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医療政策会議報告書 (7 ページ)
出典
公開元URL | https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html |
出典情報 | 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》 |
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序
章:この 2 年、パンデミックと政治の変化を経験して
制がおかしい、入院医療における機能分化・連携がう
の提言であるが、被用者保険の都道府県単位の協会けん
まくいっていない、急性期の重症患者の治療をどうし
ぽへの一元化は、基本的には妥当である。そしてこの被
ていくのかといった課題が明確になり、きちんと対応
用者保険の都道府県単位への一元化は、これまで進めら
していくためには、各病院が互いに役割分担をしなが
れてきた都道府県単位への医療政策再編の流れにも沿っ
ら協働していくことが大切である。
たものであるとも評価できる。
横倉義武前日本医師会会長『新型コロナと向き合う――
△△△
「かかりつけ医」からの提言』
(2021)岩波新書より
長期的な医師数と医学部定員問題
第四派が感染拡大していた 2021 年前半は、全国で自宅
療養や宿泊療養の方々が、万を超えていました。新型
ところで、医師の需給問題を扱う「医療従事者の需給
コロナ患者の療養指導においても、この在宅医療の仕
に関する検討会・医師需給分科会」が、2022 年 1 月開催
組みを生かしつつ、かかりつけ医の果たす役割は大で
の第 40 回に第 5 次中間とりまとめを行い、その役割に区
あると思います。そして第五派では、かかりつけ医を
切りをつけた。この会議は、2015 年 12 月に開始され約
中心とする自宅療養者への医療体制が各地で具体化さ
6 年間続けられたものである。
れてきました。かかりつけ医が一層、普及・定着して
会議の第 1 の目的は、医学部臨時定員の見直しであっ
いれば、新型コロナ感染症についても、相談、検査、
た。2008 年度に増やした「臨時定員」の最初の期限は
診断と治療、療養といった一連の医療を切れ目なく、
2017 年度― ―2018 年度以降の医学部定員は決まってお
適切かつより円滑に行えたのではないかと思います。
らず、各大学は入試の 2 年前の 6 月、つまり 2016 年 6 月
△△△
に入試大綱をまとめるため、そこまでに結論を出す必要
があった。しかしながら、結局、現在に至るまで臨時定
日医・四病院団体協議会が定義した「かかりつけ医機
員の見直しはできなかった。
能」を持つ「かかりつけ医」の普及促進は、新型コロナ
2020 年の医学部入学定員は 9,330 人、2020 年の出生数
を経験した新しい時代においては、以前よりも一層高
は 84 万 835 人である。単純計算で、人口 1,000 人当たり
まっている。
11.1 人― ―ちなみに、18 歳人口当たりの医学部定員数推
なお、前期の医療政策会議報告書では、被用者保険の
計(1,000 人当たり)1990 年 3.8 人→ 2020 年 8 人→ 2050
一元化を下記のように提案していた。今回、村上正泰委
年 11.5 人である5。
員から、
「副業・兼業の収入をめぐる問題に対応する上で
次は、片峰茂・医師需給分科会座長のインタビューで
も、被用者保険の一元化は望ましいと言える」との論拠
ある。
が示された。詳細は村上論文を参照してもらいたい。
「私は 1950 年生まれで、医学部に進学するのは 500 人
強に 1 人の割合。直前の団塊の世代は 600~700 人に 1 人
▽▽▽
の割合でした(全国医学部長病院長会議資料)。一方で今
被用者保険の都道府県化…都道府県への医療政策再編
は 120 人に 1 人が医学部に入学する時代である上に、18
・被用者保険の都道府県単位への一元化を実現し、保険
歳人口は今後減る一方です。…「医師が不足するなら数
料率を揃えることにより負担の公平化、財政の安定化
を増やせ」式の発想を変える必要があります。
「医師の偏
も図るべきである。
在問題が解決できなければ、医師の総数の問題は議論で
日本医師会は、2010 年「国民の安心を約束する医療保
きない」といった意見もあります。しかし、私の考えは
険制度」において「職域保険として、共済組合を協会け
違います。サステナブルな医療体制を構築していくには、
んぽに統合し、組合健保を段階的に協会けんぽに統合す
まず総数の問題にとりあえずの結論を出す。その上でど
る」(18 頁)ことを提言している。これは武見太郎会長
う医師を配置していくかを期限を切って議論をしていか
