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参考資料3 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30725.html
出典情報 厚生科学審議会 科学技術部会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会(第8回 2/2)《厚生労働省》
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第8回 NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会

参考

令和5年2月2日

資料3

指摘もなされている。
○ NIPT については、陽性と結果が出た場合、相当の高い割合で妊娠中断
の判断がなされていることが報告されているが、このことは、妊婦等が自由
な意思決定を行えるだけの正確かつ十分な情報が、社会全体で共有され
るに至っていないこと、結果としてこれら情報を妊婦等が十分に得ることが
できず、熟慮の機会が得られていないことに関連するとの指摘がある。
⑵ ノーマライゼーションの理念
〇 出生前検査の検査結果を理由として人工妊娠中絶を行うことは、疾患や
それに伴う障害のある胎児の出生を排除することになり、ひいては障害のあ
る者の生きる権利や生命、尊厳を尊重すべきとするノーマライゼーションの
理念に反するとの懸念が表明されてきた。
〇 障害者基本法においては、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等
しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである
との理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられること
なく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指す
ことが掲げられている。
○ 我が国においては旧優生保護法に基づき、優生手術が行われてきたこと
について深い反省の下、優生思想が入り込むことのないよう、細心の注意を
払い、ノーマライゼーションの理念が社会に浸透するように努め、妊婦が社
会的圧力を受けることなく、妊娠、出産について自由な意思決定をできるよ
うにしなければならない。
○ また、特定の疾患を対象として出生前検査を実施することは、現に社会生
活を営む当該疾患を有する人々に不安を生みだしかねないことをも踏まえ
て、出生前検査の在り方について議論するにあたっては、これらのノーマラ
イゼーションの理念を踏まえることが必要不可欠である。
⑶ 滑りやすい坂の懸念
〇 出生前検査に係わる倫理的・社会的課題は、社会の理解や受容の水準
をはるかに超えるスピードで科学技術が発展していることによって惹起され
た問題でもある。当初は深刻さが認識されない問題であっても、技術革新が
今後も続き、検査価格の下落や対象疾患の増大が想定される中、出生前
検査が急峻な坂道を下っていくようになし崩し的に広がり、歯止めが効かな
くなってしまうのではないか、といういわゆる「滑りやすい坂の滑り出し」の懸
念も根強い。その滑りやすい坂の先には、疾患や障害が悪いものであり、そ
れらを避けるために子どもを出生前検査・診断によって選びたい、選ぶべき
だ、とする価値観が社会に定着するのではないかとの危惧が本専門委員会
においても共有された。

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