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医療政策会議報告書 (21 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html
出典情報 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》
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第 2 章:最近の社会情勢と医療政策の課題

図表 1

るため、機能が中途半端になりがちで、限られたスタッ

か存在しているものの、首都圏でも東北地方でも、3 分

フの配置も手薄になり、
現場は過重労働に苦しんでいる。

の 1 強の病院が 1 桁しかない。機能が少しずつ分散して

平時から病院経営や勤務環境にゆとりがないのが急性期

いる体制では、病院ごとに見た場合、1 病院当たりの重

病院である。そこに余裕を持たせ、地域全体でしっかり

症患者への対応能力が限定的になってしまうのである。

とした医療機能を確保するためにこそ、病院の再編・統

しかも、専門の医師や看護師がそれぞれの病院に分散し

合や急性期病院の集約化が必要な地域や病院も少なくな

て配置されるため、確保できる人材の数も限られ、人手

い。

不足が現場に重く圧し掛かる。こうした平時からの問題
点がコロナ禍でも表面化した。また、都道府県別に人口

医療提供体制改革の方向性について

当たりで ICU、HCU、救命救急入院料算定回数を見る

今後の医療提供体制改革においては、高度で専門的な

と、最大と最小で約 3.64 倍の差がある。病床数全体で見

診療密度の高い医療は地域の基幹病院などで集約化を図

ても地域差が存在するため、人口当たりの病院一般病床

る必要がある。実際、こうした患者は広く薄く分布して

数との関係を見ると、図表 2 の通り、全国平均よりも病

いる一方、医療が高度化する中で、高い診療機能を発揮

院一般病床数は多いながらも、ICU、HCU、救命救急入

するためには一定以上の症例数の確保が必要になるから

院料算定回数が全国平均を大きく下回っている地域もある。

だ。すなわち、専門性が高く、高額な医療機器や多くの

地域医療構想では、高度急性期、急性期、回復期は医

スタッフを必要とするような技術集積性の高い医療は、

療資源投入量に基づいて必要病床数の推計が行われてい

機能を分散させているよりも、集約化を図ることが医療

るため、現場における機能の実態との間に乖離が存在す

の質の観点からも重要になるのである。

る。また、それ以外については現状追認となっており、

ところが、例えば、集中治療室(ICU)
、ハイケアユ

従前からの医療提供体制改革のシミュレーションが前提

ニット(HCU)、救命救急入院料算定病床について、首

としていたような医療資源の集中投入や平均在院日数短

都圏 1 都 3 県、東北地方 6 県で病院別の病床数の分布を

縮に関する議論は織り込まれていない。

見ると、図表 1 のようになっている。

しかし、医療提供体制改革は、単に病床数を削減した

首都圏ではこれらの病床数が非常に多い病院もいくつ

り、急性期から回復期に機能を転換するだけで済む問題

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