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医療政策会議報告書 (22 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html
出典情報 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》
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第 2 章:最近の社会情勢と医療政策の課題

図表 2

ではない。高度で専門的な診療密度の高い医療は医療資

本院群と DPC 特定病院群で、誤嚥性肺炎の入院患者数

源を集中投入しなければならず、そのためには集約化も

と呼吸器系疾患に占める割合を見たものである。大学病

不可欠になる。急性期機能の集約化により、急性期医療

院本院群では、誤嚥性肺炎患者は相対的に少ないものの、

に医療資源を手厚く投入することとセットで考えるべき

それでもほとんど誤嚥性肺炎の患者がいない大学病院か

だ。

ら、呼吸器系疾患入院患者の 1 割近くを誤嚥性肺炎が占

他方で、日常的で頻度の高い医療ニーズに対応する診

めている大学病院もある。そして、大学病院本院に準じ

療圏は狭く、地域密着型医療機関が担う必要がある。特

た診療密度や一定の機能を有しているとされる DPC 特

に超高齢社会における疾病構造の変化を考えると、慢性

定病院の中には、誤嚥性肺炎患者がかなり多くを占めて

疾患を抱えて療養生活を継続する高齢者などが症状の悪

いる病院があることが分かる。

化や変化を繰り返しながら、最期の看取りへと至る生活

もちろん、これらの病院であっても、誤嚥性肺炎の患

を支える診療機能に対するニーズが増大する。それらは

者を入院させてはいけないということはなく、地域の実

ある程度身近な地域で確保することが重要である。

情や患者の状態等によっては受け入れなければならない

そうした患者までもが大規模急性期病院に集中する

場合もあり得る。とは言え、誤嚥性肺炎の患者が専門性

と、そこでしかできない専門的な治療に集中できなくな

の高い大規模急性期病院に集中することが地域の役割分

る。他方で、大規模急性期病院はその性格上、臓器別の

担の状況として適切と言えるのかは考える必要があるだ

専門に細分化した医療には高い機能を発揮できるが、虚

ろう。これからは、高齢化に伴って、誤嚥性肺炎の高齢

弱高齢者の複合的で全人的な医療ニーズに適合している

患者の増加も見込まれている。むしろ、地域密着型病院

とは言い難い面もある。地域密着型医療機関でも、患者

がこうした患者に対応していけるような役割分担と連携

数を踏まえた病床規模の適正化や機能の見直し、他の医

の強化が望まれる。

療機関との経営統合の検討が必要になる場合もあるが、

地域医療構想では、病棟単位の機能の選択が前面に出

地域密着型中小病院の存在が今後の超高齢社会において

ており、病院単位での役割分担という視点が必ずしも明

重要な鍵となる。

確ではないが、集約すべき機能と、ある程度は分散して

図表 3 は、厚生労働省の DPC 調査により、大学病院

確保すべき機能のバランスが医療提供体制においては重

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