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医療政策会議報告書 (30 ページ)
出典
公開元URL | https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html |
出典情報 | 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》 |
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第 3 章:日本の医療政策、そのベクトルをパンデミックの渦中に考える
図表 7 2040 年を見据えた社会保障の将来見通し
社会保障給付費の対GDP比
12%
30%
10%
25%
8%
20%
6%
15%
4%
10%
2%
5%
0%
2018
2025
2040
合計(右目盛り)
年金
医療
介護
子ども・子育て
その他
0%
出所:2040 年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)
(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 平成 30 年5月 21 日)
図表 7
えたようである。そして、自宅療養者への健康観察、在
きたい。
宅医療等への対応やワクチン接種などをめぐって、日頃
●自らの健康状態をよく把握した身近な医師に日頃から
健康な人もかかりつけ医を持つことの重要性、
さらには、
相談・受診しやすい体制を構築していく必要がある。
地域におけるかかりつけ医機能が有効に発揮されること
●医師が今よりも相当に身近な存在となる地域包括ケア
の意義などが強く認識された。
システムへの取組も必要であり、医療の提供を受ける
そこで求められた医療― ―このニーズが、かかりつけ
患者の側に、大病院にすぐに行かなくとも、気軽に相
医の制度化という表現になっていったと考えられる。だ
談できるという安心感を与える医療体制の方が望まし
が、ここで求められているケアというのは、主に小児や
いことを理解してもらわなければならず、患者の意識
高齢者を対象として今も機能している「かかりつけ医機
改革も重要となる。
能」と同じではなく、重なる部分が多いとはいえ、いわ
今後とも追加的な財源が必要となる医療と介護
ゆるプライマリ・ケアというものなのではないだろう
か。もちろん、日医・四病院団体協議会が提案した「か
「我々国民がこれまで享受してきた日本の皆保険制度
かりつけ医機能」をもつ医師であれば、新型コロナウイ
の良さを変えずに守り通すためには、医療そのものが変
ルスの蔓延下でも十分に対応できるのではあるが、そう
わらなければならない」(前掲「国民会議報告書」)こと
した医師を、身近に意識して生活していない人たちが圧
は、地域医療構想、地域包括ケアという車の両輪のさら
倒的に多いのも現状である。
なる推進、この両輪の牽引を託され、医療法に「地域医
このあたりの用語、議論を整理しておかなければ、自
療構想の達成及び地域包括ケアシステムの構築に資する
分をかかりつけ医とみなしている子どもや高齢者には、
役割を積極的に果たすよう努めなければならない」とさ
しっかりと対応していることを確信している多くの医師
れている地域医療連携推進法人の普及、そして医師偏在
たちと、求めているのは、いつか必ず必要となる医療の
問題の緩和をはじめ、いくつかあるように思える。所得
ために健康な時からつながりを持つことができる医師で
の伸びが鈍化し、財政制約が強まる中、
「高齢化の進展に
あるという、かかりつけ医の制度的普及を求める人たち
より更に変化する医療ニーズと医療提供体制のミスマッ
の間での隙間は埋まらないままでいくことになるのでは
チを解消することができれば、同じ負担の水準であって
ないだろうか。
も、現在の医療とは異なる質の高いサービスを効率的に
2013 年の国民会議の報告書には、次のような記述もあ
提供できる」
(同上)方法があることを、医療提供者グ
り、医療を利用する人たちと共に、今一度思い出してお
ループは費用負担者グループに示し続け、率先して行っ
26
図表 7 2040 年を見据えた社会保障の将来見通し
社会保障給付費の対GDP比
12%
30%
10%
25%
8%
20%
6%
15%
4%
10%
2%
5%
0%
2018
2025
2040
合計(右目盛り)
年金
医療
介護
子ども・子育て
その他
0%
出所:2040 年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)
(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 平成 30 年5月 21 日)
図表 7
えたようである。そして、自宅療養者への健康観察、在
きたい。
宅医療等への対応やワクチン接種などをめぐって、日頃
●自らの健康状態をよく把握した身近な医師に日頃から
健康な人もかかりつけ医を持つことの重要性、
さらには、
相談・受診しやすい体制を構築していく必要がある。
地域におけるかかりつけ医機能が有効に発揮されること
●医師が今よりも相当に身近な存在となる地域包括ケア
の意義などが強く認識された。
システムへの取組も必要であり、医療の提供を受ける
そこで求められた医療― ―このニーズが、かかりつけ
患者の側に、大病院にすぐに行かなくとも、気軽に相
医の制度化という表現になっていったと考えられる。だ
談できるという安心感を与える医療体制の方が望まし
が、ここで求められているケアというのは、主に小児や
いことを理解してもらわなければならず、患者の意識
高齢者を対象として今も機能している「かかりつけ医機
改革も重要となる。
能」と同じではなく、重なる部分が多いとはいえ、いわ
今後とも追加的な財源が必要となる医療と介護
ゆるプライマリ・ケアというものなのではないだろう
か。もちろん、日医・四病院団体協議会が提案した「か
「我々国民がこれまで享受してきた日本の皆保険制度
かりつけ医機能」をもつ医師であれば、新型コロナウイ
の良さを変えずに守り通すためには、医療そのものが変
ルスの蔓延下でも十分に対応できるのではあるが、そう
わらなければならない」(前掲「国民会議報告書」)こと
した医師を、身近に意識して生活していない人たちが圧
は、地域医療構想、地域包括ケアという車の両輪のさら
倒的に多いのも現状である。
なる推進、この両輪の牽引を託され、医療法に「地域医
このあたりの用語、議論を整理しておかなければ、自
療構想の達成及び地域包括ケアシステムの構築に資する
分をかかりつけ医とみなしている子どもや高齢者には、
役割を積極的に果たすよう努めなければならない」とさ
しっかりと対応していることを確信している多くの医師
れている地域医療連携推進法人の普及、そして医師偏在
たちと、求めているのは、いつか必ず必要となる医療の
問題の緩和をはじめ、いくつかあるように思える。所得
ために健康な時からつながりを持つことができる医師で
の伸びが鈍化し、財政制約が強まる中、
「高齢化の進展に
あるという、かかりつけ医の制度的普及を求める人たち
より更に変化する医療ニーズと医療提供体制のミスマッ
の間での隙間は埋まらないままでいくことになるのでは
チを解消することができれば、同じ負担の水準であって
ないだろうか。
も、現在の医療とは異なる質の高いサービスを効率的に
2013 年の国民会議の報告書には、次のような記述もあ
提供できる」
(同上)方法があることを、医療提供者グ
り、医療を利用する人たちと共に、今一度思い出してお
ループは費用負担者グループに示し続け、率先して行っ
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