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医療政策会議報告書 (17 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html
出典情報 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》
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第 1 章:資本主義経済の変化とコロナ禍での需要創出

やめにしたからカネが貯まった。さらに 10 万円ももらっ
た。さらに、うちは子どもが 2 人いるので 20 万円もも

コロナ禍の対策

らった」と喜んでいる。その裏で、ただでさえ危機的な

1.短期:産業構造維持
平時のカネの流れ再現:被害業者への所得補償
→ 産業構造保全、感染抑制

政府財政はさらにひどい状況になっている。まったく無
駄で不公平で、絶対にやってはいけない政策です。

2.長期:産業構造の転換
安心安全への私的投資の促進
安心安全インフラの整備
緊急医療、感染症対策etc.
利益増:通販、食品スーパー、ゲーム機、
デジタル化関連
大赤字:航空、鉄道、アパレル、外食、観光、
百貨店

6.コロナ禍の産業構造変化と経済成長
感染症が比較的短期に収束し、今後、感染症対策を考
えなくてもいい場合には、上記の政策で十分です。しか
し、グローバル化が進み、今後、いつ同様の感染症が起
こるかわからない。そのため、長期的にはさらに進んだ

図表 12

政策をすべきです。ではどうすればよいか。
感染症の蔓延は需要構造の変化を強制するものです。
貯金が増えている人がいる一方で、外食産業や旅行産業

安全安心に関わる需要が増え、宅配やネットビジネスな

の人たちだけが困窮している。ですから、コロナで貯金

どの産業も一気に拡大します。実際、通販、食品スー

が増えた分は今までと同じように払いましょう、という

パー、ゲーム機、デジタル化関連などが利益を伸ばして

ことです。

います。つまり、悪くなった産業もあるが、儲かってい

こうすることで、貯金が減ることはないまま、コロナ

る産業もたくさんある。全体が悪くなったというよりは、

が収まれば外食や観光のサービスは以前のように受けら

産業構造が変化したのです。それが次の経済成長の源に

れます。しかし、所得補償をせず、外食産業や観光産業

なる。

が廃業してしまうと、コロナ後に、われわれは元のサー

一方、航空、アパレルなどは大赤字です。しかし、た

ビスを受けられなくなってしまいます。

とえば航空は絶対必要で、維持するなら航空機内や空港

なお、被害産業への支出減少分がすべて被害産業に渡

施設での感染症対策が必要だし、それらをきちんとでき

されたら、その人たちの所得は以前と変わらなくなるの

る技術開発への需要も高まってくる。そうなれば、私的

で、その人たちが外出自粛や制限で支出を減らす分だけ

にも次世代のビジネスチャンスがいろいろと出てくる

得をする。それでは、その人たちへの所得補償を行った

し、公的にも、ネット環境の整備、感染症への医療面の

他の人より得になってしまうので、他の人にかけた税金

備え、外食産業や観光施設周辺の消毒や清潔な環境の確

と同率で補償を減らし、それで余った分を医療や予防な

保など、いくらでもやることがあります。

どの感染症対策に回すべきです。そうすれば、すべての

コロナ禍は、感染症対策関連産業における新たな需要

人のカネの出入りは変わらず、感染症対策にカネが回り

創出でもある。カネを配ることではなく、新需要創出に

ます。

よる新たな経済成長への好機であるという発想で、経済

ところが今は、カネを皆に一律 10 万円配って、被害産

政策を考えるべきです。

業を除いたすべての人は「旅行やレストランに行くのを

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