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医療政策会議報告書 (16 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html
出典情報 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》
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第 1 章:資本主義経済の変化とコロナ禍での需要創出

コロナ禍の需要効果

コロナ禍でのカネの流れ
✓全産業が一様に被害の場合:
全員の需要=支出=所得が一様に減少
→ 貯蓄(所得-支出)は全員不変

需要減の原因:
強制的需要圧縮: 不安、自粛圧力
(観光、外食、etc.)

需要構造の転換: 清潔、三密回避
(マスク、消毒液、医療、ネット環境、etc.)

✓一部((例)観光)のみ被害の場合(コロナ):

消費者の資金不足でない
→ 消費者にカネ配布無意味
無駄に財政赤字拡大

観光需要=観光支出=観光産業所得が減少
他需要=他支出=他産業所得不変
→ 観光従事者の(所得-支出) → 困窮
→ 他従事者の(所得-支出) → 貯蓄増
一部は所得 +支出 → 大儲け!

不安軽減、自粛圧力緩和 → 需要は自然回復
財政資金不要

図表 10

図表 11

ことです。需要の魅力がなくなったわけでも、カネがな

えるために、図表 11 では、コロナ禍でのカネの流れを

くなったわけでもない。本当は使たいし、カネもあるけ

示しています。

ど、コロナが怖いからやめるという状態です。第 2 は、

コロナ禍による需要の減少は一部産業に偏っています

需要構造の転換、つまり、感染抑制に関連する製品への

が、最初に、ベンチマークとして、人々がすべての物や

需要の増加です。たとえば、マスクや消毒液、ワクチン

サービスへの需要を一様に 1 割下げたと考えてみましょ

保存のための冷凍庫や輸送ネットワーク、在宅勤務に必

う。そうすると、われわれ全員の所得が 1 割減ってしま

要なネット環境などです。これらは、まさに新需要創出

います。しかし、その原因は、我々が支出を 1 割減らし

です。

たからです。所得が 1 割減って支出も 1 割減っているな

重要なのは、消費者のカネがなくなったわけではない

ら、カネの出入りから見て、各人の懐はまったく変わり

ということです。それなのに、政府は、国民一人当たり

ません。つまりだれも困っていません。ですから、カネ

10 万円を配っています。これでは効果がなく、財政赤字

のバラマキも経済政策もいりません。感染症対策だけに

を広げているだけです。さらに、飲食業の営業制限や自

集中すればいいのです。

粛要請はしたまま、GoTo キャンペーンで旅行や飲食に

しかし現実には、需要の減少は観光や外食などの一部

補助金を出しています。これで需要が本格的に回復する

産業だけが被ります。その人たちだけは所得が減るのに、

はずがなく、もともとコロナ禍を押してでも行こうとし

ほかの人たちの所得は全然減りません。それどころか、

た人が安上がりに済むだけのことです。また、旅行が増

「コロナで飲み会が減ったから、カネが前より貯まった」

えたとしたら、感染を地方に広げてしまう。つまり、

という状態です。今回の一律給付金は、そんな人たちに、

GoTo キャンペーンは貯金が増えて、コロナ禍でも遊び

さらに 10 万円を上乗せした。まったくの無駄です。

に行こうという人に、さらにカネを渡す政策であり、効

では、どうしたらよいか(図表 12)。被害を受けなかっ

果は薄く、感染を拡大させて、おまけに不公平でもあり

た人たちが、今まで外食をし、旅行をしたのと同じよう

ます。

に、外食産業や旅行産業にカネを渡せばいいのです。そ

カネなど一銭も配らなくても、
「コロナはもう平気で

うすれば、われわれの所得は同じで、支出も同じですか

す。ワクチンを打てばまったく大丈夫です。自粛もする

ら、われわれの経済状態は変わらない。一方、外食産業

必要がありません。
」と言ったら、これまで皆は我慢して

や観光産業の人たちは、これまでと同じ所得が補償され

行かなかっただけですから、観光地やレストランはすぐ

るので、困らない。だから経済は何も変わりません。

に満杯になります。つまり、コロナ感染症対策こそが唯

しかし、カネの出入りは今までと同じですが、レスト

一の景気対策です。

ランと観光からのサービスは受けられなくなって、楽し

そうは言っても、仕事が減って経済的に困窮する人た

みが減ります。コロナ禍で皆が同じように旅行や外食を

ちが出ている以上、何らかの対策が必要です。それを考

我慢するのは仕方がありません。しかし、支出が減って

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