方「限局皮膚
硬化型全身性強皮症」では抗セントロメア抗体が陽性となる。
4.治療法
現在のところ、全身性強皮症を完治させる薬剤はないが、ある程度の効果を期待できる治療法は開発さ
れつつある。代表例として、(1)ステロイド少量内服(皮膚硬化に対して)、(2)シクロホスファミド(肺線維症に
対して)、(3)プロトンポンプ阻害剤(逆流性食道炎に対して)、(4)プロスタサイクリン(血管病変に対して)、
(5)ACE 阻害剤(強皮症腎クリーゼに対して)、(6)エンドセリン受容体拮抗剤(肺高血圧症に対して)などが
挙げられる。
既に研究班では、内臓各臓器ごとの重症度分類を作成し、その重症度に従って最も適切と考えられる治
療の選択肢を示した全身性強皮症の診療ガイドラインを策定した。
5.予後
全身性強皮症の経過を予測するとき、典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と比較的
- 17-