時代からの地域、職域保険の一本化への経過措置として
ないと、これまで通りにいつまでも決められない事態を
5
第 36 回医師需給分科会(2020 年 11 月 18 日)における「権丈構成員提出資料
意点」より。
3
医師という国家資格を伴う職種の需給を考える際の留
章:この 2 年、パンデミックと政治の変化を経験して
制がおかしい、入院医療における機能分化・連携がう
の提言であるが、被用者保険の都道府県単位の協会けん
まくいっていない、急性期の重症患者の治療をどうし
ぽへの一元化は、基本的には妥当である。そしてこの被
ていくのかといった課題が明確になり、きちんと対応
用者保険の都道府県単位への一元化は、これまで進めら
していくためには、各病院が互いに役割分担をしなが
れてきた都道府県単位への医療政策再編の流れにも沿っ
ら協働していくことが大切である。
たものであるとも評価できる。
横倉義武前日本医師会会長『新型コロナと向き合う――
△△△
「かかりつけ医」からの提言』
(2021)岩波新書より
長期的な医師数と医学部定員問題
第四派が感染拡大していた 2021 年前半は、全国で自宅
療養や宿泊療養の方々が、万を超えていました。新型
ところで、医師の需給問題を扱う「医療従事者の需給
コロナ患者の療養指導においても、この在宅医療の仕
に関する検討会・医師需給分科会」が、2022 年 1 月開催
組みを生かしつつ、かかりつけ医の果たす役割は大で
の第 40 回に第 5 次中間とりまとめを行い、その役割に区
あると思います。そして第五派では、かかりつけ医を
切りをつけた。この会議は、2015 年 12 月に開始され約
中心とする自宅療養者への医療体制が各地で具体化さ
6 年間続けられたものである。
れてきました。かかりつけ医が一層、普及・定着して
会議の第 1 の目的は、医学部臨時定員の見直しであっ
いれば、新型コロナ感染症についても、相談、検査、
た。2008 年度に増やした「臨時定員」の最初の期限は
診断と治療、療養といった一連の医療を切れ目なく、
2017 年度― ―2018 年度以降の医学部定員は決まってお
適切かつより円滑に行えたのではないかと思います。
らず、各大学は入試の 2 年前の 6 月、つまり 2016 年 6 月
△△△
に入試大綱をまとめるため、そこまでに結論を出す必要
があった。しかしながら、結局、現在に至るまで臨時定
日医・四病院団体協議会が定義した「かかりつけ医機
員の見直しはできなかった。
能」を持つ「かかりつけ医」の普及促進は、新型コロナ
2020 年の医学部入学定員は 9,330 人、2020 年の出生数
を経験した新しい時代においては、以前よりも一層高
は 84 万 835 人である。単純計算で、人口 1,000 人当たり
まっている。
11.1 人― ―ちなみに、18 歳人口当たりの医学部定員数推
なお、前期の医療政策会議報告書では、被用者保険の
計(1,000 人当たり)1990 年 3.8 人→ 2020 年 8 人→ 2050
一元化を下記のように提案していた。今回、村上正泰委
年 11.5 人である5。
員から、
「副業・兼業の収入をめぐる問題に対応する上で
次は、片峰茂・医師需給分科会座長のインタビューで
も、被用者保険の一元化は望ましいと言える」との論拠
ある。
が示された。詳細は村上論文を参照してもらいたい。
「私は 1950 年生まれで、医学部に進学するのは 500 人
強に 1 人の割合。直前の団塊の世代は 600~700 人に 1 人
▽▽▽
の割合でした(全国医学部長病院長会議資料)。一方で今
被用者保険の都道府県化…都道府県への医療政策再編
は 120 人に 1 人が医学部に入学する時代である上に、18
・被用者保険の都道府県単位への一元化を実現し、保険
歳人口は今後減る一方です。…「医師が不足するなら数
料率を揃えることにより負担の公平化、財政の安定化
を増やせ」式の発想を変える必要があります。
「医師の偏
も図るべきである。
在問題が解決できなければ、医師の総数の問題は議論で
日本医師会は、2010 年「国民の安心を約束する医療保
きない」といった意見もあります。しかし、私の考えは
険制度」において「職域保険として、共済組合を協会け
違います。サステナブルな医療体制を構築していくには、
んぽに統合し、組合健保を段階的に協会けんぽに統合す
まず総数の問題にとりあえずの結論を出す。その上でど
る」(18 頁)ことを提言している。これは武見太郎会長
う医師を配置していくかを期限を切って議論をしていか
時代からの地域、職域保険の一本化への経過措置として
ないと、これまで通りにいつまでも決められない事態を
5
第 36 回医師需給分科会(2020 年 11 月 18 日)における「権丈構成員提出資料
意点」より。
3
医師という国家資格を伴う職種の需給を考える際の留